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淀川水系と吉野川水系のプラン

 近畿一の大河・淀川水系の「フルプラン」は「近畿の水がめ」琵琶湖に大きく依存している。同計画は、55年度(1980)における水需要の見通しを約毎秒・68立方メートル(トン)としている。内訳は、水道用水43立方メートル、工業用水23立方メートル、農業用水2立方メートルである。これに対して、供給の目標は毎秒50.4立方メートルとしている。この「フルプラン」は、琵琶湖総合開発(毎秒40立方メートル)が開発水量の約80%を担うことが一大特徴である。目標年度に対する水資源供給施設として、室生ダム(水資源機構、48年完成)一庫ダム(同、58年完成)、日吉ダム(同、平成8年完成)、比奈知ダム(同、平成9年完成)、布目ダム(同、平成12年完成)が建設された。琵琶湖開発総合計画は、湖岸堤の建設や浚渫それに瀬田川洗堰の放流量調節により、プラス3.0メートルからマイナス1.5メートルまでの水位範囲の水を利用可能とすることで、新たに毎秒40立方メートルの水資源を開発する計画であった。同計画は2回の工事延長を経たものの平成7年に完了した。

 四国一の大河・吉野川の水資源開発は、45年に施行された地方開発促進法に基づく四国地方開発審議会で、早明浦(さめうら)ダム(水資源機構、昭和50年完成)などについて審議が重ねられ、51年に吉野川総合開発計画が決定された。同計画は、吉野川上流に利水・治水・発電の中核である早明浦ダムを建設し、続いて池田ダム(同、49年完成)、吉野川から香川平野に分水・導水する香川用水、新宮ダム(同、50年完成)、さらに旧吉野川河口堰の建設がそれぞれ実施された。されには高知分水が完成し、銅山川に建設された富郷ダム(同、平成12年完成)も運用を開始した。これら7事業によって新たに生み出された水資源は、年間毎秒9億2200万立方メートル(トン)に上り四国四県に配分されている。早明浦ダムは「四国の水がめ」である。


 日本列島は、ダムや導水路などの水資源開発施設の建設・整備に伴って都市用水の安定した供給がなさるようになった。全国的に見ると大都市の水道用水の水源として整備されたダムは、石狩川水系豊平ダム(北海道開発部、札幌市)、名取川水系釜房ダム(国土交通省、仙台市)、太田川水系温井(ぬくい)ダム(同、広島市)、筑後川水系江川ダム(水資源機構、福岡市)などがあり、これらはすべて特定多目的ダムである。平成6年度(1995)現在で、ダムによる水資源供給量は毎秒141億立方メートル(トン)となり、都市用水の43%を担っているのである。(「ダムの役割」(ダムの役割調査分科会・平成十七年三月刊)参照)。


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