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2.愛媛県の河川

 愛媛県の河川をみてみると、東予地域では、別子連峰に源を発する吉野川水系銅山川が、法皇山脈の南側を東流して徳島県に流れ下る。一方、法皇山脈、四国山地を分水嶺として北流し燧灘へ注ぐ、金生川、関川、加茂川、中山川などの中小河川は短流で急流河川が多い。高縄半島、島しょう部を流れる蒼社川、台本川は花崗岩質のため天井川を形成している。
 中予地域では、石鎚山系に源を発し、南斜面の中央山間部を南流する仁淀川水系と、北斜面を流下し、県中央部の道後平野を西流する重信川水系の河川などが伊予灘に注ぐ。

 南予地域には、宇和盆地に源を発し、大洲平野を貫流し、伊予灘に注ぐ肱川水系の河川と太平洋へ注ぐ渡川水系の上流支川等の河川がある。

 愛媛県の河川は、一級河川 745河川、総延長1944km、二級河川 410河川、総延長1247km、合計1155河川の3191kmに及ぶ。この他に準用河川 111が流れている。

 これらの多くの河川は、地形上、流路が狭く急流で、たび重なる土砂の流出により、天井川を形成し、豪雨の際には、流量が急増し堤防、護岸等の決壊や氾濫による浸水被害をたびたび発生させてきた。


 
 
3.愛媛県の水害

 主なる水害を追ってみると、昭和18年7月の大水害では死者、行方不明者 134人、昭和20年枕崎台風死者、行方不明者 182人に及んだ。昭和31年、32年、33年、34年(伊勢湾台風)、35年、37年、39年と毎年のように水害に見舞われた。近年では昭和50年台風5号、昭和51年台風17号東予地区の被害、平成7年7月の梅雨前線豪雨による肱川流域(大洲市)の浸水家屋約 900戸にのぼった。平成16年8月台風15号集中豪雨で新居浜市、四国中央市で死者4人、床上浸水 470棟、床下浸水96棟などの被害を生じた。
 昭和18年7月24日の大洪水の惨事について、国交省山鳥坂ダム工事事務所編・発行『肱川の治水』(平成17年)からそのまま引用する。

 舟が電線上うかぶところもあれば、激流のために網を張って繰る者もあり、天井にもいられなくて屋根上にでて救を求める者もある。十数頭の乳牛の足かきおぼれるあれば、ゆらぐ急流中に運を天にまかして籠城して水位を見つめる者もあり……水位二五尺、肱川本支川くまなく氾濫決潰して山津波となり流域は泥海と化す

 大洲盆地が見渡す限りの泥海であったという、死傷者 131人、流失家屋 554戸、全壊家屋396戸、田畑の流失と埋没が1627町、堤防決壊と破損59箇所などにおよんだ。この大水害を契機に、昭和19年内務省中国四国出張所肱川工事事務所(のちの大洲工事事務所)が開設され、肱川の本格的な改修が始まった。


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