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ダム事典[用語・解説](ページ:03)
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ガクブチコンクリート (がくぶちこんくりーと)
RCD工法
によりダム
堤体
を
打設
には、基本的には
RCDコンクリート
が使われますが、上下流面、それと
横継目
型枠に接触する部分については、
有スランプコンクリート
が使われます。この有スランプコンクリートの部分が、ガクブチ(額縁)のような形になることから、ガクブチコンクリートと呼ばれることがあります。
確保水位 (かくほすいい)
複数の利水目的を持つダムで、特にある目的に支障を与えないために確保することになっている水位。発電に対して上水、かんがいなど発電以外の利水目的を保護するために設定されることがあります。確保水位によって確保される容量を、確保容量といいます。
確保容量 (かくほようりょう)
→
確保水位
過去最大流量 (かこさいだいりゅうりょう)
→
既往最大流量
嵩上げ (かさあげ)
既設ダムの高さを増すこと。
再開発
、リニューアルなどと呼ばれるダム工事の一類型です。(→
日本のダム:再開発一覧
)
旧ダム(堤高32.6m)を嵩上げして、堤高44mに−三高ダム
嵩上げ工事中、右側が旧堤体、その下流面に新堤体打設中−三高ダム(撮影:安河内孝)
嵩上げ工事中、右側が旧堤体、その下流面に新堤体打設中−三高ダム(撮影:安河内孝)
断面図−三高ダム
河水統制事業 (かすいとうせいじぎょう)
旧河川法の時代に河川管理者により実施された河川の総合開発事業の名前。昭和初期に内務省で治水、利水の両面に有効な対策として河川の総合的な開発が構想され、昭和12年に調査費が、昭和15年から河水統制事業補助として府県事業に対する補助金が支出されました。その中には、戦前に竣功したものもありますが、全体としては、戦争の激化によって大きな進展はせず、戦後引き続き施工される一方で、新規着工もあり、昭和25年には直轄河水統制事業費が予算化されました。
昭和26年には現在の河川総合開発事業が開始されましたが、河水統制事業はその前身です。
河積 (かせき)
河川を横に切ったときに、河道内を流下する河川水の断面を流下断面といい、その断面積を河積といいます。
河川維持用水 (かせんいじようすい)
→
維持流量
河川管理者 (かせんかんりしゃ)
→
一級河川・二級河川
河川整備基本方針、河川整備計画 (かせんせいびきほんほうしん、かせんせいびけいかく)
平成9年の河川法改正により、河川整備基本方針と河川整備計画からなる新たな河川の整備計画制度が導入されました。
改正前の河川法では、
河川管理者
は、水系ごとに「工事実施基本計画」を策定し、策定手続きとして、建設大臣が策定する場合に河川審議会の意見を聴くことになっていました。しかし、河川環境の整備と保全を求める国民のニーズに的確に応え、また、河川の特性と地域の風土・文化等の実情に応じた河川整備を進めるためには、河川管理者だけによる河川の整備計画ではなく、地域との連携が不可欠であり、また一方で、これまでの工事実施基本計画では整備の内容が詳細に決められておらず、具体的な川づくりの姿が明らかとなっていませんでした。
このため、それまでの工事実施基本計画で定めている内容を、河川整備の基本となるべき方針に関する事項(河川整備基本方針)と具体的な河川整備に関する事項(河川整備計画)とに区分し、具体的な川づくりが明らかにしたり、地域の意向を反映する手続きを導入したりするなどした新制度が導入されました。
■河川整備基本方針
河川管理者(一級水系は国土交通大臣、二級水系は都道府県知事)が定めます。
【
基本高水流量
】
→
河道計画上の流量
・社会資本整備審議会の意見を聴く
・策定後、公表
【基本高水流量】
→河道計画上の流量
・長期的な視点に立った河川整備の基本的な方針を記述
・個別事業など具体の河川整備の内容を定めず、整備の考え方を記述
■河川整備計画
河川整備基本方針に基づき
河川管理者
が定めます。
【基本高水流量】
→河道計画上の流量
・関係地方公共団体の長の意見を聴く
・学識経験者や関係住民の意見を聴く
・策定後、公表する
【基本高水流量】
→河道計画上の流量
・20〜30年後の河川整備の目標を明確にする
・個別事業を含む具体的な河川の整備の内容を明らかにする
河川整備計画 (かせんせいびけいかく)
→
河川整備基本方針、河川整備計画
河川法などにおけるダムの取り扱い (かせんほうなどにおけるだむのとりあつかい)
河川法は、ダム、堰、水門、堤防などを「河川管理施設」とし、河川管理施設については、安全な構造のものでなければならないなどの規定を置いています。さらに、ダムのうち
堤高
が15m以上のものについては、これを「ダム」と定義して、水位・流量の観測や操作規定を定めることを義務付けるなど、特別の規定を置いています。また、河川管理施設等のうち主要なものの技術基準を定めている河川管理施設等構造令では、砂防ダム以外の堤高15m以上のダムについて、「第2章 ダム」で詳細な技術基準を定めています。
このように、河川法の体系では、堤高15m以上のダムについて主要な構造物として特別な扱いがされています。このため、「ダム」を堰とは区別して明確に定義する必要がある場合などに、堤高15m以上のものをダムと呼ぶことがあります。例えば、(財)日本ダム協会発行の「
ダム年鑑
」では、「原則として堤高15m以上のもの」をダムとしています。
なお、堤高15m以上のダムをハイダムと呼び、それ未満のものを
ローダム
と呼ぶことがあるようです。また、国際的にも、高さ15m以上のものを「大ダム」(large dam)と呼んで区別することがあるようです。
渇水 (かっすい)
雨が通常より少ないために河川などの水が涸れること。河川の流量の低下、湖沼の水位の低下、地下水位の低下などが起こり、さらに、水資源が枯渇して取水ができなくなったり、作物の生育に支障をきたしたり、河川などの水質が悪化するなどの現象が生じますが、これらを含めて渇水と呼ぶこともあります。
ダムなどの水資源開発施設の計画は、おおむね10年に1回程度発生すると想定される規模の渇水を対象に、安定した取水が行えるよう計画されるのが通常です。
渇水対策ダム (かっすいたいさくだむ)
→
渇水対策容量
渇水対策容量 (かっすいたいさくようりょう)
異常渇水
時においても最小限必要な生活用水、都市用水などが取水できるよう、通常の
利水容量
とは別途に確保する貯水容量。通常の利水容量使用後に、
渇水調整
と合わせて、渇水対策容量を使用することになります。渇水対策容量を持つダムを渇水対策ダムと呼びますが、最近このようなダムが出てきています。
渇水対策容量を備えたダム−下の原ダム(撮影:シカマテ)
渇水調整 (かっすいちょうせい)
異常渇水
時に、河川の流量が少なくなり、通常通りの取水が困難になったときに、利水者相互で取水量の調整を行い、被害をできるだけ少なくすることを渇水調整といいます。また、異常渇水に至る以前から、将来の異常渇水の予測を前提に、事前に調整を始めることもあります。流域によっては、渇水調整のための協議会のようなものができています。大河川では、それぞれこれまでの積み重ねで調整の仕方が決まっていて、順次
取水制限
などを行うことになります。
渇水流量 (かっすいりゅうりょう)
年間を通じて355日間はこの値を下回らない河川の流量。逆に言えば、1年間のうちの10日間はこの流量が確保されないことになります。
渇水
時の流況を示す指標です。
活断層 (かつだんそう)
→
断層
河道計画上の流量 (かどうけいかくじょうのりゅうりょう)
河川の洪水を防ぐための計画を作成するとき、河川の代表となる地点(基準地点)を決め、この地点で基本高水流量や計画高水流量を定め、その河川の改修計画が作成されます。大きな河川では、複数の基準地点が設定されています。
■基本高水流量(きほんこうすいりゅうりょう)
洪水を防ぐための計画で基準とする洪水のハイドログラフ(流量が時間的に変化する様子を表したグラフ)を基本高水といいます。この場合、一定の洪水に対する安全の度合い(
治水安全度
)が前提とされており、例えば
一級河川
の主要区間では、100年〜200年に一度の洪水を想定しています。この基本高水は、人工的な施設で
洪水調節
が行われていない状態、言いかえれば流域に降った計画規模の降雨がそのまま河川に流れ出た場合の河川流量を表現しています。基本高水流量は、このグラフに示される最大流量(グラフのピークの値)です。「きほんたかみずりゅうりょう」とも読まれているようです。
■計画高水流量(けいかくこうすいりゅうりょう)
計画高水流量は、基本高水を河道と各種洪水調節施設に合理的に配分した結果として求められる河道を流れる流量です。言いかえればこれは、基本高水流量から各種洪水調節施設での洪水調節量を差し引いた流量です。「けいかくたかみずりゅうりょう」とも読まれているようです。
■洪水調節量
人工的に建設した洪水調節用ダム、調節池、遊水地などに一時的に
洪水流量
の一部分を貯めることによって、下流の河道に流れる流量を減少させる(調節する)ことができます。洪水調節量とは、この減少した(調節した)分の流量のことです。
河道断面 (かどうだんめん)
河川を横に切ったときの河道の断面、すなわち一方の堤防からもう一方の堤防までの断面を河道断面といいます。
空石積み (からいしづみ)
→
石積み、石張り
空石張り (からいしばり)
→
石積み、石張り
仮締切 (かりしめきり)
ダムの
堤体
築造の際、河川を堰き止めて
仮排水路
に
転流
するため、または下流からの逆流を防ぐため、
ダムサイト
の上流あるいは下流に河川の締切りのための仮設構造物を建設することがありますが、これを仮締切と呼びます。
上流締切は、
フィルダム
では土質材料を使ったフィルタイプが多く、
コンクリートダム
では
越流
を見込むため
コンクリート
タイプが多く見られます。また、下流締切はコンクリートタイプが多いようです。
仮排水開渠 (かりはいすいかいきょ)
→
仮排水路
仮排水トンネル (かりはいすいとんねる)
→
仮排水路
仮排水路 (かりはいすいろ)
ダムの
堤体
建設の際に、川の流れを従来の位置から一時的に付け替えて、水を下流に流すために設置される、工事中にだけ使われる仮の水路。ダム堤体建設の際、川が流れていると工事ができないので、仮排水路を建設します。トンネルの場合も開渠の場合もあります。
■仮排水路トンネル
仮排水路がトンネルである場合、こう呼びます。ダムの堤体建設の際に、工事の間だけ川の水を迂回させるための水路トンネルです。通常ダム本体ができあがった後に閉塞します。仮排水トンネルともいいます。
■仮排水開渠
仮排水路が開渠である場合、こう呼びます。
コンクリートダム
について、川幅が比較的広く、流量が少ない場合、まず、片側の岸に沿って水路(開渠)を造り、流れをこの水路に切り替え、河床部分の堤体工事をします。その後、築造された堤体の部分に堤内仮排水路を設けて、川の流れをこちらに切り替えて、残りの工事を行います。
このような方式のときに最初に建設される開渠の水路のことを仮排水開渠といいますが、さらにこのような方式自体を指すこともあるようです。
仮排水路トンネル (かりはいすいろとんねる)
→
仮排水路
河流処理 (かりゅうしょり)
ダム本体工事の施工箇所について、水が流れていると工事が出来ないため、本体工事施工前に仮設構造物を造り、水の流れを変更して工事箇所をドライにすること。その方法は
仮排水路
方式と
半川締切方式
があり、施工個所の地形、河流処理流量、施工方法を含め総合的に検討し、方式が決められます。
川裏 (かわうら)
→
川表、川裏
川表、川裏 (かわおもて、かわうら)
堤防の川側を「川表」、堤防の居住地側を「川裏」と呼んでいます。
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