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《観光客150万人時代へ》



 先の松原・下筌ダム建設では農業革命ともいうべき、耕種農業から知識集約農業への構造改革に成功した。

 今回の大山ダム建設ではサービス産業へシフトされる日本経済の仕組みの中で、産業革命への挑戦が試されている。

 多分、主力産業である農業を支えるため、従来の生活をする場所、生産をする場所のみの農村形態から、観光や交流を媒介に消費する場所、サービスする場所を加味していく作業であろう。

 ダム建設の推移とともに、先行したいくつかの事業はそれなりの成果を残したかに見える。しかし、観光は点でなく、線になるとか面としての広がりがあって初めて相乗効果が期待されるものと思える。
 大山町でも大山川を活用した道の駅の川版「水辺プラザ・川の宿」がまもなく開業の運びとなる。また、大山ダム建設後には田来原100年の森公園も完成する。

 更には、この春から松原ダムで遊覧船が営業を開始する。ひびきの郷など既存の施設をあわせると入り込み客は年間150万人も夢でなくなったようだ。大山ダム建設の話が持ち上がった時、年間5万人の観光客がいたのだろうか 。隔世の感がする。


川の宿完成予想図
《目標は達成されたのか!》

 大山町におけるダムがらみの地域づくりは、変革期を迎えた時代の潮流や町がかかえた地域づくりの課題をふまえ、長期的、広域的に対処してきた。それはこれまでの地域づくりで培ってきた精神に、みずみずしいセンスと思いを蘇らせ、生活再建を越えた地域創造を目指したといえる。あらためて、当初掲げた3つの目標を列記しレポートを終わりたい。


■大山町に新たな産業を創造する。
 大山ダム建設にともない投下される地元対策関連の公共投資等が、大山の地域産業の高付加価値化、新たな産業創出、産業を支える担い手育成等へ投入され、その  効果が地域の企業化、新商品開発、グリーンツーリズム、UIターン等に波及することにより、大山町の地域経営資源である産業や人材が育成・蓄積されることを目指す。

■大山町に新たな環境資産を創造する
 大山ダムの建設にともない実施される関連公共事業の各種プロジェクトが、大山町民の生活環境(アメニティ&クォリティ)を豊かにするとともに、筑後川流域や福岡市等との間に水や緑という「環境を縁とした多様な交流・連携」を促進し、その結果、大山町に、町民はもとより、内外の人々の財産として21世紀に誇りうる豊かな自然が創造されることを目指す。

■大山町に新たな地域経営システムを創造する
 大山ダム建設に関連して実施される各種の事業やプロジェクトの展開を契機として大山町へ新しいまちづくりを運営・経営するための新たな企業化集団や経営組織が生まれたり、流域市町村や福岡市等の行政や企業、住民等の参加により広域的な環境形成の仕組みができるなど、産業間の垣根や官民の境界さらには市町村の境界を越えた連携と協働により、新たな時代にふさわしい地域経営の仕組みが構築されることを目指す。


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