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渇水のとき、ダムは?
〜平成17年・早明浦ダム〜

 平成17年、四国の早明浦ダム上流では、4月の降水量が平年の40%、5月が55%で、その後も小雨が続き、9月上旬になって台風14号に伴う大雨があるまで、平成6年以来の厳しい渇水で一時深刻な事態となった。その時何があったのか、まとめました。
6月15日

0時現在 貯水率 61.2%
9時から 第一次取水制限 徳島用水14.1%・香川用水20.0%

早明浦ダム上流の降水量は4月は平年の40%、5月が55%で、6月に入ってからは「お湿り程度」の状態
貯水率が平年の89.2%を大きく下回る61.2%となったため、取水制限に踏み切る
吉野川の取水制限は02年以来3年ぶり

吉野川水系水利用連絡協議会は、「空梅雨になれば、94年と同じ大渇水になる恐れがある」と節水を呼びかける
徳島県は、吉野川沿いにある五つの県合同庁舎に、取水制限を知らせる懸垂幕を掲げ、県民に節水を呼びかける

6月16日

0時現在 貯水率 59.0%



撮影時貯水位 308.16m

6月22日

0時現在 貯水率 46.0%
9時から 第二次取水制限 カット率:徳島用水15.9%・香川用水35.0%

貯水率が低下し続け、45%程度になる見込みの22日から2次制限
水資源機構早明浦ダム高知分水管理所によると、このまま雨が降らなければ、94年より2週間ほど早い7月10日前後にも取水できる水が底をつく
高松地方気象台によると、今月中はまとまった雨は見込めないという

ダム湖では75年の建設で水没した大川村の役場跡の3階部分が茶色い姿を見せた
6月に役場跡が現れるのは香川県が大渇水に見舞われ「高松砂漠」と言われた94年以来
6月の水位としては過去最低を記録

香川県知事は「各市町で香川用水がとまった時にどれぐらい持ちこたえられるか、最悪の事態を想定し、状況をきっちり把握してほしい」と呼びかける
香川県庁では、職員が本館、東館、北館の全フロアにある61か所の水道の蛇口をテープで固定し、使えなくする
高松市では、連合自治会長35人を通じて一般家庭に止水栓を半分ほど閉めて節水してもらう自主減圧をスタート
観音寺市水道局は、財田川から取る自主水源を確保しようと、7つの取水井戸がある下流のえん堤を土のうでかさ上げし、臨時のダムに

6月23日

0時現在 貯水率 43.9%

香川県宇多津町のあるガソリンスタンドは、「水不足につき洗車ご遠慮願います」と表示
町立宇多津中では、7月の水泳の授業を取りやめ、卓球に変更



撮影時貯水位 302.18m

6月26日

貯水率が第3次取水制限が始まる目安の30%に近づいていることから、香川県の三木町が10%、大野原町が5%の減圧給水を開始
香川県内では高松、坂出両市と庵治、香川、香南、宇多津の4町が既に5〜10%の減圧給水を実施
香川県宇多津町では、小学校2校で27日から予定していたプールの利用を中止

6月28日

0時現在 貯水率 32.4%
0時から 第三次取水制限 カット率:徳島用水17.6%・香川用水50.0%

貯水率がゼロになった1994年の大渇水時より早い過去最悪のペースで低下、6月中に第3次取水制限を実施するのは初めて
このまま雨が降らなければ、7月10日にも、ダムの利水容量がゼロになることが見込まれる

高松市は、井戸水の水質検査手数料を従来の半額に
坂出市は、小中学校、保育所、幼稚園などのプール、番の州プールを使用停止、また、番の州企業などに寄港する船舶への給水停止
丸亀市は、大口利用者への10%節水を要請、また、学校などのプールの入れ替え中止を要請

6月29日

香川町は夜間断水(午後9時〜午前6時)を開始、断水に踏み切った自治体は初めて
香川県庵治町では井戸の飲料水の適性検査を受け付ける

6月30日

0時現在 貯水率 25.1%



撮影時貯水位 293.57m

7月1日

0時現在 貯水率 25.1%

1日20トンの給水を受けている角山温水プール(坂出市新浜町)は、この日から休館



撮影時貯水位 293.57m

7月2日

0時現在 貯水率 22.8%
6時から 取水制限一時解除

1日夕からの梅雨前線による降雨で、ダムの水位が徐々に回復、一時的に取水制限を解除

香川県香川町は夜間断水を実施していたが、断水を当面の間、中止することを決める

7月4日

9時現在 貯水率 30.7%

梅雨前線の影響で断続的に雨が降り続き、貯水率が30%台まで上昇
ダムの利水容量がゼロになった1994年の大渇水時を超える過去最悪のペースで貯水率が低下し、11日ごろにもダムの水を使い切る予想だったが、四国地方整備局では2、3週間は延命できたのではと分析

7月7日

0時現在 貯水率 35.7%



撮影時貯水位 301.16m

7月8日

0時現在 貯水率 36.8%
0時から 第三次取水制限 カット率:徳島用水19.0%・香川用水50.0%

早明浦ダム上流では1日から6日にかけ、236ミリの降水量を観測、20%近くまで低下していた貯水率は37%まで回復したが、平年値の約90%を大きく下回り、水不足解消には至っていない

9時間の夜間断水を行っていた香川町は、夜間断水は再開せず、自主減圧を5%から20%に強化、代わりに、家庭の止水栓を自主的に絞り込むよう依頼する広報を作成し、自治会長に配布
自主減圧を50%から30%に緩和していた香川県宇多津町は、節水意識が高まってきたとして、比率を戻さず
自主減圧を解除していた香川県高瀬町も、自己水源の池沼や井戸の貯水率が改善したとし、再開を控える

7月 9日

0時現在 貯水率 37.5%
15時から 取水制限一時解除

梅雨前線の影響で、池田ダムに相当量の流入が見込まれるとして、再開したばかりの第3次取水制限を一時的に解除

7月11日

0時現在 貯水率 46.2%



撮影時貯水位 307.47m

7月13日

0時現在 貯水率 51.2%
18時から 第二次取水制限 カット率:徳島用水17.2%・香川用水35.0%

貯水率は平年値90%程度を大きく下回る厳しい状況に変わりなく、四国地方整備局はこのまま雨が降らず、二次制限を続けると仮定した場合、8月13日ごろにも利水容量を使い果たすとみている

7月14日

0時現在 貯水率 52.1%



撮影時貯水位 310.22m

7月26日

四国地方で台風7号に伴うまとまった雨量が予想されたが、台風の進路が東にそれたため、早明浦ダム周辺には“恵みの雨”とはならず

7月28日

0時現在 貯水率 39.1%

早明浦ダムで、梅雨末期はダム湖に見えなくなっていた旧大川村役場の建物が、再度姿を現す



撮影時貯水位 304.30m

8月1日

0時現在 貯水率 32.9%
9時から 第三次取水制限 カット率:徳島用水19.0%・香川用水50.0%

香川町は、減圧給水を20%から25%に強化、前回の第3次取水制限で踏み切った夜間断水は「生活への影響が大きい」として避けたが、各家庭に止水栓を絞り込む自主減圧を呼びかけるチラシを配布
香川県内では、宇多津町も、使用水量の2割削減を目指し、減圧給水を30%から50%に強化、また、三木、大野原、詫間3町も減圧を強化

8月2日

香川県高瀬町は、約1か月ぶりに10%の減圧給水を再開

8月8日

0時現在 貯水率 20.8%%

ダムの貯水率が20%を切るのは1995年以来、10年ぶり
水源を100%香川用水に依存している庵治、香川両町は、減圧給水を35%と30%に強化



撮影時貯水位 294.60m

8月11日

0時現在 貯水率 15.1%
9時から 第四次取水制限 カット率:徳島用水22.0%・徳島用水(新規)75.0%・香川用水75.0%

四国地方整備局によると、まとまった降雨がなければ、18日ごろ貯水率はゼロになる見通し
四国地方整備局は四国地方異常渇水緊急対策本部を設置、主に香川県内で、自治体に配水車を貸し出すなどして支援する
香川県は、香川用水からの工業用水と農業用水を水道用水に転用する用途間調整を強め、1日4.7万トンを転用し、さらに府中ダムの工業用水1日1.8万トンも水道用水に転用

高松市は、浄水場の水圧を平常より25%絞り込み、「老人センター屋島源平荘」など市所有五施設で浴室の使用を止めた
香川県詫間町は、減圧を30%に強化



撮影時貯水位 291.00m

8月12日

0時現在 貯水率 13.3%

香川、徳島両県は、四国地方整備局に対し、早明浦ダムの生活水などに使う容量がなくなった場合、発電用に確保している水を放流するよう要請することを決める

水道水量の削減率(香川県内・値はおおむねの目標値)
 高松市 (15%)
 丸亀市 (10%)
 坂出市 (15%)
 観音寺市(12%)
 さぬき市(志度地区のみ10%)
 三木町 (30%)
 牟礼町 (20%)
 庵治町 (35%)
 香川町 (30%)
 香南町 (30%)
 国分寺町(15%)
 宇多津町(15〜20%)
 高瀬町 (20%)
 三野町 (20%)
 大野原町(25%)
 詫間町 (30%)
 仁尾町 (15%)

8月14日

20時現在 貯水率 8.5%

ダム湖からは75年のダム建設で水没した大川村の旧役場が3層構造の全景を現す
大川村船戸では旧役場庁舎が見下ろせる県道脇に、車やバイクが並び、干上がった湖底と庁舎を写真撮影

8月15日

0時現在 貯水率 8.1%

四国地方は久しぶりに雨が降ったが、ダム貯水率の上昇には至らず
利水容量のゼロは当初、18日の見通しだったが、1日だけ延びる

四国地方整備局長は、東京で電源開発社長と会い、生活水などの容量がなくなった場合、電源開発が水利権を持つ発電用の水を放流するよう要請、社長は了承

香川県詫間町は、減圧で水が出にくくなる高台などのために、町浄水場に設置した臨時給水所を開放



撮影時貯水位 286.31m

8月16日

0時現在 貯水率 6.8%

香川県知事は四国地方整備局長と会い「香川用水への供給がなくなると県民生活が危機的な状況になる」と訴える
徳島県の副知事は約1時間後に四国地方整備局長を訪れ、同様の要請をしたが、局長は、協力する考えを示す一方、徳島県が「既得権分」である不特定用水への供給カットに応じなかったことに触れ「非常に残念だった」と苦言を呈す

四国地方整備局などは、利水容量がゼロになった時点で、発電専用容量(約990万トンたまっている)から、徳島用水および香川用水への緊急放流を行うことを決定

高松市内の衆院選立候補予定者の事務所では、容器を洗う水を節約しようと、ガラスコップの使用をやめ、支持者らは全員、紙コップか、缶入り飲料水を使う
夏場、めんを冷やす水が多く必要になる香川町のうどん店「もり家」では、6月下旬、敷地内に井戸を掘り、水源確保の自衛手段をとる
香川県内の量販店やスーパーでは、貯水用のプラスチック製容器や飲料水をストックする市民の姿が目立つ

8月17日

0時現在 貯水率 5.2%

四国地方整備局と四国4県などは、残された水力発電用の水(985万トン)を生活用水に転用することを正式に決める

発電専用容量からの緊急放流が決まり、貯水率ゼロからの夜間断水を予定していた香川県内の1市7町は、一斉に断水を見送る

水道水量の削減率(香川県内・おおむねの目標値)
 高松市 (15%)
 丸亀市 (10%)
 坂出市 (15%)
 観音寺市(12%)
 さぬき市(志度地区のみ10%)
 三木町 (30%)
 牟礼町 (20%)
 庵治町 (35%)
 香川町 (35%=18日から)
 香南町 (30%)
 国分寺町(15%)
 宇多津町(20〜25%)
 高瀬町 (20%)
 三野町 (20%)
 大野原町(25%)
 詫間町 (30%)
 仁尾町 (15%)



撮影時貯水位 284.04m

8月18日

20時現在 貯水率 0%
20時から 発電専用容量による緊急放流  緊急放流量:徳島用水1.85m3/s(+自流量)・香川用水1.81m3/s

高松市などの夜間断水は発電用水(約986万トン)転用で当面は回避でき、約1カ月はもつという
井戸を設置する世帯が近隣住民に無償で井戸水を提供する「善意の井戸」の利用や、水質検査費用の減免、新たな井戸の掘削など、地下水を利用した自己水源の確保の動きが広がる



撮影時貯水位 281.00m

8月20日

0時現在 貯水率 0%
20時から 高知分水取水停止
22時から 一時的に第四次取水制限に緩和

降雨で、高知市などの水源の鏡ダムの貯水率が回復、早明浦ダム上流から高知県へ水を送る高知分水の停止が決まり、早明浦ダムへの流入量が増える
ダム周辺でまとまった雨が降り、緊急放流を一時的に停止、通常に比べ大幅に制限していた放流量を増やす



撮影時貯水位 280.48m

8月21日

0時現在 貯水率 1.1%
11時から 一時的に取水制限を解除


19日夜から21日午後11時までに、早明浦ダムの上流で124ミリ、下流で175ミリの降雨を観測、久しぶりのまとまった雨となり、早明浦ダム下流の池田ダムの貯水量が増えたため、池田ダムから取水する徳島用水・香川用水の取水制限いったん解除

8月22日

0時現在 貯水率 4.9%
22時から 第四次取水制限 カット率:徳島用水22.4%・香川用水75.0%

まとまった雨が降ったため取水制限を一時的に解除していたが、降雨がなくなり、第4次取水制限を再開
高松市や三木町など香川県の5市13町は減圧給水を継続

8月24日

0時現在 貯水率 8.0%

まとまった雨が降らず、ダム下流の水量が減ってきたため、一時停止していた放流を再開、貯水率は徐々に減り始める



撮影時貯水位 286.66m

8月28日

0時現在 貯水率 4.8%

このまま雨が降らない状態が続けば、9月初めにもダムの利水容量は「ゼロ」になる見通し

8月29日

20時現在 貯水率 3.4%

貯水率低下を受け、四国地方整備局長は、貯水率が「ゼロ」になった場合に緊急放流する水力発電用水を使い切った後、さらにダムの底にある死水(しすい)と呼ばれる「底水」(約1000万トン)の利用も検討する考えを明らかに

8月30日

17時現在 貯水率 1.9%

午前から雨が降り始めたが、まとまった量にはならず

9月1日

8時現在 貯水率 0%
8時から 発電専用容量による緊急放流 緊急放流量:徳島用水1.85m3/s(+自流量)・香川用水1.81m3/s

利水貯水率が再びゼロとなったため発電専用容量による緊急放流を始める



撮影時貯水位 280.76m

9月5日

9時現在 貯水率 0%
9時から 取水制限一次解除 カット率:徳島用水未利用分100%・香川用水0.0%

ダム周辺でまとまった雨が降り、発電用の水を水道水として香川、徳島両県に供給する緊急放流を停止
接近中の台風14号で6日にかけて400ミリ以上の降雨があると予想され、貯水率は40%台まで回復する見通し



撮影時貯水位 280.45m

9月6日

9時現在 貯水率 100.0%
18時から 取水制限全面解除

台風14号に伴う大雨で貯水率が1日で0%から100%となった早明浦ダムは、6日夜から大規模な放流を始める
四国地方整備局は、香川、徳島両用水での取水制限を全面的に解除し、渇水対策本部と異常渇水緊急対策本部をいずれも解散

9月7日

0時現在 貯水率 100.0%



撮影時貯水位 338.68m

[関連ダム]  早明浦ダム(元)
(2005年10月作成)
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