[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


10. 山梨県のダムのまとめ

 以上、山梨県のダムについて、概観してきたが、次のようにまとめてみた。

堤高15m以上のダムは、明治期〜平成17年にかけて23基におよぶが、堤高ベスト3は、@葛野ダム 105.2m A荒川ダム 88m B上日川ダム、深城ダム 87mである。

・一方、総貯水容量ベスト3は、@広瀬ダム 1430万m3 A塩川ダム、葛野川ダム 1150万m3である。

・ダムの総貯水容量をみてみると、@ 100万m3以下11基(48%) A 101万〜1000万m36基(26%) B1001万〜1500万m36基(26%)となっており、地形上中小規模のダムが多いことがわかる。

・ダムの用途別では、@農業用水8基(35%) A水力発電10基(43%) B多目的ダム5基(22%)となっており、工業用水用ダムはみられない。この多目的ダムには、農業用水、水力発電の用途も含んでおり、このことから山梨県は農業県、水力発電県といえる。

・ダム事業者別では、@土地改良区8基 A山梨県7基 B東京電力(株)6基 C日本軽金属(株)2基となっており、私企業が発電用として柿元ダム、雨畑ダムを築造したことは特筆に値する。一方、国(農林水産省、国土交通省)のダム築造が1基もないことも全国的に珍しい。

・ダムの堆砂率は、@西山ダム86.9%(昭和32年竣工) A雨畑ダム83.6%(42年竣工) B柿元ダム19.8%(20年竣工) C広瀬ダム 9.4%(50年竣工) D荒川ダム 3.2%(60年竣工)となっている。富士川水系のなかでも、南アルプス山系側のダムが、ダム完成後も40数年経ており、堆砂率が高くなっている。(「電力土木」2004. No313 )

・山梨県は武田信玄公の治水・利水理念をもって、富士川等の河川改修が行われてきたが治水を含めた多目的ダムの建設は、昭和50年広瀬ダムの完成からである。ここに信玄公の願いが叶ってきたといえる。


 おわりに、山梨県の水環境に係わる書をいくつか掲げる。

・藤本丑雄著『山梨の滝をめぐって』(自費出版・平成17年)
・上野巌著『山梨の滝』(山梨日日新聞社・平成11年)
・国土庁土地局編・発行『山梨地域主要水系調査書(富士川)』(昭和58年)
・山梨県企画開発部企画課編・発行『水資源と利用の現況』(・)(昭和58年)
・ 同             『水資源と利用の現況』(・)(昭和40年)−資料編・資源編・用水編−
・ 同             『水資源と利用の現況』(・)(昭和40年)−地下水−
・ 同             『水資源と利用の現況』(・)(昭和41年)−用水施設名簿−
・ 同             『水資源と利用の現況』(・)(昭和41年)−深井戸資料−
・建設省甲府工事事務所編・発行『甲府工事60年史』(昭和56年)
・ 同            『空から見た富士川(写真集)』(昭和63年)
  同  (企画)      『甲斐の道づくり・富士川治水』(関東建設弘済会・平成2年)
・建設省甲府工事事務所編・発行『明日の山梨を拓く−富士川の治水と甲斐の道づくり』(平成3年)
・安達満著『近世甲斐の治水と開発』(山梨日日新聞社・平成5年)
・竹林征三著『甲斐路と富士川』(土木学会山梨会・平成8年)
・古郡年鴻著『岳南の新田開発と富士川治水』(駿河郷土史研究会・昭和43年)
・山梨県河川防災センター編・発行『富士川流域河川調査書・復刻版』(平成14年)
・山梨県教育委員会編・発行『山梨県堤防・河岸遺跡分布調査報告書』(平成10年)
・和田一範著『信玄堤』(山梨日日新聞社・平成14年)
・ 同  編『グラフ信玄堤−千二百年の系譜と大陸からの潮流』(山梨日日新聞社・平成15年)
・村田一夫写真『富士川』(富士川会・昭和52年)
・ギンザカメラ・グループ・写真、小林富司夫・文『甲斐のふるさと笛吹川』(山梨日日新聞社 ・昭和46年)
・安田武義著『笛吹川紀行−古道と集落を訪ねて』(山梨日日新聞社・平成7年)
・近藤秀男・文『富士川−その風土と文化』(静岡新聞社・昭和56年)
・青山靖著『富士川水運史』(地方書院・昭和34年)
・山梨県教育委員会編・発行『富士川水運(山梨県歴史の道調査報告書第19集)』(平成3年)
・西宮克彦著『富士川をさぐる』(大日本図書・昭和53年)
・富士川とともに歩む会編・発行『私たちの富士川』(平成4年)
・国交通省甲府河川国道事務所編・発行『川は生きている(川の作文応募作品集)』(平成17年)
・須田宇十・早川文太郎著『山梨県水害史』(山梨県水害史発行所・明治44年)
・志村勘兵衛著・発行『明治四十年水害誌』(明治43年)
・丸山太一・熊谷喜孝編『明治四十年大水害実記−武田千代三郎知事の追想記』(長田組土木・・平成13年)
・山梨県総務部編・発行『昭和34年災害誌』(昭和37年)
・山梨県県民室編・発行『昭和41年災害誌』(昭和46年)
・国交通省富士川砂防工事事務所編・発行『昭和34年・57年災害−あの夏の記憶を語り継ぐ』(平成12年)
・山梨県消防防災課編・発行『昭和57年 昭和58年災害誌』(昭和61年)
・菊島信清編『釜無川の水害』(自費出版・昭和56年)
・ 同   『甲府を中心とした天候表−江戸時代〜昭和55年』(自費出版・昭和56年)
・農林省編・発行『富士川水系農業水利実態調査』(昭和33年)
・山梨県農務部編・発行『山梨の土地改良区史』(昭和42年)
・土地改良技術情報センター編・発行『事業誌 笛吹川』(平成元年)
・農水省笛吹川農業水利事務所編・発行『国営笛吹川農業水利事業完工記念写真集』(昭和63年)
・三枝善衛編『徳島堰』(地方書院 昭和34年)
・朝穂堰土地改良区編・発行『朝穂堰誌』(昭和54年)
・ 同          『朝穂ぜき物語』(昭和60年)
・三枝久徳著『朝穂堰』(三枝志づ江・昭和63年)
・三枝久徳編『朝穂堰資料編』(三枝志づ江・昭和63年)
・楯無堰土地改良区編・発行『楯無堰小誌』(昭和39年)
・浅原勝芳著『野村宗貞と楯無堰』(ヨネヤ印刷・昭和59年)
・茅山会編・発行『浅尾堰誌』(昭和53年)
・長田保男編『浅尾堰誌(第二集)』(浅尾堰資料保存会・昭和55年)
・五ケ堰土地改良区編・発行『五ヶ堰誌』(平成11年)
・村山六ケ村堰土地改良区編・発行『村山六ケ村堰誌』(平成13年)
・萓沼英雄著『新倉堀抜 富士山麓開拓史』(新倉堀抜遺跡保存会・昭和41年)
・ 同   『三ツ水門』(自費出版・昭和41年)
・甲府市役所編・発行『甲府市上水道拡張誌』(平成13年)
・甲府市水道局編・発行『甲府水道史(歴史編)』(昭和63年)
・奈良靖夫著『念場ケ原水道組合史』(念場ケ原水道組合・昭和58年)
・河口湖南水道企業団船津支所編・発行『ふなつの水道』(昭和58年)
・山梨新報社編『野呂川水道30周年記念誌 水を求めて三百年』(野呂川水道企業団・平成2年)
・甲府市編・発行『下水道30年史』(昭和58年)


[前ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]