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森林の保水力には限界

 平成15年の台風10号は、北海道の二風谷ダムのある沙流川流域に未曾有の豪雨をもたらしました。沙流川流域は森林の多い地域です。最近、森林の保水機能に注目して、森林を整備すればダムはいらないといった極端な議論も出てきていますが、本当にそうでしょうか。台風10号による豪雨のとき、どうだったか見てみました。
 作成に当たっては、基礎資料として、国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部の記者発表資料(速報第2報)を使用しています。なお、数値は速報値であるため修正される場合があります。
■ダムが被害の拡大を防いだが、下流では浸水も

 二風谷ダム上流域では、3時間連続で時間雨量30mmを超える記録的豪雨となり、また、二風谷ダム近くの平取町旭の観測地点では、9日一日の降雨量が358mmに達し、これは年間平均降雨量の3分の一に相当する豪雨でした。このとき、二風谷ダムは、流入する水を貯めて、洪水調節を行い、また、大量の流木を補足して下流への流出を防ぎ、洪水被害の軽減に大きな役割を果たしました。この結果被害は大きく軽減されましたが、318haに及ぶ浸水被害が発生するなどの事態が生じました。(詳細は →こちら

■森林で豪雨時の洪水被害を防ぐことはできなかった

 沙流川上流域は森林に覆われており、流域全体で約9割が森林です。にもかかわらず、今回のように大雨が降ったときは、大量の降雨が流出し、また流木を河川に送り出しました。豪雨の時は、森林の保水力には明らかに限界があります。森林の整備は大切ですが、それによって豪雨の時の洪水被害を防ぐわけにはいきません。
豪雨に耐えきれず崩れる沙流川流域の山(平成15年8月10日)

同左
[関連ダム]  二風谷ダム
(2003年10月作成)
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