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◇ 6. ダム湖岸の法面緑化

 ダム湖における水位変動域は、水没と露出を繰り返すために帯状に裸地化が生じ、ダム景観を損なうこととなる。また裸地化が進むと、ダムに流入する土砂の増加を招き、法面崩壊の発生原因ともなる。ダム景観上、ダム保全上法面緑化の対策は重要である。

 この対策として、ダム水源地環境整備センター編・発行「LAKE FRONT PLANTING・ダム湖岸法面緑化」(平成4年)がある。全国のダムとして金山ダム、四十四田ダム、藤原ダム、下久保ダム、大石ダム、美和ダム、九頭竜ダム、菅沢ダム、野村ダム、下筌ダムなどのダム湖岸法面植生状況を紹介している。それぞれのダムではリードキャナリーグラス、ネコヤナギ、ギョウギ芝、スギナを植栽しているが、消滅した植物もあり、ダム管理上の苦労が続いている。外来種の植物でなく、本来そこに育っている植物で緑化できるとよいのだろう。常に川は変化するようにダム湖もまた変化する。この緑化対策の調査は平成2〜3年頃で、すでに15年程経過して、現状はどのように変わっているのだろうか。
 法面の緑化対策は、ダムの景観、ダムの保全、それにダムの生態にもかかわってくる。

 以上いくつかの書を挙げてダム景観を見てきたが、ダムづくりは地域を含め、社会環境、自然環境に十分に配慮された時代となってきた。
 ダムサイトに立ったとき感動が湧き、そして俳句や短歌にうたわれるダムは、優れた景観美を備えたダムであると言えるだろう。

 ほのぐらき 林の中の坂の道
    のぼりつくせば 広きダム見ゆ
  (昭和天皇)


「LAKE FRONT PLANTING・ダム湖岸法面緑化」

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