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おわりに


 戦後の京都府における大野ダム(昭和36年完成)、天ケ瀬ダム(39年)、高山ダム(44年)、日吉ダム(平成10年)について、述べてきたが、全て4基のダムは、昭和28年、昭和34年の水害を契機とする治水を含む多目的ダムで建設された。

 現在、建設中のダムは、由良川水系高屋川支川畑川、京都府船井郡丹波町下山地点における畑川ダムである。このダムの目的は、ダム地点の計画高水流量 200m3/sのうち、90m3/sの洪水調節を行い、丹波町と瑞穂町に対し 0.058m3/sを供給するものである。
 

『ダムと和尚』

 一方、ダム建設が中止となった鴨川ダム(平成2年)、南丹ダム(平成14年)もある。鴨川ダムについては、田中真澄著『ダムと和尚』(北斗出版・平成4年)が刊行されている。この書は、鴨川ダムの計画、その反対運動、そして撤回までの軌跡を捉えている。

 以上、京都府におけるダム建設について概観してきた。全国的に共通することであるが、京都府においても明治期〜昭和初期にかけて、一部発電用ダムの建設はあるものの、アース式による農業用ダムが主で、昭和中期以降発電用ダムと治水を含む多目的ダム造りと変遷してくる。

 今日、地球温暖化の影響であろうか、異常気象(過去30年間に観測されなかったような値を観測した場合)がおこっている。日本列島の至るところに集中豪雨や台風による水害が増大し、水害から身をる必要に迫られてきた。(日経コンストラクション編『水害の世紀−日本列島で何が起こっているのか』(日経BP社・平成17年)。全国の65歳以上の高齢者が2556万人となり、初めて総人口の2割に達し、高齢者は5人に1人を占める。これからは、全国的に高齢者や弱者を水害から身を守るソフト面の施策も重要となってきた時代といえる。京都府もまたこの対策の充実が望まれる。
 
 おわりに、京都府の水環境に係わるいくつかの書を掲げる。
・浅野喜市写真集『四季の川』(京都書院・昭和62年)
・岡部伊都子・文、木村恵一・写真『京の川』(講談社・昭和51年)
・森谷尅久、山田光二著『京の川』(角川書店・昭和55年)
・河野仁昭著『京の川』(白川書院・平成12年)
・小谷正治著『保津川下り船頭夜話』(文理閣・昭和59年)
・毎日新聞社編・発行『鴨川』(昭和34年)
・横山卓雄著『平安遷都と鴨川つけかえ』(法政出版・昭和63年)
・荒川まさお著『鴨川の謎を追って』(文芸社・平成13年)
・木村万平著『鴨川の景観は守られた』(かもがわ出版・平成11年)
・門脇禎二、朝尾直弘編著『京の鴨川と橋』(思文閣・平成13年)
・松村博著『京の橋物語』(松藾社・平成6年)
・京都新聞社編・発行『京の大橋こばし』(昭和57年)
・読売新聞京都支局編『京を渡る名橋 100選』(淡交社・平成5年)
・美籏照子著『悠久の京の川』(合同出版・平成7年)
・京都新聞出版センター編・発行『名水を訪ねて京都・滋賀県健康ウォーク』(平成13年)
・駒敏郎著『京洛名水めぐり』(本阿弥書店・平成5年)
・NHK編『京都千年の水脈』(日本放送出版協会・平成14年)
・京都新聞社編・発行『京都いのちの水』(昭和58年)
・平野圭祐著『京都水ものがたり』(淡交社・平成15年)
・鈴木康久、大滝裕一、平野圭祐編著『もっと知りたい!水の都京都』(人文書院・平成15年)
・小野芳朗著『水の環境史』(PHP研究所・平成13年)
・織田直文著『琵琶湖疏水』(かもがわ出版・平成7年)
・田村喜子著『京都インクライン物語』(新潮社・昭和57年)
・山田正三著『いのちの川』(白川書院・昭和49年)
・石田孝喜著『京都高瀬川−角倉了以・素庵の遺産』(思文閣・平成17年)
・日本河川開発調査会編・発行『2004新聞に見る水害記録』(平成17年)
・神戸新聞但馬総局・編『円山川決壊−'04.10.20 台風23号記録と検証』(神戸新聞総合出版センター・平成17年)
・巨椋池土地改良区編・発行『巨椋池干拓誌』(昭和37年)
・池本甚四郎著『巨椋池干拓史』(巨椋池土地改良区・昭和56年)
・宇治市歴史資料館編『巨椋池』(宇治市教育委員会・平成3年)
・巨椋池ものがたり編さん委員会編『巨椋池ものがたり』(久御山町教育委員会・平成15年)


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