《このごろ》
DVDを見ながら思った

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もともとダムが好きで、それが縁で電気工事屋から土木の世界に飛び込んだわけですが、昨年幻の映画、黒部の太陽の完全版を見る機会に恵まれました。

黒部の太陽に限らず、昭和の大建設工事の記録映画とかたまらんですね。今の土木工事と違って、人間の底力を感じるのと、それから未来への希望に満ち溢れてるんですよ。大阪万博の映像なんかも本当に今の日本人が忘れてしまった輝きがあるんです。

まぁ、高度成長の当時と、停滞した今とじゃ仕方ないのかも知れませんが。

ダムもね、昭和のダムって待ち望まれて作られたやつらばかりなんです。戦後の荒野から奇跡の復活を果たした影には、佐久間ダムとか丸山ダムとか奥只見ダムとか黒部ダム、こいつらがなければ、無理だった。
戦後は電力が不足して、「休電日」というのがあったんですよ。まあ北朝鮮みたいな電力事情だった。

そりゃ、ダムは、多くの集落の人に移住を強いたりしましたけど、たとえば佐久間ダム建設で移転した人、移転した当時はふるさとを奪われたとダムをうらんだといいます。でも今では佐久間ダムが誇りと言ってました。戦後の復興に佐久間ダムの電力が果たした効果は計り知れないわけで、それが誇りだと。

今の無駄なダムなんていわれてるところの人はかわいそうですよ。大好きだったふるさとを沈めたダム。役に立ったといわれたら報われますけど、無駄なんていわれたら、ふるさとが蹂躙されたようなもんです。

日本は雨が豊富な国ですけど、降った雨が数日で海に流れてしまうのと、雨が降る時期が梅雨と台風に集中するので、本質的にダムで水をためないと水不足になる国なんです。海に流れてしまって塩水になったら使えない。真水で貯蔵することに意味がある。

国民一人当たりの淡水資源量というのは、日本はサウジアラビアと同じ水準なんですよwwテラ砂漠ww

そもそもさ、公共事業が赤字っていうけど、黒字になるなら公共でやる必要もなく、どこかの株式会社さんがやってくれますよ。赤字でも必要だから税金でやりましょうっていうのが公共事業。

そら赤字でしかも必要じゃないならやるなよ、っていうのが本来の公共事業批判なんだけど、いまじゃ公共事業=悪って、そりゃ待てと。すべての赤字がダメなら公共事業やらなきゃいい。だけどそれは違うだろ、と。それと国が赤字なのは当然だよ。普通の国は赤字で当然。黒字だったら税金を取りすぎてるっていう結論。黒字になるのは産油国とか資源国だけ。

ダムって100年とか何十年に一度の大渇水とか大洪水によって計画をたてるので、無駄に見えちゃいやすいんだよね。でも役にたっている、ってときは「何もおきない」つまり水道が普通に使えたり、洪水が起きないということで効果が認識されない悲しさww まあ、これはひどいという計画もないわけじゃないけど

そーいったことを、先日アマゾンで買った「重厚長大・昭和のビッグプロジェクトシリーズ」のDVDを見ながら思ったのでした。

[関連ダム] 黒部ダム  佐久間ダム(元)  丸山ダム(元)  奥只見ダム
(2009.12.17、灰エース)
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