ダム事典[用語・解説](ページ:09)

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水源地域ビジョン (すいげんちいきびじょん)
 国土交通省が推進している水源地域の活性化計画。ダムを活かした水源地域の自立的・持続的な活性化を図り、流域内の連携と交流によるバランスのとれた流域圏の発展を図ることを目的として、ダム水源地域の自治体、住民などがダム事業者・管理者と共同で策定主体となり、下流の自治体・住民や関係行政機関に参加を呼びかけながら策定する水源地域活性化のための行動計画です。対象は、国土交通省直轄と水資源機構のダム。
 平成13年度に策定が開始され、平成14年11月現在、全国の53ダムが対象となっており、そのうち11ダムは策定が終わり、公表されています。

水工アスファルト (すいこうあすふぁると)
 フィルダム、河川、水路などの各種水理構造物に遮水、表面保護、侵食防止などの目的で材料として用いられるアスファルトやアスファルト混合物のことです。
 アスファルト系材料は、水密性、たわみ性、耐久性などの優れた特性を持ち、施工性にも優れるなどの利点があるため、フィルダムや調整池の表面遮水壁としてよく使われます。

水質保全 (すいしつほぜん)
ダムの水質保全

水特法 (すいとくほう)
水源地域対策特別措置法

水利権 (すいりけん)
 河川の水を利用する権利。水道用水、工業用水、農業用水などのため河川の水を取水して利用する場合などです。
 河川法第23条は河川の流水を占用しようとする者は河川管理者の許可を受けなければならないとしており、この許可は正確には流水の占用の許可ですが、一般には水利権と呼ばれています。歴史的にみれば、江戸時代、あるいはそれ以前から河川の水を農業用などに利用してきており、明治時代に旧河川法が制定される以前から権利ともいえる形で水利用の秩序が存在しました。旧河川法が制定されたときに、これらは許可を受けたものとみなされ、引き続き河川の水利用が認められました。これを、慣行水利権と呼び、これに対し河川法の許可手続を経て許可されたものを許可水利権と呼ぶことがあります。
 水利権は、異常渇水時を除いて常にその水量を安定的に利用できるときに許可されるのが原則で、これを安定水利権と呼ぶことがあります。一方、河川に一定の流量があるときにのみ取水できるとする条件が付された暫定的な水利権があり、暫定豊水水利権と呼ばれることがあります。暫定豊水水利権は、水需要の急激な増大に対して水資源開発が追いつかず、社会的要請から暫定的に許可されたもので、河川の流量が豊富なときのみ可能な取水(これを不安定取水ということがあります。)であることから、できる限り早期に安定水利権に移行すべきものと考えられています。

水力発電 (すいりょくはつでん)
 水の位置エネルギーを利用して電気を生み出す発電方式。河川の水を高い所から低い所まで導き、その流れ落ちる勢いにより水車を回して電気を起こします。水の量が多いほど、また流れ落ちる高さ(“落差”)が大きいほど、発電量は大きくなります。水力発電は、再生可能・純国産・クリーンな電源といわれ、日本の全発電量の約1割が水力発電によっています。水力発電は、いくつかの観点から分類されています。

■水の利用方式からの分類
・貯水池式
 河川を流れる水の量は、季節的に大きく変化します。このため、水量が豊富で電力の消費量が比較的少ない春先や秋口などに河川水をダムなどの大きな貯水池に貯め、電力が多く消費される夏季や冬季にこれを使用する年間運用の発電方式を貯水池式といいます。
・調整池式
 夜間や週末の電力消費の少ない時には発電を控えて河川水を池に貯め込み、消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電する方式を調整池式といいます。
・流れ込み式
 河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式を流れ込み式といいます。
・揚水式
 1日の電力消費量は時間帯により大きく異なり、ピーク時には最も少ない時の約2倍にも達します。揚水式は、ピーク時に発電する方式です。通常地下に造られる発電所とその上部、下部に位置する2つの貯水池(上池・下池)から構成されます。昼間のピーク時には上池に貯められた水を下池に落として発電を行い、下池に貯まった水は電力消費の少ない夜間に上池にくみ揚げられ、再び昼間の発電に備えます。揚水発電所には、発電に利用する水をすべて揚水によって得る純揚水式と、発電に使用する水を揚水のほかに河川の自然流入を利用する混合揚水式とがあります。

■構造による分類
・ダム式
 ダムにより河川をせき止めて池を造り、ダム直下の発電所との落差を利用して発電する方式です。この方式は、水利用としては、貯水池式や調整池式であることが一般的です。
・水路式
 川の上流に低い堰を造って水を取り入れ、長い水路により落差が得られるところまで水を導き発電する方式です。この方式は、水利用としては流れ込み式であることが一般的です。
・ダム水路式
 ダム式と水路式を組み合わせた発電方式です。この方式は、水利用としては貯水池式、調整池式又は揚水式であることが一般的です。

水和熱 (すいわねつ)
 セメントと水が反応して不溶性の水和物を作り、凝結硬化する現象を水和といいます。セメントが固まることです。水和の際に出る熱を水和熱と言います。ダムように大きなコンクリートでは、打設されたコンクリートが固まるとき、水和熱により温度が上昇し、適切な管理を行わなければ温度応力によりひび割れが生じることがあります。

スクレーパ (すくれーぱ)
 前後の車軸の間にボウル(積み込み容器)があり、その前下端に取り付けられたカッティングエッジで土砂を削り取って積み込み、目的の場所まで運搬の後、撒き出すできる機構を持つ機械。掘削・積込・運搬・撒き出しを1台の機械でこなせる便利な機械です。高い土地を削って低いところを埋めるようなときに使われます。

スケルトンバケット (すけるとんばけっと)
 パワーショベルバックホウなどのアーム(腕のように伸びた部分)の先端に取り付けるバケットで、底板部がマス目状になっているもの。土砂中の岩石の選別、セメントのかく拌などに使用されます。

捨石工 (すていしこう)
 法面保護工の一つです。例えば、ロックフィルダムの上下流面は波浪、風、雨、気温の変化、貯水位の変動等により浸食、風化作用を受けるため法面保護工が必要です。このような場合の岩石材料を使用する法面保護工には、捨石工と張石工があります。岩石材料をかみ合わせ、石と石の間に小さい石を埋め込んで間詰めをして表面をほぼ凹凸なく仕上げるものを張石工といい、間詰めなどを行わない岩石を使用した法面保護工を捨石工と言います。(→知識を深める:リップラップに捨石工法(二ッ石ダム)


広瀬ダム(撮影:Dam master)


ストックパイル方式 (すとっくぱいるほうしき)
 フィルダムを建設する際にダム堤体の材料を工事現場に運び込むための方法の一つです。土取場や原石山で採取した土や岩石をダムに直接運搬する方式を直送方式といい、一旦別の場所に仮置きして、さまざまな加工や調整を行い、そこからダムに運ぶ方式をストックパイル方式といいます。

 ストックパイル方式によって、ダムを築造する準備ができていないときに発生する材料を無駄にしないために仮置きする時間的調整と、材料の大きさや混ざり具合(粒度分布)を調整したり、土の水分量を調整したりする物理的調整とを容易に行うことができ、高品質で低コストなダムを築造するために有効な手法とされています。
 ストックパイル方式を採用したとき、土や岩石などを一時的に仮置きする場所をストックパイルと呼びます。


ストックパイル−苫田ダム


スピルウェイ (すぴるうぇい)
 Spillway 洪水吐のこと。

隅田川レガッタ (すみだがわれがった)
ウォーターフェア隅田川レガッタ

スライド式型枠 (すらいどしきかたわく)
スライドフォーム

スライドフォーム (すらいどふぉーむ)
 コンクリートダム堤体工事に使用するコンクリート型枠の一種類です。ダム堤体工事で使用するコンクリート型枠は、コンクリート打ち上がりに伴う移動に対して容易に対応できることが必要で、そのため順次上方へスライドさせることができる鋼製の型枠が開発されました。これをスライドフォームといいます。また、スライド式型枠などとも呼ばれるようです。



スライド作業中−新宮川ダム


苫田ダム


灰塚ダム


稗原ダム


スラリー (すらりー)
 液体中に細かな固体粒子が安定的な状態で混合し、濃厚に懸濁したもの。土の場合、水分を多く含みスープ状又はかゆ状になったものをこう呼びます。

スラリークレイ (すらりーくれい)
 粘土、シルト分が卓越した粘性材料に水を加えスラリー状にしたもの。フィルダム遮水ゾーンを施工する際、コンタクトクレイまたは着岩コア施工直前に、人力により岩着面に1〜5mm厚でこれを塗布します。


着岩部スラリークレイ塗布−小田ダム


スランプ (すらんぷ)
 生コンクリートのやわらかさの程度を表す値です。この値が大きいほど、やわらかいコンクリートとなります。
 スランプの値はスランプ試験によって求められます。スランプ試験では、スランプコーンと呼ばれる筒状の入れ物に生コンクリートを入れ、突棒で攪拌したあとで垂直上方にスランプコーンを抜き取り、そのときにコンクリート頂部の高さが何cm下がったかを測定します。

スレーキング (すれーきんぐ)
 土やある種の軟岩に見られる現象で、大気中で乾燥した後、水に浸されると急激に亀裂が生じたり、バラバラに細片化したり、泥状あるいは砂状になったりする現象です。

生活再建 (せいかつさいけん)
生活再建措置

生活再建措置 (せいかつさいけんそち)
 ダムの建設に伴って水没する地域の住民は大きな影響を受け、家屋、土地、職業といった生活の基盤を失うことになります。このため、通常の損失補償に加えて、この影響を緩和するために様々な措置がとられますが、これを生活再建措置といいます。大規模なダムの場合、他の公共事業とは異なって水没地域が広く、コミュニティそのものが失われることも少なくないため、生活再建措置は特に重要です。
 内容としては、代替地の斡旋・提供、各種の相談、資金の融資、職業の斡旋などですが、ダム事業者が行う通常の用地補償(損失補償)も生活再建措置に含めることもあるようです。

生活貯水池 (せいかつちょすいち)
 山間部や半島部、島しょ部などの局地的な治水対策、利水対策を目的として、昭和63年に創設された小規模ダム建設のための国の補助事業。通常のダムに比較して小規模(有効貯水容量が概ね100万立方メートル以下)で、その効果、影響範囲も主としてその地域に限定され、地元住民のための生活密着型ダム事業です。



青野大師ダム(撮影:だい)


大仁田ダム(撮影:ふむふむ)


山田川ダム


つづらダム


制限水位 (せいげんすいい)
洪水期制限水位

正常流量 (せいじょうりゅうりょう)
 河川の流水の正常な機能の維持に必要な流量のことです。これは、維持流量と下流の水利権に対応した流量の双方を満足するものとして定められています。この流量を下回ることになると、河川環境が悪化したり、水利権者が取水できないといった何らかの支障が生じることになると考えられます。したがって、異常渇水時を除いてこの流量を下回ることがないよう計画するのが原則です。

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