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《株式会社で観光施設を運営》

 そのころ私は大山町の自然が眠ったままになっていることを問題にした。福岡市に開設した領事館での福岡市民の反応、とりわけ経済界の自然や環境、あるいは健康に対する関心の高さに確かな感触を得ていた。そのことから展開方針のひとつに「大山町の地理的条件や環境、産業資源を積極的に活用し、交流人口を呼び込み、新たな地域産業の育成を先導する集客・飲食・体験・滞在型の交流拠点を地元主導により整備する」ことを掲げた。そしてその具体的プロジェクトのひとつとして「豊後・大山ひびきの郷」を建設、運営することとした。

ひびきの郷全景
 交流拠点「豊後・大山ひびきの郷」は、大山町のウメ・クリ運動の原点とも言える『梅』をテーマに、「梅文化」「まちづくり」など大山ならではの話題を肴に、大山を訪れる人々とともにくつろぎ、語り合い、喜びをわかちあうことのできるもてなしの場としての運営を株式会社が行うものである。
平成14年11月、梅酒を始めとする大山の産物を使ったリキュールの工場、温泉施設、宿泊施設、レストラン、体験工房等を整備されオープンした。運営会社には町はもちろんとしてニッカウヰスキーや、夢を買いたい住民など302名が株主として登録された。もちろん、この施設が水没者の就労の場となっていることは言うまでもない。


《グッドデザイン賞受賞》

 開業1年でひびきの郷を訪れた人は37万人を越えた。観光客によるひびきの郷への直接消費額は約4億円であるが、小売店⇒卸売店⇒製造所⇒原材料店⇒生産者といった流通経路に見られる関連産業を考えると、人件費等を含めてその波及効果は8億円とも、9億円ともいわれる。観光があらためてすそ野の広い産業だと教えられた。

観光入り込み客30万人目のセレモニー

ひびきの郷売店
 多くの人を引きつけるためには様々な工夫が必要である。入り込み客の70%が福岡からということを考えると、前述の水源地という精神的な距離感の縮小や、領事館での活動システムが功を奏したのかもしれない。

 また、立ち上げの段階でCI(corporate identity)企業のイメージ・理念をシンボルマークやシンボルカラーを用いて、社の内外に浸透させる広告戦略を用いたことも話題づくりにつながった。特に、この道の第一人者を採用したことが、グッドデザイン賞の獲得を容易にしてくれたし、今後の営業展開で大きな財産となった。


グッド・デザイン賞受賞
 外部からの応援もうれしい。ある民間放送局が募集した「ふるさとCMコンテスト」に中学生がひびきの郷のCMを制作し応募、みごと優秀賞に選ばれ150回の放映権を獲得した。また、全国うめぼしコンクールで日本一に輝いた主婦、響き鮎の復活にかける人達がひびきの郷とリンクした形で情報発信してくれた。
そこに住む人達がひびきの郷を誇りに思う、自慢にすることが観光にとってはとても大切なことだと感じた。


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