参考掲載ダム・堰 全項目表
 
514
 
川上堰堤
(かわかみえんてい)

ダム写真

(撮影:夜雀)
246110 福角正美
246115 福角正美
246116 福角正美
098152 prip
  → フォト・アーカイブス [ 提供者順登録日順 ]
イビデン(株)の保有する自社発電用の取水堰堤。堤高は低いながらも美しい石張りが見事。
イビデンは、1912年に揖斐川電力として発足、現在、電力供給事業を廃止し電気化学工業企業となっており、岐阜県内に現在も自社用として水力発電所を3か所保有している。
テーマページ Let's visit a historical dam  file.06  川上取水堰堤 「いつまでも いつまでも」
所在地 岐阜県揖斐川町坂内川上 [地図]
諸元等 河川:木曾川水系坂内川
目的:P
型式:重力式コンクリート
堤高:5.91m
堤頂長:38.18m
完成:1925年
リンク 雀の社会科見学帖・イビデン 川上取水堰堤 見学 その1
雀の社会科見学帖・揖斐川電力の水力発電施設めぐり その1

■ テーマページ → テーマページ目次

Let's visit a historical dam 
file.06 
川上取水堰堤 「いつまでも いつまでも」

by  『雀の社会科見学帖』 夜雀

所在地: 岐阜県揖斐川町坂内村
竣工年: 1919年
目的: 発電



岐阜県と滋賀県の県境、R303沿いにある川上取水堰堤イビデン株式会社が保有している自社水力発電用の取水堰堤です。

ダムと呼べないのは堤高が15m以下だからですが、美しい石張りの堰堤です。





坂内川の上流にある神岳ダムから送られた水がこの川上発電所で、発電に使われた後、到達するのが川上取水堰堤です。

R303の旧道からは季節によっては木々の茂り方などもあり、少し見えにくい場所にあったのですが、土砂災害による国道の付け替え工事があって、通った折にこの取水堰堤に気付き、訪れることになりました。




新緑の美しい頃に訪れた川上取水堰堤です。

満水で越流状態になっていました。




右岸ゲートがふたつあります。
これは2門とも排砂門です。




堤体の上部は排砂門のピアを除いてすべて越流部となっています。

右岸に堤体から少し離れて除塵スクリーンと取水口が見えています。

ここから取水した水は少し下流にある沈砂池を経由して広瀬発電所に届きます。




堰堤へはR303から対岸に渡る橋が架かっているので、それを渡って右岸側から近づくことができます。

これは越流していない時に橋から見た堰堤です。




堰堤に向かう道から見たところです。
後ろに写っている橋が新しくつけ替えられたR303の橋です。

川上取水堰堤は大正14年に竣工しました。

堤頂長 : 38.18m
堤高 : 5.91m

そういう理由ででダムとは呼べません。取水堰堤です。




越流部は石張りが見事です。

中央を低くしてあるデザインはどのような効果を狙っての物なのかは解りません。

水流を川の中央に集めるための工夫かもしれません。




排砂門です。
排砂門の間にも越流部があります。




排砂門の意匠がこのように凝ったつくりになっていて、欧州の古城の一部のようです。

堰堤という物に込められた気持ちがこの美しい意匠から伝わってくるようです。




越流していない時の写真です。このように板が立ててあります。

越流する時はこの板を乗り越えて水が流れます。
イビデンの川上取水堰堤

それは大切に大切に使われてきた美しい取水堰堤です。

イビデンは1912年(大正元年)に電力会社『揖斐川電気』として創立し、現在は電気化学工業として活躍している企業です。

保有していた発電所5か所のうち現在も自社電力用に東横山、広瀬、川上を3発電所を保有しています。

取水用堰堤として神岳ダム、川上取水堰堤、東杉原堰堤を持っています。
いずれも大正期、昭和初期に造られたものですが現在も現役で頑張っています。

   いつまでも いつまでも
   大切に保守管理すればダムは100年使えるんですよ。

そんな事を教えてくれているように思います。

岐阜県にお越しになった際には是非、美しい石張りを愛でていただきたいと思います。
(2009年10月作成)


このダム・堰について情報をお持ちの方、是非お知らせください。  まで。