《このごろ》
魚沼「雪ダム。」ツアーを実施しました
〜ダムを通じて地域を知る〜

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 新潟県魚沼市と南魚沼市のダムを見学する、魚沼「雪ダム。」ツアーが2017年3月25日・26日にかけて行われました。

 このツアーでは、奥只見ダム、破間川ダム、三国川ダムなどを見学し、夜はダムマニア&ライターの宮島咲さんを交えて「ダムかるた」大会と交流会をしました。私は車内ガイド役として同行した立場から、ツアーの概要を紹介したいと思います。


◇ツアーの目的

 このツアーは、この時期にしか見られない雪のあるダムやダム湖を見ることにより、冬期間の誘客を図ることなどを目的に実施したものです。
 いずれのダムも、この時期は関係者以外はダムまで行くことはできません。ツアーとしてこの時期のダムを見学するのは恐らく今回が初めての試みであり、ダム管理者をはじめ関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

 ツアーに参加された方には、「うおぬまダム周遊MAP」(マップについては、「うおぬまダム周遊MAP」が完成しました をご参照ください)のダムの写真を冬期の写真に変更し、周辺市町村にあるダムも掲載した新バージョンなどを差し上げました。(「うおぬまダム周遊MAP」の冬期バージョンは一般社団法人魚沼市観光協会、魚沼市役所商工観光課で配布しています。)


◇1日目

 1日目は奥只見ダムと発電所の見学、かんじき体験、ダムかるた大会と交流会などをしました。

 奥只見ダムは冬期間はダムまで行く道が雪に埋もれてしまうため、シルバーラインの出口から続く冬期用通路(トンネル)を通ってダムまで行きます。今回のツアーでは、冬期用通路を参加者と一緒に歩いてダムまで行き、発電所の見学などをしました。
 奥只見ダムでは雪で覆われたダム湖の見学もしました。この時期はダムサイトに続く屋外の階段は雪で通れません。スロープカーも運行しませんので、このツアーが真っ白なダム湖を見られる機会となりました。


雪で覆われた奥只見湖、右側の建物は遊覧船乗り場

5月末の奥只見湖(写真は2014年5月31日)

 冬季用通路を歩いて戻ると、バスで奥只見丸山スキー場の駐車場に行き、かんじきを履いてダムが見える場所まで雪の上を歩いて行きました。奥只見は5m以上の積雪があり、雪の上からでないと見られない高さからダムを見ることができました。


かんじき体験の様子

奥只見ダム

 宿泊先の民宿では、特産の山菜・キノコをふんだんに使った料理と魚沼産コシヒカリのご飯、イワナ酒や地酒などで夕食をとり、その後に、第1回魚沼ダムかるた大会と称して、昨年12月に発売された「ダムかるた」を使用した大会を行いました。
 ダムかるた大会では白熱した戦いが繰り広げられ、ダムかるた大会が終わると、ダムマニア&ライターの宮島咲さんとの交流会で大いに盛り上がりました。


ダムかるた大会準決勝

ダムかるた大会準決勝


◇2日目

 2日目は、破間川ダム、薮神ダム、三国川ダムの見学をしました。

 破間川ダムもダムまでの道は除雪されませんので、冬期用通路を歩いて管理所とダムまで行きました。
 放流設備などを見学した後に、エレベーターで天端に出て、雪が手すりよりも高く積もっている様子を見学しました。また、破間川ダムではドローンを使ったダムの空撮もしました。


ドローンで上空から撮影

ドローンで撮影した破間川ダム

 昼食場所となる道の駅いりひろせでは、ツアーのために自家製こんにゃくの天ぷらやウルイなどを使った特製ダムカレーを提供してもらいました。
 その後には、外観のみでしたが薮神ダムを見学し、写真撮影などをしました。

 三国川ダムでは、堤体下流の橋の上からダムを見学しました。また、今回は三国川ダムで通常行っている監査郎見学とは異なるルートで内部見学をさせてもらいました。エレベーターで天端まで上がると、そこでドローンを使った撮影の様子も見学しました。


下流側からの三国川ダム

三国川ダム非洪水期常用洪水吐


◇ダムを通じて地域を知る

 ツアーでは関係機関の多大な協力に加えて天候にも恵まれ、一泊二日のプランを無事に終了できました。奥只見ダム、破間川ダム、薮神ダム、三国川ダムの素晴らしい景色を見学でき、ダムマニア&ダムライターの宮島咲さんのご協力により、ダムかるた大会や参加者との交流会も盛り上がりました。

 近年は、ニューツーリズムの一環としての「産業観光」や、ダムや橋梁などのインフラストラクチャー、土木施設の工事現場などの見学をメインとする「インフラツーリズム」の試みが各地でなされています。また、ニューツーリズムに特徴的な要素として、観光客の受け入れ地(着地)側がツアー等を企画する「着地型観光」や「体験型観光」が指摘されています。

 今回のツアーは、ダムが立地する地域の側が企画した「着地型」のツアーであり、積雪時のダムの見学をメインとした「インフラツアー」を目指してプランニングしたものです。また、「体験型観光」の要素として、施設見学だけで終始するのではなく、かんじき体験やダムかるた大会をツアープランに組み込みました。

 このツアーの大きな特徴は、雪のあるダムやダム湖が見学でき、冬期用通路を歩けた点です。積雪期は通常の道路は通れなくなるので、冬期用通路の存在は雪が多い地域ならではの施設といえます。参加者には奥只見と破間川ダムの冬期用通路を実際に歩き、雪の積もった天端やダム湖を見学することで雪の多さを実感してもらいました。かんじきで雪の上を歩く体験も積雪期でなければできないことです。

 では、わざわざこのようなツアーを企画・実施する意味はどこにあるのでしょうか?
 今回のようなプランが成立する前提として、この地域はダムの数が比較的多いという点があげられます。発電専用ダムが多いことも特徴的であり、発電専用ダムはダムで貯めた水を発電に利用するための施設なので、魚沼地域は水力資源が豊富な地域という言い方もできると思います。ダム湖に貯めた水を上水道用水などとして利用しているダムもあります。
 ダム湖に貯まる水は周囲の山々を源としています。水がどこから来るのかを考えてみると、冬期間にたくさん降る雪が重要です。山々に降った雪はとけると水となり、ダム湖に貯まって発電などに利用されています。

 このように考えていくと、この地域のダムは冬期間にたくさん降る雪を水力資源として利用する施設、という見方もできます。奥只見ダム等に設けられている冬期用通路も地域の特性に対応した施設として把握でき、一定地域にあるダムをまとめて見ていくことによって「雪がたくさん降る」という地域の特徴を考えることができます。
 ダムを通じて「雪がたくさん降る」という地域の特徴を見通すことができるようになれば、豊富な雪解け水が特産品である魚沼産コシヒカリの栽培に欠かせないことや、雪が降る地勢的な要因など、ダムを糸口としてダムが立地する地域の様々な面を語ることができます。
 積雪期のダム見学を通じて、ダムが立地する地域に対する理解を深めてもらう。このようなツアーを実施する意味はまさしくその点にあります。

 以前、「魚沼市内ダム施設周遊モニターツアー」を実施しました〜地域資源としてのダム〜 でも述べましたが、私はダムを通じて地域の特徴を知ることができると考えています。その一例として魚沼地域での事例を述べてきました。あくまでもここで述べたことは一例でしかなく、ダムから地域の特性を語ることは、恐らくどこの地域でも可能だろうと私は思います。

 ダムをいわゆる「地域活性化」の一助として活用しようという動きは各地で見られます。ダムの役割や構造などを知るきっかけとしても、観光は有効な手段だと思います。
 観光をきっかけとしてダムのことを知り、そこから、ダムを通じてダムが立地する地域について理解を深めていけるようになってこそ、展望が開けるのではないかと考えています。

[関連ダム] 奥只見ダム  破間川ダム  三国川ダム
(H29.4.18、目黒公司)
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