3.宮崎県の水害
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宮崎県は前述のように大中小の多くの河川が流れ、日本の最多雨地帯であって、豊富な水資源に恵まれているが、その反面台風の上陸も多く県南部には崩れやすいシラス地帯が広く厚く分布し、さらに土砂災害危険箇所数11,826もあり、たびたび水害、土砂災害を及ぼしてきた。水害の惨状について、前掲書『宮崎県における災害文化の伝承』から引用する。
(イ)清武川大洪水 昭和14年10月16日
昭和13年10月14〜15日、県南部に台風が襲来して、県内で死者・行方不明者13名、家屋半壊 113戸の大きな被害が出た。昭和14年、再び台風が県南部を襲った。10月15日より雨が降り始め、16日は記録的な豪雨となり、雨量は大淀川水系で多く観測され、下流の宮崎観測所では15〜16日の降水量が 657mmを記録し、この時、県北部五ヶ瀬川上流域は 100mm以下の降水量であったので、県南部に雨が集中的に降ったことが分かる。
県下の被害は宮崎市、宮崎郡で最も多く、特に清武川流域(田野町・清武町等)では土砂流が発生して堤防が決壊したために、家屋が流出して溺死者32名を出すとともに、田畑の埋没・流出が 100余町歩( 約 100ha)に達する大災害が発生した。
これらの災害や、昭和18年の大淀川、大瀬川の大洪水による災害を契機に、昭和22年に県土木部に「砂防課」が新設さた。
(ロ)平成16年9月4日〜7日の台風18号
県内で重軽傷者14名、家屋全半壊9戸、一部破損22戸、床上床下浸水2戸の住宅被害が発生した。 8月の台風16号で幹線道路が寸断され孤立した椎葉村では、片側通行が始まっていた国道が、通行規制される一方で、林道などの迂回路も土砂崩落で通行できなくなり、再び孤立状態になった。また、西米良村や高岡町では土石流や崖崩れが発生し、人家の一部破損を含む半壊3戸などの住宅被害が出た。
さらに、平成17年9月台風14号が襲来、総雨量は神門地点1321mmを記録し、死者7人、家屋全壊37戸、土砂災害数 139に及んだ。加えて、平成18年7月下旬の梅雨前線による土砂災害が続いた。
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