大規模ダムが早く完成
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韓国には標高2,000m以上の高山がないため、山地は総じてなだらかである。そのせいか貯水池の規模が日本より大きいダムがいくつかある。最大のものは首都ソウルを流れる漢江(ハンガン)の北支川に位置する昭陽江(ソヤンガン)ダムであり、総貯水量は29億m3にも達する。
しかし、1990年代に入ってから、大規模ダム適地の減少や地元の反発等の状況変化に対応して、多目的ダムの建設の主眼を貯水量10億m3未満の「中小規模ダム」に置くよう、政策転換が行われた。
また、極めて短期間で完成していることがわかる。もともと「早く早く」が韓国人の気質であるが、軍事政権が長く続いたこともあり、ダムに限らずおよそ公共事業では、必ずといってよいほど収用や強制執行が行われ、日本に比べれば短時日で施行されている。工事が終わらない限り補償金を支払わない「先工事後補償方式」で施行されたことから、住民も従わざるを得ないという事情もあった。
ただ、1993年の金 泳三(キム・ヨンサム)大統領以降の文民政権では、民主化の進展もあって国民の権利保護の姿勢が強まった結果、2000年代に入り「先補償後工事方式」に転換されたことや、環境制約の強まりから、従来ほどスピード施行はできなくなっているようである。
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