ダム事典[用語・解説](ページ:06)

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月刊ダム日本 (げっかんだむにっぽん)
 (財)日本ダム協会が発行するダムに関する専門的な月刊誌。協会の機関誌として昭和30年7月に創刊し、平成15年2月に通巻700号を迎えています。内容は、施工技術の動向や施工事例の紹介、ダム建設の動き、地域の活性化策の動向などです。

ゲリラ豪雨 (げりらごうう)
 近年の集中豪雨には、降雨の範囲がごく局所的で、降雨時間が短く、単位時間当たりの降雨量が多いといった特徴があります。このように、ごく限られた範囲に集中して一度に降る強い雨をゲリラ豪雨と呼ぶことがあります。こうなった原因は、解明されていないようですが、地球温暖化による気候変動や都市部でのヒートアイランド現象の強まりなどが指摘されています。

減勢工 (げんせいこう)
 ダムから流下する水のエネルギーを弱め、洗掘等を防ぐため、ダムの直下流に設ける構造物。減勢池を設けて跳水により勢いを弱める「跳水式」、空気中に飛ばし落下地点の水のクッションで弱める「スキージャンプ式」、自由落下させて水のクッションで勢いを弱める「自由落下式」があります。(→知識を深める:減勢工って何?



跳水式−浦山ダム(撮影:やん)


スキージャンプ式−高根第2ダム(撮影:艦長!)


自由落下式−坂本ダム(撮影:灰エース)


減勢池 (げんせいち)
減勢工

原石山 (げんせきやま)
 ダムの材料となる岩石などを採取する山。コンクリートダムの材料となる骨材フィルダムの材料となる盛立材を採取します。ダムサイトから適当な距離で、利用可能な岩石が採取できることのほか、運搬のしやすさ、環境への影響なども考慮して原石山を決めます。



小田股ダム


原石山で材料採取−小田股ダム


原石山で材料採取−笛吹ダム


現場代理人 (げんばだいりにん)
 ダム建設の際、建設工事請負契約者である建設会社の社長、支店長等の代理人として現場に赴任し、現場の指揮を行う者です。ほとんどの場合、現場作業所の所長を兼ねています。

コア (こあ)
 (1)地盤の状況を調査するためのボーリング調査によって得られる円柱状の土壌や岩石片。コアを調べることによって、地盤の層序や成因、亀裂や風化の程度が分かります。コアによって力学試験もできます。
 (2)ゾーン型フィルダム遮水ゾーン。ゾーン型フィルダムは、遮水ゾーンの配置の仕方によって、中央コア型と傾斜コア型に分かれます。



中央コア型−奈良俣ダム(撮影:さんちゃん)



傾斜コア型−御母衣ダム(撮影:さんちゃん)


コア材 (こあざい)
 ゾーン型フィルダム遮水ゾーンコアと呼ばれる)に使用される、粘土のような土質材料です。遮水性が高い必要があり、さらに施工性の良いことも重要です。単一の材料で必要な性質を得られないときは、複数の材料をストックパイル方式により混合し、求める品質となるように調整して使用することもあります。

公共補償 (こうきょうほしょう)
用地補償

公共用地の補償基準 (こうきょうようちのほしょうきじゅん)
用地補償

高水管理 (こうすいかんり)
 台風、豪雨などによる洪水被害を防止・軽減するため、河川水を管理すること。洪水予報を行い、それに基づいて、洪水調節用のダムや貯留施設、河口堰などを連携して運用します。

洪水期 (こうずいき)
 梅雨の時期や台風の時期など、降水量が多く洪水が起こりやすい時期をいいます。

洪水期制限水位 (こうずいきせいげんすいい)
 洪水調節を目的とするダムのなかには、洪水期に洪水調節のための容量を大きくとるために、洪水期に限って常時満水位よりも水位を低下させる方式を採用するダムがあります。このような場合に、洪水期に超えてはならないものとして設定されている水位を洪水期制限水位といい、常時満水位より下にあります。夏期制限水位、あるいは洪水貯留準備水位と呼ぶこともあります。

洪水時最高水位 (こうずいじさいこうすいい)
ダム計画上の水位と容量

洪水調節 (こうずいちょうせつ)
 ダムなどに洪水を貯めて下流の川の水量を減らすこと。
 ダムは、放流量をコントロールしながら貯水池に洪水の一部をため、それにより下流域の水量を減らし、洪水被害を軽減します。これがダムの治水機能です。
 ダムによる洪水調節は、ダム貯水池に貯められる範囲で可能なもので、想定を大きく超えるような洪水の際のように、ダムが満水となってこれ以上貯めることができなくなったときには、流入量と放流量が同じになり、洪水調節に限界が生じます。

洪水調節容量 (こうずいちょうせつようりょう)
ダム計画上の水位と容量

洪水調節量 (こうずいちょうせつりょう)
河道計画上の流量

洪水貯留準備水位 (こうずいちょりゅうじゅんびすいい)
洪水期制限水位

洪水吐 (こうずいばき)
 洪水の流入に対し、ダムと貯水池の安全を確保するために設けられた放流設備の総称。河川管理施設等構造令では、ダムには洪水吐を設けることになっています。洪水吐は上流から、流入部、導流部減勢工に区分されます。洪水調節を目的とするダムでは、常用洪水吐と非常用洪水吐を持つものが多いようです。
 なお、洪水調節用のダムでは洪水吐と呼びますが、発電用ダムなどでは余水吐と呼んでいます。

■常用洪水吐
 洪水調節に用いる洪水吐。常用と非常用の2種類の洪水吐を持つダムの場合の言葉で、通常はこちらの洪水吐を用いて洪水調節を行います。

■非常用洪水吐
 常用洪水吐に対する言葉で、ダムの設計洪水流量のうち、常用洪水吐の放流量を上回る部分を放流する洪水吐をいいます。一般に越流式の放流設備により構成されます。

洪水流量 (こうずいりゅうりょう)
 洪水時にその地点を流下する河川水の流量。また、とくにダムなどの洪水調節池について、洪水時に流出する流量を指すこともあります。

構造用コンクリート (こうぞうようこんくりーと)
 ダムの堤体にある構造物(監査廊、放水路、エレベーターシャフト、機械室等)の周囲に、鉄筋コンクリートとして使用されるコンクリートです。強度、変形特性、施工性が求められます。

合理化施工法 (ごうりかせこうほう)
 コンクリートダムの施工の省力化、経済性を求めて開発された、コンクリートダムの新しい施工法の総称。RCD工法拡張レヤ工法などがあります。

高流動コンクリート (こうりゅうどうこんくりーと)
 流動性が高く、打設の際の締め固めがいらないコンクリート。打設されたコンクリートは、バイブレータと呼ばれる振動機で締め固められ、密実なコンクリートになりますが、狭い場所や障害物のある場所などではバイブレータを十分に使用できないため、高流動コンクリートが使用されます。


高流動コンクリートの打設−苫田ダム


コールドジョイント (こーるどじょいんと)
 コンクリートダム打設の際に、機械の故障、突然の降雨などによりコンクリートの打設を中止し、そのためにあらかじめ計画していない箇所に打継目が生じることがありますが、これをコールドジョイントと言います。

コールドジョイント (こーるどじょいんと)
 コンクリート打設する際に、打ち継ぎ時に、時間をおいてコンクリートを打設した場合に生じるコンクリート打継部の不連続な面のことをいいます。先に打設されたコンクリートと後から打設してコンクリートが一体化していないために起きる現象です。
 コンクリートダムの建設の際、機械の故障などからコンクリートの打設を中止すると、あらかじめ計画していない箇所に打継目が生じます。せん断応力の伝達、水の浸透などにの点で問題が生じやすいので、清掃、打継には入念な注意が必要です。

コーンクラッシャ (こーんくらっしゃ)
 クラッシャの種類。漏斗状のコーンケーブの中を、円錐状のマントルが旋回することによって、その間に落とされた岩石を砕く構造になっています。主に二次破砕三次破砕に使われます。(→知識を深める:建設機械コレクション(7)〜砕く・削る

湖沼水位調節施設 (こしょうすいいちょうせつしせつ)
 天然湖沼について、その水位の変動範囲を人工的に拡大することにより、ダムと同様に、洪水調節、各種用水の確保などの利水上の機能を発揮させることがあります。代表的な例として、霞ヶ浦開発や琵琶湖総合開発があります。このような場合に、一体として必要となる湖岸堤、堰などの施設を湖沼水位調節施設といいます。

コスト縮減 (こすとしゅくげん)
 国や地方自治体の厳しい財政事情、公共事業の効率化の要請などを背景に、公共工事のコストをできるだけ縮減しようとする国や自治体の取り組み。平成9年4月に政府の関係閣僚会議で「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」が策定され、それを受けて16省庁が行動計画を策定し、平成9年度から平成11年度までの3年間で公共工事コストを少なくとも10%以上縮減することを目指すという目標を設けて、計画段階、設計段階、施工段階など各段階に渡って広範な施策が実施されました。その結果、目標はおおむね達成されたと報告されています。さらに、平成12年には、平成12年度から20年度までを対象とした新たな行動指針・行動計画が策定され、工事コストにとどまらず、施設のライフサイクルコストの観点も取り入れた総合的なコストの縮減を目指すことになっています。
 ダム建設についても、このような公共事業全体の動きに合わせて、各種のコスト縮減努力がなされています。(→日本のダム:コスト縮減

骨材 (こつざい)
 モルタルコンクリートを造るため、セメント、水と練り混ぜる材料。砂、砕砂、砂利、砕石などです。粒径によって、細骨材、粗骨材の区分があります。

■細骨材
 10mmふるいを全部通り、5mmふるいを重量で85%以上通過する骨材。砂などです。

■粗骨材
 5mmふるいに重量で85%以上とどまる骨材。砂利、砕石などがこれに含まれます。

骨材ビン (こつざいびん)
 骨材を貯蔵する円筒形の容器。下部に骨材の取り出し設備を備えています。コンクリートダムでは、通常現地でコンクリートが製造されるので、そのための骨材を貯蔵します。



石井ダム


輝北ダム


竹谷ダム


骨材製造設備(中央に骨材ビン)−灰塚ダム


コンクリート (こんくりーと)
 セメント、水、細骨材粗骨材、さらに必要に応じて加える混和材料を練り混ぜたものをコンクリートといいます。コンクリートはセメントと水の化学反応によって固まっていきます。通常、型枠に流し込み、その型枠の中で固めることで橋や建築物といった構造物を作り上げます。

コンクリートダム (コンクリートダム)
ダムの種類

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