[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


水環境への影響とその解決策A:ダム堆砂問題

 ダムの堆砂は厄介な問題である。平成13年度(2001年度)現在全国911地点におけるダム貯水池の堆砂量(土砂の堆積量)は、平均的には総貯水量の7%に過ぎない。しかし地域や水系によって大きな差が出ており、地方別の堆砂量では中部地方が最も多く続いて北陸地方で、この2つの地方だけで全国の52%と半数強を占めている。(昭和32年以降に計画・完成された発電用ダムのうち、堆砂率が50%を越えるダムは全国で40数箇所を数え、一部には満砂状態に近いダムもある)。ダム貯水池の堆砂の進行は、貯水容量の減少や取水障害といったダム機能への直接的影響をもたらすだけではない。大量の堆積土砂は貯水池末端付近での河床上昇や貯水位低下時の堆砂移動による貯水池濁水化をもたらすことになる。さらにはダムによる土砂移動の連続性が損なわれることにより、下流河床の低下や海岸侵食等の発生も充分考えられる。

 急流河川として知られた天竜川は日本有数の土砂流出が多い河川だが、昭和15年頃から流域を襲うようになった水害は、泰阜(やすおか)ダム(重力式、中部電力(株)、昭和10年竣工)の堆砂が急速に進行したことによる影響であるとされる。同ダムでは貯水池末端の阿知川合流点の砂利採取が、昭和59年度(1984年度)から(財)飯田市天竜川環境整備公社により始まった。同時に、飯田市川路・龍江・竜丘地区の約98ヘクタールを計画高水位まで約6メートルもかさ上げする地上げ事業が、中部電力が総額200億円余の費用を負担して行われる一方、旧建設省・長野県による天竜川改修事業及び飯田市による地域整備事業と合せて総額470億円の治水対策事業が推進された。

 堆砂対策の柱としては@堆砂を掘削・浚渫して排除する方法。代表例は佐久間ダムである。A堤体内に設けられた排砂路による排砂対策。出し平ダム、宇奈月ダムが代表例である。B排砂バイパス等による流入土砂の貯水池迂回対策。旭ダム、美和ダムが代表例である。以上3つに分類される


[前ページ] [次ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]