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洪水被害軽減に役立った二風谷ダム
〜平成15年台風10号出水から〜

 平成15年の台風10号は、北海道の二風谷ダムのある沙流川流域に未曾有の豪雨をもたらし、浸水被害が発生したが、その際、二風谷ダムは洪水調節機能を発揮し、洪水被害の軽減に大きく寄与した。以下は、そのときの状況をまとめたもの。作成に当たっては、基礎資料として、国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部の記者発表資料(速報第2報)を使用しており、数値は速報値であるため修正される場合がある。
■未曾有の豪雨をもたらした台風10号

 平成15年の台風10号は、8月8日21時半頃高知県室戸市付近に上陸、本州を北上した後、岩手県からいったん太平洋に抜けたが、10日の2時頃に北海道襟裳岬付近に再上陸し、台風が近づいた9日から10日にかけて胆振・日高地方に未曾有の豪雨をもたらした。二風谷ダム上流域では、3時間連続で時間雨量30mmを超える記録的豪雨となり、また、二風谷ダム近くの平取町旭の観測地点では、9日一日の降雨量が358mmに達し、これは年間平均降雨量の3分の一に相当する豪雨であった。このため、二風谷ダムのある沙流川流域では、318haに及ぶ浸水被害が発生するなどの事態が生じた。
 
 


 

■ダムが洪水被害の軽減に寄与

 二風谷ダムの効果によって下流の洪水被害が軽減された。ダム上流では破堤があったが下流では一つもなかった。
 洪水時、二風谷ダムへの最大流入量は 約6400m3/秒 であったが、ダムに貯水することによってダム下流への放流量は 約900m3/秒 少ない 約5500m3/秒 に抑えることができた。この結果、下流の河川の水位が抑えられ、例えば平取観測所地点では、ダムがなかった場合の最高水位を推計すると、実際の最高水位よりも約1m高く、ダムによって約1mの水位低下効果があったことになる。実際の水位は、一部では堤防の高さにまで達していたので、もし、ダムがなかったとすると、堤防から水があふれ、大災害となったものと想定される。



■危険な流木を大量に捕捉

 洪水の際、上流で流木が多数発生した。流木は、二風谷ダムに流れ込み、ダムは、約5万m3にも及ぶ大量の流木を捕捉する結果となった。もしダムがなければ、流木は下流に流れ、橋梁や堤防を破壊する、また橋梁に引っかかって洪水があふれる原因となるなど、洪水被害を増幅したものと考えられる。


[関連ダム]  二風谷ダム
(2003年9月作成)
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