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■ 遺産の保存と市民への公開

 旧本河内高部ダムは、貴重な歴史的土木遺産であり、それを後世に伝えるとともに、市民に公開し、ダムが地域コミュニケーションの場になるよう、保存と整備に取り組んでいる。

●旧ダム堤体を保存

 旧堤体は、歴史的な土木遺産であり、上流側に新たにダムを建設して旧堤体自体は保存することにした。
下流から貯水池を望む(再開発前)

既設導流壁と旧堤体
●石積みの保存

 浄水場横にある既設導流壁前面の石積みを保存し、ダム本体から続く景観を保全した。
既設導流壁前面の石積

既設導流壁前面の石積
●幻の石橋

 大渇水時にのみ、水底に眠る「幻の石橋」が出現していた。これは、既設ダムの建設により水底に沈んだもの。自然石のアーチ橋は珍しく、長崎市の有形文化財に指定されている。ダム本体工事中は、振動による崩壊を防ぐため、盛土で保護、湛水開始前に掘り起こすことにしている。

水底に眠っていた「幻の石橋」
●取水塔・底樋の保存

 旧堤体盛土内には、取水塔から下流浄水場につながる底樋がある。このうち新堤体にかかる部分は使われなくなるが、取水塔・底樋は、歴史的価値に配慮し、新旧堤体間を整備する際にモニュメントとして利用することにして、一部を移転保存する。
既設取水塔

既設取水塔の頭部を切り取って移設
取水塔頭部仮置き状況

既設堤体下流面(中央に底樋入口)

既設底樋・入口
既設底樋入口銘板

既設底樋内配管
既設底樋・切取り状況

既設底樋・移設状況
●新旧堤体間の整備

 新設堤体下流側、旧堤体上流側の新旧堤体間については、後に施工される低部ダムの掘削残土で盛土を行った後、次のようなコンセプトで環境整備を行うことにしている。

・土木遺産の保存 〔価値を見極めた保存の必要性〕
・土木遺産の活用 〔市民への公開の必要性〕
・歴史を考慮したデザイン 〔時代感覚の必要性〕


新旧堤体間整備計画(案) 平面図

イメージ

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