平成27年2月17日(火)、独立行政法人水資源機構沼田総合管理所主催による冬期見学会が行われました。この見学会は平日開催のものではありましたが、一般公募で13名の参加(男性8名、女性5名)がありました。水資源機構のダムは「地域に開かれたダム」となっており、どのダムも開放度が高いものとなっています。ところが、矢木沢ダムは、冬期に限り管理用道路が一般通行止めとなるため冬山登山でも行わない限り雪化粧した姿を見ることができません。
1.沼田総合管理所出発
この見学会の集合場所は沼田総合管理所となっていました。見学者一行を乗せたマイクロバスは予定時間に管理所を出発しました。途中、道の駅「水紀行館」とJR上越線水上駅を経由して目的地に向かいます。それぞれ、関越自動車道新潟方面から来られる方、鉄道を利用して参加される方の便を考慮したものです。最終経由の水上駅前から5名が乗車し、バスは矢木沢ダムを目指します。 途中、須田貝発電所の前で停車し、雪の須田貝ダム(東京電力)の撮影時間をとっていただきました。ここまでは、一般道路であり、積雪に注意して走行すれば誰でも見学可能な場所です。
須田貝発電所付近 その後全員を乗せたマイクロバスは、矢木沢ダム管理道路のゲート入口を通過しました。この管理道路は、冬期の除雪作業は東京電力によって行われているそうです。バスは須田貝ダム右岸部付近で停車し、車窓越しに雪の須田貝ダムを見学することができました。この道路は、冬季の一般車両は通行できませんので、右岸側から望む雪化粧した須田貝ダムの姿は最初で最後になるかもしれません。
須田貝ダム(矢木沢ダム管理用道路・バス車窓より) 雪の壁の中を進んだバスは予定通り矢木沢橋まで到着しました。この橋は、ゲート点検放流の時には大勢の見物客でにぎわうところです。
矢木沢橋 この先、矢木沢ダム右岸まで管理用道路が続いていますが、その部分の除雪は全く手つかずの状態です。冬期のダム点検業務は、ここから約1キロの距離を徒歩で進むことになります。
放流路終端部(吐口)付近の積雪状況
2.矢木沢ダム
旧合宿所前での説明 見学者一行は、「旧合宿所」といわれている建物から、洞道(トンネル)を徒歩で進み矢木沢ダムへと向かうことになりました。冬期は乾燥のため粉塵も多いということで、マスクが配布されました。また実際、洞道内部は水たまりや凍結した部分もあって、決して歩きやすいものではありませんでした。
洞道内部 洞道内部は定間隔で蛍光灯があり、特に照明器具は必要ありません。ただし、もし次回参加する機会があれば、ポケットライトを持参したいと思います。なぜか足場の悪いところに限って、照明が暗かったような気がしました。(私の思い過ごしかもしれませんが)
洞道から減勢工付近を望む 途中、小窓から外を覗くとダムの減勢工のようなものが見えます。こうして30分程歩き矢木沢ダム堤体直下(EL=748)まで到着しました。ここから2班に分かれ、天端付近(EL=856)まで100m以上の標高差をエレベーターで上がります。
エレベーター前
矢木沢ダム観察廊(監査廊) 資料館から、ダム湖を見ると水位は低いようです。下流河川への補給のため冬期は例年このような状態であるそうです。しかし、周囲の山々に降り積もった雪によって春には満水となるため、利水面での心配は全くないということです。
奥利根湖(資料館より)
わきダムの積雪状況(資料館より) 私たちが訪れた時間帯は、偶然にもほぼ無風で穏やかな天候でした。当初の行程案では矢木沢ダムの天端に入ることになっていましたが、前週の降雪のため中止となりました。この積雪状況をみれば天端を歩くことは絶対に不可能であるということがわかります。
矢木沢ダムの積雪状況
雪化粧した矢木沢ダム 積雪は欄干の高さまで達していました。アーチダムを展望できる右岸重力部の除雪を職員さんが人力で行い、臨時の見学スペースを作って下さっていました。本当に大変な作業であっと思います。この場所から、2人ずつ交代で見学・撮影することになりました。
臨時の見学スペース 堤体直下には東京電力の矢木沢発電所が見えます。
矢木沢発電所堤の積雪状況 キャットウォークにもうず高く雪が積もり使用することは不可能です。
キャッウォークの積雪状況
洪水吐き放流路の積雪状況
マルチコプター 引続きゲートハウス内部を見学させていただきました。不思議なことに巻き上げ機のワイアーロープの上には雪が残っています。
ゲートハウス内部 これは、ワイアーロープを吊り下げるためのわずかな隙間から吹き込んだ雪だということです。ダムサイトが猛吹雪に包まれているときの状態は想像をはるかに超えるものがあるようです。
巻き揚げ機の上の残雪 ゲートハウスの見学は当初の予定にはなかったものですが、参加されたダムマイスターの方の熱望により、実現したものです。
一通りの見学が終わり、資料館で見学者にダムカードが配布されました。このダムでは国交省の配布一覧の記載にもある通り冬期は配布中止となるものです。見学者は、その後、洞道を徒歩で移動し、マイクロバスに乗って奈良俣ダムへ向かうことになりました。
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