11月14日は、「埼玉県民の日」に制定されています。毎年この日は埼玉県が管理する有間ダムと合角ダムが一般開放され、普段は立ち入ることができない部分も見学できるチャンスです。現代の暦では365日をもって1年としているため、365÷7=52週あまり1日で、毎年1日ずつ曜日が移動する計算になります。もしも、1年が364日であったとしたら、毎年毎月が同じ曜日に固定されてしまいます。1年間の総日数が1週間の日数で割切れないことで、私たちは日々の変化を楽しめるのかもしれません。個人的には「埼玉県民の日」が週末になる年を数年前から心待ちにしていました。こうして平成27年の11月14日はようやく土曜日となりました。
1.有間ダム見学会
有間ダムは埼玉県が手掛けた第1号のダムで、トンネル式の洪水吐きを持つロックフィルダムです。
見学会当日の有間ダム上流面 最初に左岸側に常設してある説明板を利用して、担当者からダムの概要についての説明がありました。あいにくの雨天にもかかわらず、朝から十数名の見学者が訪れていました。
有間ダムの概要説明 見学内容は、ほぼV字型に造られた監査廊を下って洪水吐きトンネルの出口付近から堤体背面(通常は立入禁止)の岩登りをして戻る予定でした。しかし、今回は雨天のため監査廊内の部分的な見学のみとなりました。非常に残念なことですが参加者の安全を配慮した結果ですから、しかたありません。
監査廊入口
有間ダムの監査廊 万が一にも見学者に事故があった場合には、この見学会は永遠に開かれなくなる可能性もあります。自然が相手です。監査廊に入れて頂いただけでも良かったと思わなければなりません。
三角堰
監査廊内の標識 平成28年は、オリンピックイヤーのため1年が366日(閏年)となります。366÷7=52週あまり2日ですから、今年の暦から曜日が2つ進むことになります。そのため、来年の11月14日は日曜日ではなく月曜日になってしまいます。
見学会参加記念品の一部
2.合角ダム見学会
合角ダムでも小雨が降り続く天候でしたが、見学会は予定通り行われました。
合角ダム見学会
監査廊内部 合角ダムでは、選択取水設備の修繕工事が行われているため非常用洪水吐に仮設したホースを利用して水面下約6mから汲み上げられた水による河川維持放流を行っています。
河川維持放流中の合角ダム 合角ダムの非常用洪水吐きは9門の全面自由越流式で、ゲート操作不要の自然調節式となっています。これらの非常用洪水吐きのうち7門(右岸3門と左岸4門)の越流部はEL=329.8mです。
写真でもわかるように中央の2門については、他の越流部より敷高が少し低く(EL=328.0m)なっています。合角ダムでは非洪水期(10月1日〜6月30日)の常時満水位がEL=328.0mですから、非洪水期に常時満水位に達すれば、この中央の2門を越流している姿がみられるはずです。つまり、洪水期(7月1日〜9月30日)には、非常用洪水吐として使用されている中央の2門は、非洪水期の常用洪水吐きを兼用しています。
合角ダム下流面 ここ数年、「川の防災情報」で非洪水期に合角ダムの水位をチェックしおりますが、4月上旬には放流量を増やして常時満水位(EL=328.0m)まで達することはありません。放流量を増やすのは下流域で水の需要があるためです。職員の方のお話でも、これまで非洪水期に常用洪水吐き越流した記憶はないということでした。 試験湛水時には、この中央の2門に角落しを設置して越流しないようにしたそうです。洪水期の台風による洪水で、過去には中央の2門を越流したことは何度かあるようですが、この部分から水が流れることは滅多にあることではありません。この選択取水設備の工事は12月中旬までには終了するそうです。もう間もなく、この放流も終了するようです。ご都合のつく方は、ぜひ一度足を運んでください。
選択取水設備ゲート巻上機 荒川上流部には国土交通省や水資源機構が管理する大きなダム群がありますが、埼玉県も負けず劣らず県民のために頑張っていることがわかった一日でした。
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