ダム事典[用語・解説](ページ:10)

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清水バイパス (せいすいばいぱす)
 貯水池から濁水が流れ出るのを抑制するため、選択取水設備により濁度の低い水を放流するようにしますが、貯水池の濁度が大きい場合にはこの方法のみでは不十分なことがあります。このようなときに、貯水池の上流で、流入する濁りの少ない水を取水して、貯水池を迂回するバイパス水路を経由して、直接ダムの下流に放流することが有効です。このバイパス水路を清水バイパスといいます。(→日本のダム:浦山

施工継目 (せこうつぎめ)
打継目

設計洪水位 (せっけいこうずいい)
ダム計画上の水位と容量

設計洪水流量 (せっけいこうずいりゅうりょう)
ダム計画上の水位と容量

セメント (せめんと)
 一般に、土木、建築工事用に用いるポルトランドセメント、混合セメント、アルミナセメントなどのように、加えた水と反応して固まる性質のセメントを指します。ポルトランドセメントが最も一般的なセメントで、石灰石、粘土を主原料に高温で焼成したクリンカーを急冷した後、石膏を加え、粉砕して作られます。1824年にイギリスのアスプジン(J.Aspdin)により発明されました。
 ダム用コンクリートには、水和熱が小さく、長い時間をかけて強度が増進していく性質を持つセメントが用いられ、通常、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントB、C種が用いられています。

セメントサイロ (せめんとさいろ)
 コンクリートの材料のひとつであるセメントを貯蔵するための円筒状の施設。コンクリートダムの場合、現地のバッチャープラントでコンクリートを製造するので、その近くに設置されます。



左端がセメントサイロ、その右がバッチャープラント−竹谷ダム


手前がセメントサイロ−灰塚ダム


セメントミルク (せめんとみるく)
 セメントと水とを練り混ぜてできたミルク状のものをいいます。セメントと水以外に、各種の混和剤を含んだものもこう呼びます。ダム現場では、基礎処理の際に基礎岩盤への注入材として使用されます。

ゼロ・エミッション (ぜろえみっしょん)
 ゼロ・エミッションとは、企業や地域が生産活動などにともなって排出する廃棄物を抑制・削減、あるいは他ので再利用することで、全体として廃棄物を出さず、廃棄物をゼロにしようとする構想・考え方のことです。1994年に国連大学が「ゼロ・エミッション構想」を発表してから急速に広まってきました。

浅層曝気装置 (せんそうばっきそうち)
曝気

選択取水 (せんたくしゅすい)
 ダム湖の水は表層・中層・下層で温度や濁度などが異なります。必要に応じて取水する高さを変え、深さにより異なる性質の水を目的に応じて取ることを選択取水といい、下流の冷水対策、濁水対策などとして利用されます。例えば、農業用水ならば温かい水の方が作物の育成によいので、太陽の熱で暖まった表面近くの水を取水します。選択取水のために選択取水設備が設けられますが、最近では大規模なものも出てきています。(→日本のダム:選択取水設備



選択取水設備−日吉ダム(撮影:KENBO)


選択取水設備−灰塚ダム


全面越流 (ぜんめんえつりゅう)
 ダムの堤頂全体を洪水が流れるタイプの洪水時放流方式を指し、一般的にダム天端全体が橋梁形式となっています。



正善寺ダム(撮影:加藤敦)


宮ヶ瀬副ダム(撮影:灰エース)


大谷ダム(熊本県)(撮影:ふかちゃん)


造成アバットメント (ぞうせいあばっとめんと)
 コンクリートダム堤体端部に造成されたコンクリート躯体による人工的なアバットメント。これによって地山の掘削法面を減じることができ、自然改変を低減し、景観・環境上の効果や、さらに、掘削量・堤体積・残土処分量の低減、法面保護工の縮小などによって、コスト縮減も期待できます。最新の工法で、近年の社会的要請に答えるものとして、最近急速に採用例が増えています。
 造成アバットメントには、躯体高約15m以下の比較的小規模な端部処理である標準型と、大規模でコスト縮減が可能な傾斜型の2タイプがあります。(→知識を深める:造成アバットメント工で自然改変を低減(石井ダム))(→知識を深める:稲葉ダムの造成アバットメント


稲葉ダム


総貯水容量 (そうちょすいようりょう)
ダム計画上の水位と容量

側水路式流入部 (そくすいろしきりゅうにゅうぶ)
 ダムの洪水吐の流入部の形式で、越流頂と平行に設置された水路に流れを流入させて、導流部へ導く形式のものです。自由越流堤を持つフィルダム非常用洪水吐に多く見られますが、重力式コンクリートダムに天端側水路式として設置されることもあります。



摺上川ダム(撮影:Nagano)


天端側水路−比奈知ダム(撮影:Dam master)


粗骨材 (そこつざい)
骨材

台形CSGダム (だいけいしーえすじーだむ)
ダムの種類

堆砂 (たいしゃ)
 貯水池へ流入した土砂が貯水池内に堆積することをいいます。ダムの建設後、時間の経過とともに貯水池内に堆砂が進行します。このためダム計画上、通常、利水や洪水調節のための有効貯水容量に影響が出ないように、別に貯水池の立地条件に応じた堆砂容量を確保しています。堆砂容量を超えて堆砂が進行すると、治水や利水の機能が計画通りには果たせなくなることになります。
 貯水池内の堆砂量を抑制するための対策としては、流入土砂量の軽減、排出土砂量の増加、堆砂の除去のための様々な対策がありますが、これらを組み合わせた総合的な堆砂対策がとられることもあります。(→日本のダム:堆砂・排砂

堆砂容量 (たいしゃようりょう)
ダム計画上の水位と容量

耐用年数 (たいようねんすう)
ダムの耐用年数

濁水 (だくすい)
@ダム貯水池や河川の水で、濁度が高い状態。(→濁水長期化現象
Aダムの工事によって出る濁度の高い排水。(→濁水処理

濁水処理 (だくすいしょり)
 ダム工事では、コンクリートの材料となる骨材製造過程で使用する洗浄水、ダム堤体工事のときに出る洗浄水、仮設備のコンクリートミキサ、バケット等の洗浄水など多くの排水が発生します。これらの排水を規定の水質になるまで処理し、またその処理水の再利用を図ったり、処理場へ埋め立てるなどの一連の作業を濁水処理といいます。



ダムサイト濁水処理設備−苫田ダム


濁水処理設備−稗原ダム


濁水長期化現象 (だくすいちょうきかげんしょう)
 洪水などの時に周辺の土壌を洗い流した水が河川に流れ込んで、河川の水が濁度の高い状態になることがありますが、これを濁水と呼びます。
 ダムのない河川の場合、濁水はそのまま河川を流下し、洪水が終われば元の状態に戻る一過性のものであるのが一般的です。しかし、貯水池があると、そこに濁水が貯留され、洪水後徐々に放水されるため、下流河川の濁りが長期化する現象を生じることがあります。これを、濁水長期化現象といいます。濁水長期化現象を防ぐため、選択取水設備が利用されることがあります。

濁水バイパス (だくすいばいぱす)
 濁水長期化対策の一つで、洪水時に濁水をダム下流へ直接流し、濁質の貯水池への流入を抑制するために整備されるバイパス水路です。奈良県の旭ダムでは排砂バイパスが設置されていますが、これは濁水バイパスの役割も兼ね備えており、濁水バイパスの先駆的事例といわれています。(→日本のダム:旭

打設 (だせつ)
 練混ぜて、運搬されたコンクリートを所定の位置に詰め込む作業。打込みとも言います。通常、型枠で所定の位置に所定の形状を形成し、そこにコンクリートを流し込みます。コンクリートの荷下ろし、締固めなど付随する一連の作業を含んで打設と言うこともあります。

ただし書き操作 (ただしがきそうさ)
 ダムで洪水調節を行う際の特別な放流操作。計画を超える異常洪水が発生した場合、通常行われる洪水処理操作によってダムから放流を続けると貯水位がサーチャージ水位を超えることが予想されるときに、ダムからの放流量を流入量まで徐々に増加させるような特別な放流操作が行われることがあります。このような操作は、一般に「ただし書き操作」と呼ばれます。
 洪水調節を行うダムの洪水時の放流操作は、具体にはそれぞれのダムの操作規則に定められていますが、このような操作については、「ただし、気象、水象その他の状況により特に必要と認める場合」と規定されているために、こう呼ばれています。

脱水ケーキ (だっすいけーき)
 固形物として扱うことができる程度まで脱水された汚泥。ダム建設の場合、濁水処理によって脱水ケーキが発生します。

縦継目 (たてつぎめ)
打継目

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