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ダムと報道

 ダムと報道の関係は韓国でも問題になることがある。ここでは日本と比べてユニークな例を紹介したい。

 韓国では、「定期刊行物の登録等に関する法律」という法律に基づきには言論仲裁委員会という機関が設置されており、マスコミの報道等により被害を受けた個人や団体が当該マスコミを相手に「反論報道請求」「訂正報道請求」などを行った場合にこれを審議し、仲裁する制度がある。この委員会は権威があり、韓国国民の信頼も高いという。事件は、韓国水資源公社が施行し、試験堪水中の龍潭(ヨンダム)ダムの水没地にごみが散乱していることについて、民放のMBCテレビが2000年12月3日の番組で「ごみのダム」というタイトルで報道したことに端を発する。公社はこれに対し言論仲裁委員会に申し立てをし、同年12月18日に訂正報道を命じる仲裁決定を勝ち取った(決定内容は下記のとおり)。マスコミに対して「勝訴」したこともさることながら、わずか2週間で決着がつくというスピード解決は、裁判に何年もかける日本から見れば、何ともうらやましい話である。

 もうひとつの例は、新聞報道に対し訂正要求をして訂正させたというものである。先述した龍潭ダムは渇水のため試験湛水が遅れ気味で予定通りの運用開始が危ぶまれていたが、これについてハンギョレ新聞という全国紙が2001年6月25日付けの紙面で「ヨンダム・ダム湛水できず洪水被害のおそれ」という記事を掲載した。これに対し、第1版を見た公社の広報担当者が編集部記者に接触して事情を口頭で説明して、第2版以降は記事を削除してもらうことに成功した。1版は仮版であるため、実際には読者の目に触れることはなく、事実上は報道されなかったことになる。
 また、9月27日付け世界日報は、「ダム15箇所「安全異常」〜国内ダムの安全診断を実施した結果、忠州ダム等12ダムの安全に異常」というタイトルの記事を掲載したところ、担当記者に接触して説明した上で、小見出しを変更して表現を和らげてもらうとともに、掲載面を1面から2面に変更し、関連記事を削除してもらった(内容は下記参照)。


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