全項目表
 
ダム番号:787
 
三国川ダム [新潟県](さぐりがわ)



ダム写真


041494 ふむふむ
063749 北国のNAGO
063763 北国のNAGO
063746 北国のNAGO
D-shot contest 入賞作品   →ダム便覧トップ写真   →ダム動画   →フォト・アーカイブス [ 提供者順 / 登録日順 ]
どんなダム
 
非常用洪水吐にPCD工法を採用
___ 非常用洪水吐コンクリート打設PCD工法を採用。最大粒径80mmの骨材を使用。80mmを使用したダム工事としては、内外を通じて初めてだという。
彫刻群が景観のアクセントに
___
ダムの天端や周辺に魚沼地方在住の芸術家による彫刻が点在。ダム景観のアクセントに。
[写真](撮影:北国のNAGO)
周辺整備が進む
___ 越後三山の山麓にあり、地域特性を活かし周辺整備。オートキャンプ場、しゃくなげ公園、桜記念公園、しゃくなげ湖ボートパーク、釣り堀、テニスコートなど。豊かな自然を満喫するアウトドアに最適。
地元に伝わる歌舞伎を上演
___ 地元の五十沢地区には約200年前から伝わる伝統芸能、『五十沢歌舞伎』『藤村流歌舞伎踊り』が。五十沢歌舞伎保存会、藤村流保存会が受け継ぐ。平成11年より7月下旬に毎年行われている『森と湖に親しむ旬間』に「しゃくなげ湖まつり」としてダム下流の野外ステージで上演される。
ダム直下に露天風呂
___
ダム直下にひっそりと露天風呂が。石造りの露天風呂で、無人だが、にきれいに管理され清潔。ダムを見ながらゆっくりと露天風呂に。開放感は最高。入り口の料金箱に管理費として大人200円、小人100円を入れる。タオルは持参。
[写真](撮影:犹泱)
うちの流木もらって下さい
___ ダム湖の「しゃくなげ湖」から揚げた流木を、自由に持ち帰っていい。また、チップ化したうえで希望者に無償配布。流木チップは堆肥や土壌改良材、樹木の下草押さえなどに利用できるという。
岩盤貯蔵酒
___ 地元の酒造会社3社の清酒を三国川ダムのダム底で半年寝かせたのが「岩盤貯蔵酒」。貯蔵は、ダムの地下100メートルに掘られたトンネルを利用。ボランティア団体「しゃくなげ湖畔を楽しむ会」が企画。2008年11月10日、「お披露目会」で関係者ら約70人が試飲。国のダムを利用した酒の貯蔵は、全国でここだけという。
ダム湖は「しゃくなげ湖」
___ 昭和57年、本体工事最盛期を迎えた頃、命名。ダム湖周辺にシャクナゲが多いため。
シリーズ ダム百選 投票から
第 9 回  『 新緑の中のダム 』
■ 冬には3m以上の積雪になる三国川ダムですが、もちろん春はやってきます。残雪に新緑が映えてとてもいい雰囲気です。 (萃香)

第 11 回  『 ライトアップの映えるダム 』
■ ロックフィルダムでライトアップするところは珍しいと思います。
ぜひ一度ご覧ください。 (萃香)


第 13 回  『 デザインの良いダム 』
■ 上から見ても下から見てもキレイに並んだロックフィル。 (黒スケ)

第 15 回  『 思い出深いダム 』
■ 群馬の職場から沖縄に転勤するとき、荷物を新潟の実家まで自家用車で運んだ。途中、六日町で三国川ダムの看板を見た。当時、知らなかったので「みくにがわダム」と思っていた。沖縄から次の転勤地は、まさかまさかの三国川ダムで、その時、「さぐりがわダム」と呼ぶことを知った。また、4月中旬に六日町引っ越してきたら、豪雪の年の春だったので、軒下までまだ雪が残っていてビックリ。その後、各地で仕事をした。退職した職場が三国川だむ管理所だった。退職の年も豪雪で「三国川ダム」と「雪」は、忘れられない思い出になっている。 (のりちゃ)

第 16 回  『 家族で行きたいダム 』
■ 春は湖に新緑が映え、夏は十字峡親水公園で水遊び、秋は湖面に映る紅葉と家族で春夏秋(冬は通行止め)楽しめる。また、5月から11月までの監査廊案内では、利水放流管からの放流水の勢いと飛沫に大人も子供もビックリする。(写真は、利水放流管の8.71m3/s放流の様子) (のりちゃ)

第 17 回  『 温泉が近くにあるダム 』
■ 再開を願って・・・・・厳密な意味の温泉ではないが、ダム直下にある露天風呂。平成19年までは入浴できたが、残念ながら今はやっていない。自分は入ったことがないので、ぜひ再開して欲しい。「三国川ダムウォーキングマップ」(パンフレット)に「ダム側面からの湧水を集め、管理用発電所の電気であたためたもの」と書いてあり、鉱泉の単純泉って感?かも。今も根強いファンがいて、「どうしてやめたのかねー。」という声を聞く。お湯につかって、雪が残る新緑のダムや夏空の下のダムや秋の夕焼けのダムを見て「じょんのび」したい。(三国川ダムの最大積雪深は例年3mを越え、雪解けは5月。冬は施設が雪の下で撮影不可能)[ダム直下の露天風呂] (のりちゃ)

第 18 回  『 ○○に感動したダム 』
■ 三国川ダムは、融雪によって流入量が増加する春先に洪水吐から放流をおこないます。その時、洪水吐のスロープ部分の流水が、うろこ状の模様になって流れ落ちることがあります。この現象は、「常用洪水吐ゲートから6m3/sくらいの放流があった時に見ることができる。」とダム管理所の人が言っていました。そのうろこ状の模様を出逢い橋から見ると、思わず「オオ〜〜」と言って見とれてしまいます。 (のりちゃ)

第 19 回  『 がんばっているダム 』
■ 洪水調節開始流量が50m3/sの三国川ダムは、洪水期(6月から9月まで)に10回程度、洪水調節をおこなう。(最多は平成18年の20回)洪水時のゲート操作は、操作規則で職員が手動でおこなうことになっているため、当番の職員は洪水調節開始流量に到達すると予測された場合は、夜間や休日でも自家用車でダム管理所に出勤する。(洪水調節開始流量まで到達しないで終わる「空振り」も多い)また、洪水は夜間に発生することが多いため、当番の職員は少々の降雨でも晩酌無しで自宅待機を強いられる。そういった自己犠牲の上でダム下流域の安全が守られていることを考えると、三国川ダムの職員は、すごく『がんばっている』と思う。 (のりちゃ)

第 21 回  『 雪景色の似合うダム 』
■  「雪景色の似合うダム」なら豪雪地、新潟県南魚沼市にある三国川ダムは、はずせないと思います。今の状況を三国川ダム管理所のHPにある「ライブカメラ」で見ると、貯水池は見渡す限り雪に覆われて真っ白で、堤体も雪で覆われています。でも今年は小雪で昨シーズンの最大積雪深が336pに対し、今シーズンの最大積雪深は260pだったそうです。(三国川ダム管理所調べ)
 晴れた日は雪が太陽の光りに輝いて、青い空と輝く白い雪の幻想的な世界が広がります。(「D-shot contest」第7回最優秀賞 夜鷹氏の「雪の南魚沼」参照)
 しかし、吹雪になれば素晴らしい世界は一変し、大変なことになります。吹雪のダム天端は、堤体法面を駆け登ってくる風雪で、車の前方が真っ白になり方向感覚がなくなります(まさに地吹雪)。運転のプロである宅配や郵便配達の車も雪にハマることがあります。(三国川ダム管理所のHPにある広報誌「ダムっ湖」のVol.20(2008.1.15)号4ページ参照) (のりちゃ)


第 23 回  『 近くでキャンプができるダム 』
■ ダムの直下にあるわらびのオートキャンプ場はキャンプサイトの他にコテージも3棟あり、家族3人で泊まったときはエアコン•ミニキッチン•テレビ•シャワー完備で1棟あたり1泊9千円とお得でした。巨大なロックフィルダムを眺めながらのバーベキューは楽しいですよ。ダムの上流にあるしゃくなげ湖オートキャンプ場は23年豪雨の影響で未だクローズです。 (なめこ)

第 31 回  『 花火が見えるダム 』
■ 三国川ダムがある、南魚沼市五十沢地区の花火大会が毎年、お盆休みの16日にあります。提体より見下ろす花火は風流です。
ダムのオススメスポットは、外周道路の一番奥に架かる橋からみる渓谷です。
 (クロスダム)

■ 三国川ダムのライトアップを撮影しに行ったところ、たまたまダム下流で花火大会が行われていました。写真は三国川ダム天端から見た堤体と花火です。あとで調べてみたところ、毎年8/16に「五十沢地区ふるさとまつり」が行われ、夜に花火が上がるようです。 (かみさと)
テーマページ 平成23年7月新潟・福島豪雨での三国川ダムの効果
《ダム建設功績者表彰受賞者からのメッセージ》 ボランティアネットワーク しゃくなげ湖畔を楽しむ会
三国川ダムにおける大出水後の堆砂について
ダムインタビュー(58) 坂本忠彦さんに聞く 「長いダム生活一番の思い出はプレキャスト型枠を提案して標準工法になったこと」
ダムツーリング -ダムの細道・東北-
このごろ 三国川ダム版のダムカレーを作ってみました
三国川ダムが洪水吐からの放流を開始
非買品の三国川ダムカレーを食べました
堤体のライトアップと節電
「三国川ダムカレー」が発売されるようだ
三国川ダムがUAVで撮影した動画を公開
三国川ダムが洪水吐からの放流映像を公開
『美女旅×三国川ダム』を発行〜画期的なダムのパンフレット〜
放流と排水は同じことなのか
魚沼「雪ダム。」ツアーを実施しました〜ダムを通じて地域を知る〜
左岸所在 新潟県南魚沼市舞台地先  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯37度03分14秒,東経139度00分03秒   (→位置データの変遷

河川 信濃川水系三国川
目的/型式 FNWP/ロックフィル
堤高/堤頂長/堤体積 119.5m/419.5m/6900千m3
流域面積/湛水面積 76.2km2 ( 全て直接流域 ) /76ha
総貯水容量/有効貯水容量 27500千m3/19800千m3
ダム事業者 北陸地方建設局
本体施工者 大成建設・飛島建設・鴻池組
着手/竣工 1975/1993
ダム湖名 しゃくなげ湖 (しゃくなげこ)
ランダム情報 【地域に開かれたダム】国土交通省により地域に開かれたダムに指定される(1993/04/12指定)
【ダムにいる鳥】国土交通省「河川水辺の国勢調査」(2000)
アオサギ、オシドリ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ハチクマ、トビ、ノスリ、サシバ、クマタカ、イヌワシ、イソシギ、ドバト、キジバト、ツツドリ、ホトトギス、アオバズク、フクロウ、アマツバメ、アカショウビン、アオゲラ、アカゲラ、コゲラ、イワツバメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、ノゴマ、トラツグミ、クロツグミ、シロハラ、ヤブサメ、ウグイス、メボソムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、コガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、ノジコ、クロジ、カワラヒワ、ベニマシコ、イカル、ニュウナイスズメ、スズメ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
【ダムカード配布情報】2021.8.1現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver1.2
○三国川ダム管理所及びダム情報館 8:30〜17:15(土・日・祝日は9:00〜16:00)※冬期期間(例年12月〜4月)は県道・市道閉鎖の為、配付はしていません。
ダムカード画像コレクション
三国川ダム Ver.1.0 (2007.07)
三国川ダム Ver.1.1 (2008.08)
[協力:安部塁]
三国川ダム Ver.1.2 (2015.08)
[協力:安部塁]
リンク DAM Photographer・やっぱ雪景色だよねぇ〜(その1)
DAM Photographer・やっぱ雪景色だよねぇ〜(その2)
DAM Photographer・夏はやっぱり監査廊・・・
DAM Photographer・洪水期・・・
DAM Photographer・天気が・・・
DAM Photographer・利水放流・・・
DAM-goodfellows・三国川ダム
DamJapan・三国川ダム
Dam's room・三国川ダム
damsite・ダムデータ
damsite・ダム写真集
Damstyle・三国川ダム
THE SIDE WAY・三国川ダム
ウィキペディア・三国川ダム
おぼえがき・三国川(さぐりがわ)ダム
だむ†ほりっく・三国川ダム
ダムマニア・三国川ダム
ダム浪漫−三国川ダム
ちょいとダムに行ってくる・ちょいと三国川ダムへ行ってきた。
関東ダム31か所巡り
三国川ダム管理所(国土交通省北陸地方整備局三国川ダム管理所)
三国川ダム露天風呂
水力ドットコム・五十沢第二、三国川ダム発電所
参考資料
■三国川ダム建設の現状と問題点 北陸地方建設局三国川ダム工事事務所長 坂 本 忠 彦
【第13回ダム施工技術講習会(S58.07.07)】
■三国川ダム建設の現状と問題点:坂本忠彦
【ダム日本 No.468(S58.10)】
■PCD工法による三国川ダム非常用洪水吐の施工 北陸地方建設局三国川ダム建設事務所 所長 佐々木 重 成
【第20回ダム施工技術講習会(S61.11.13)】
■三国川ダムの右岸法面対策について:佐藤武
【ダム日本 No.509(S62.3)】
■PCD工法による三国川ダム非常用洪水吐きの施工:佐々木重成
【ダム日本 No.510(S62.4)】
■三国川ダムの施工と盛立材品質管理 北陸地方建設局三国川ダム工事事務所 所長 安 藤 信 夫
【第23回ダム施工技術講習会(S63.07.08)】
■三国川ダムのPCD工法について −非常用洪水吐きコンクリートのポンプ打設− 北陸地方建設局三国川ダム工事事務所 所長 安 藤 信 夫
【第24回ダム施工技術講習会(S63.11.17)】
■三国川ダムの設計と施工 函館開発建設部美利河ダム建設事業所 所長 近 藤 悟
【第27回ダム施工技術講習会(H02.07.18)】
■『しゃくなげ湖』マイ・ライフ・リゾート構想について:大谷欣一
【ダム日本 No.555(H3.1)】
■三国川ダムの真空冷却によるコンクリートのプレクーリングについて:近藤 悟・倉持一則
【ダム日本 No.564(H3.10)】
関連書籍 ■国土開発技術研究センター 『写真で見る三国川ダムのRCD工法』 国土開発技術研究センター 1989
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】左岸所在地[南魚沼市大字舞台→南魚沼市舞台地先] 河川名[三国川→鮎川]
【07当初→07最終】河川名[鮎川→三国川]
【08最終→09当初】堤高[119.5→120]
【09当初→09最終】堤高[120→119.5]
【12最終→13当初】本体施工者[大成・飛島・鴻池→大成建設・飛島建設・鴻池組]

■ テーマページ(抄) → テーマページ目次

ダムインタビュー(58)
坂本忠彦さんに聞く
「長いダム生活一番の思い出はプレキャスト型枠を提案して標準工法になったこと」

三国と書いて、サグリと読む

中野: 確かに、漢字を見るとそうは読めないです。方言でしょうか。

坂本: 同じ書き方でも、関東から新潟に越えていく峠は、三国「ミクニ」峠と言います。「サグリ」というのはローカルな発音で、新潟県は上越、越後の方と、武蔵の国の方、東北地方は山形県の方の境界、この三つの国の境界が集まった地域のところから流れてくる川ということで、地元の人がなまって、三つの国、「サグリガワ」と呼んでいる訳です。
 ここは非常に自然豊かなところで、信濃川の支流にはいかにも魚が多そうな魚野川がありアユとイワナが有名です。その支川の三国川にダムをつくります。ダムサイトの地区の名前が、わらび野と言うのですが、丈が30cmとか50cmもあるような、わらびが春になると出て来ます。地元の人に教えてもらって、私はそこで山菜をとることを覚えました。季節に応じてわらび、ゼンマイ、ウド、それからキノコをとることも地元の人に教えてもらって、ここに居た当時は、自然を非常に楽しんでいました。

堤体は大きいが、溜まる水は少ないダム

中野: 三国川ダムはすごく大きい印象のダムですが、実際はどうですか?

坂本: ここは、規模としては堤高が119.5m、ロックフィルダムで堤体積が600万m3ぐらいあるのですが、貯水池の容量が3,000万m3に満たないぐらいのダムで、堤体積の5倍ぐらいしか貯水ができないのです。つまり堤体が大きい割に貯水池は小型なので、どちらかというとダム造りの勉強のためのようなダムでした。

中野: 建設に当たっては、工事は難しくなかったのですか。

坂本: このダムの特徴は雪国にあるので、ダムサイトには、冬は5mとか6mの雪が積もるので、12月から4月まではダムの工事が出来ないことです。つまり、夏場だけしか工事が出来ないので、早くダムを造るにはどうすれば良いかを計画して実施しなければならないのです。実はこれはダム技術としては大きな課題です。
 また、原石が斑糲岩という日本では非常に珍しい重たくて硬い岩石です。これはダム造りには非常に良い材質で、内部摩擦角が設計値で43度という、日本で一番大きな数字になっているので、ロックフィルダムとしては、上下流面の傾斜が日本一急なダムになっています。これも大きな特徴でしょう。


三国川ダム(撮影:s_wind)
ダム直下に無料の露天風呂

中野: 三国川ダムは洪水調節で頑張っている、あるいは、雪景色が似合うダムということで、ダムマニアさんにも非常に人気があるダムですが、造った側としてはどう思いますか?


以前あった露天風呂(撮影:琉)

坂本: そういう見方もありますが、このダムをある意味で有名にしたのは、露天風呂でしょう。
 計画当初は、設置目的に発電が入っていませんでしたが、途中からダム管理用の発電と東北電力という2つの発電目的を加えました。ダム管理用の発電は1,300kwでしたが、ダムの自家用発電としては非常に大きな規模なので、事務所で使う分を差し引いた余剰電力は東北電力に売電するのですが、その余剰電力の一部を利用して大きな電熱器みたいな機器でお湯を沸かして、キャンプ場の利用者向けに無料の露天風呂を提供していたのです。

中野: それが、ダム直下にある露天風呂ということで有名になったのですね。
坂本: 残念ながら、今では無料のお風呂がなくなってしまいました。ダムの特別会計の検査で、無駄遣いをしているという指摘が出たからです。インターネット上には、ぜひ露天風呂を再開してくれという要望がたくさん書き込まれているそうです。発電した電気でお湯を沸かさず、ストレートに東北電力へ売電すれば、より多くお金が入ってくる訳ですから、お風呂で使っていること、そのものが無駄使いだと指摘されたということです。

ダムを観光資源として地域が取り組む

中野: 単純に無駄というのではなく、地元への還元という大義があったのではないですか?

坂本: 確かに。地元への還元という意味では、地元の六日町では、三国川ダムを利用して地域の振興を図ろうということで、「しゃくなげ湖畔開発公社」という組織を立ち上げ、キャンプ場や売店を経営し、地域振興の仕組みづくりをしていました。その一環として、この無料のお風呂もあったのですが、今では目玉になるものがなくなってとても残念です。

中野: 「しゃくなげ湖畔開発公社」は、平成13年に当協会でダム等の周辺環境の整備保全に功績のあった団体として表彰させて頂きました。

坂本: ダム湖の名前を「しゃくなげ湖」と言います。標高がだいたい400mぐらいで、ダムサイト辺りにはシャクナゲがたくさん自生していましたから、今も管理事務所に行くと、玄関の左右に立派なシャクナゲの大木が植えてあって、季節には大変きれいな花が咲きます。

中野: 三国川ダムは、本当に評判が良くて、景色もダムのデザインも、それに野外ステージなども整備されているようですが、工事としては大変だったのでしょうか?

坂本: 原石山の掘削で長大な斜面があり、その対策が難しい問題でした。また、最大粒径80mmの骨材を使用してコンクリートポンプで非常用洪水吐の建設をするという技術的課題にとりくみました。野外ステージは、下流の法面を使って円形舞台にしてあって、座席はロックフィルの岩を利用しているので、斜面が全部座席になっていて格好が良いのです。本当にいろいろなアイデアを凝らしています。私がいた時は、原石山の用地問題が長引いていました。水没地の用地補償は割合に早く解決したのですが、原石山の用地補償はなかなか解決せず、私のいた時代にようやく用地補償の問題が解決しました。この交渉は、なかなか大変でした。地元の人はどうせ原石山は売らなきゃいけないことは判っていますが、交渉そのものを楽しんでいるという感じがあって長引いてしまいました。

地元の人とは、しっかりとコミュニケーションをした

中野: 交渉そのものを楽しんでいるとは、どういうことですか?

坂本: 対象の用地は、下流6地区の200人くらいの共有地だったので地域全体の同意が必要でした。
 水没地もそうですが、個人の所有地はほとんどなくて共同のものでしたから、夕方出かけていって、用地交渉をするたびに、だいたい30分ぐらい交渉したら、地元の世話役が、そろそろ話も佳境になったから今日はこの辺でと言って解散させるのですが、実は、話が終わった後は、必ず交渉相手の皆さんと飲み会をするという流れになるのです。(笑)

中野: 地元の方との懇親会ですか。


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(2015年12月作成)


→ ダム便覧の説明
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