《ダムの小説を分類すると》
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このように古代から現代まで、多くのダムが造られてきた。ダム築造には、建設側の組織力、経済力、技術力が必要であるが、大義名分、世論の後押しもまたその成否を決定する。そして必ず、ダムの建設をめぐって利害関係の衝突が起こってくる。造る側と造られる側との葛藤と確執が生じる。造る側、造られる側の内部にも悶着が生じる。また、ダム地点における県市町村の行政側の苦渋もつきない。この争いごとが大きければ大きい程社会的な多大な反響を呼ぶ。
ダムの小説は、建設時の社会背景を通じて、沈められる側の人たちの喜怒哀楽を捉え、さらには建設に挑む人たちと、その家族も含めた人間像を描く。巨大な人工ダムの創造のプロセスにおいて、過酷な自然環境を包みこみながら、事件、人物、人間社会が描き出される。著名な作家たちは、ダムをテ−マとして小説化する所以がここにあるようだ。ダムの小説については、
第1に、ダムの水没者の苦悩と心情を描いた作品 第2に、ダム建設に挑む技術者たちの人間性を追求した作品 第3に、ダム建設に真正面から対峙した作品 第4に、ダム建設そのものを社会的、政治的な面から捉え批判した作品 第5に、ダムそのものがテ−マでなく、ダム技術者と女性との愛を描いた作品、
とに分類できる。
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