■ 貯水池斜面の緑化
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貯水池の常時満水位とサーチャージ水位との間の斜面(高低差15m、面積約10ha)は、ダム完成後に行う試験湛水によって常時満水位以上まで水位が上昇して、植物が死滅し、適切に緑化されなければ、裸地として残ってしまう。そこで、「森林表土のまきだし法」と呼ばれる次のような方式の対策を行った。
・水位が上昇する前に、常時満水位以下の斜面から森林表土を集めて保存する。 ・試験湛水後、貯水池斜面を土留めなどをおこない、表土の流出を防止する。 ・保存しておいた森林表土を、植物の種子と土が混合した状態で貯水池斜面に吹き付ける。
ダム運用時には、このサーチャージ区間に洪水で貯留される時間は、1〜2日であり、実験では1〜2日の冠水が植物に及ぼす影響はほとんどないことがわかっている。従って、試験湛水後の緑化が適切であれば、その後緑地の状態が永続することが期待される。
@ダム完成の昭和55年度から昭和57年度、A完成後ほぼ5年を経た昭和63年度から平成元年度、B15年を経た平成10年度から平成11年度にかけて、の三度に渡って、ダム建設が自然環境に与えた影響や自然回復工事の効果について追跡調査を行った。その結果、植生の着実な回復など、期待された効果が確認された。
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