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韓国水資源公社のダムの特徴

 韓国水資源公社は政府投資機関管理基本法と韓国水資源公社法という法律に基づき政府が出資して設立した公共法人であり、日本の水資源機構に相当する組織であるが、地域開発・工業団地造成を目的とする産業基地開発公社を吸収したことから、工業団地、工業用水道、広域上水道の建設・管理も業務内容としている点が特徴である。

 また、特定多目的ダム法に基づき建設された直轄ダムの管理も全面受託しており、地方公共団体もダムを建設することは法制度上可能であるが、財源上の問題もあって現実には存在しない。したがって、韓国のすべての多目的ダムを公社が管理しているのが実情である。

 公社のダムで特徴的なことは、建設資金の回収方法であり、建設費用の100%を公社が調達し、完成後に利水者から支払ってもらうという完全な先行投資方式が採用されている。発電の場合は完成直後から運用するため、電力会社から直ちに支払ってもらえる。しかし、水道や工業用水道の場合は末端施設まで完成し、実際にエンドユーザーに配水されるまで、支払いが行われない。1980年代半ばの話であるが、総貯水量29億トンの昭陽江(ソヤンガン)ダムを水源とする首都圏広域上水道第1期施設が完成し、ソウル市に配水できるようになったときに、公社が利水者であるソウル市に請求をしたところ、当時の市長は「そもそも川の水は天から降ってきたものなのに、なぜ金を払わねばならないのか」と言い張って拒んだという。

 もうひとつの特徴は、利水者の支払う金額は1トン当たりで全国一律に定額で決定されている、すなわち、プール方式が採用されているのである。しかも、実際の負担水準は発電に比べて低く抑えられているようである。水道の場合、m3当たり30.35ウォンであり、原価の7割水準であるという(朴 漢圭「韓国における水資源の開発と管理」河川2002年5月号P40)。
 建設の仕組みについては、特定多目的ダム法の制定や水資源公社の設立など日本の制度を導入しているにもかかわらず、資金面についてこのような独自の制度を採用していることについて、公社の説明によれば、上水道の利水者である韓国の地方公共団体の財政力が脆弱であるためということである。


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