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◇ 3. ダム環境の整備

 ダムには治水・利水の目的以外に、地域の人たちがダム湖の広場をイベントやレクリエーション等に利用する役割があり、水辺周辺には様々な施設が設置された。ダム水源地環境整備センター編・発行「写真でみる魅力あるダム環境」(平成2年)には、全国のダムで実施されている環境整備の事例が写真に纏められている。その整備は建物、宿泊施設、記念碑、公園、スポーツ・レクリエーション、利便施設、イベント、花の部門に分けられている。三重県の君ヶ野ダムをみてみると、「レークサイド君ヶ野」は地元美杉村の村有地(ケーブルクレーンの跡地)に建設され、青年宿泊村となっている。客室は冷暖房完備で客室からダム湖が一望できる。食堂では冬場のしし鍋料理が目玉で、一年を通じて鮎、あまごがおいしいとある。ダム見学のおりには是非寄りたいものだ。


「写真でみる魅力あるダム環境」
 持続的開発のためにというテーマのもとに、日本ダム協会編・発行「人に自然にやさしいダムづくり」(平成5年)が出版されている。この書で、小林勲氏は、ダムづくりは治水、利水という本来の機能だけでなくよりよい人間味のある新しい環境機能が求められるとして、ダム協会が提言した「21世紀のダムヴィジョン」に基づき、「人に自然にやさしいダムづくり」を次のように具体的に論じている。

@地域の人々がダム事業を理解し、ダム建設への参加意識をもって、地域の活性化に繋げる「親しまれるダムづくり」をする工夫である。それには身近な話題の提供、地域住民の意向吸収、ダム周辺の整備、イベントの開催、ダムと地域活性化、地域との交流等が実施されている。

Aダムの計画・設計・施工の各段階において、自然環境の保全を出来る限り配慮した「自然にやさしいダムづくり」を目指すことである。ダム景観を含め、動・植物などについてできる限り自然を保全して環境と開発を共生させることである。まず、自然の動物、植物などの基礎知識を学び、次にその地域の自然を十分に調査し、ダム建設工事によるそれらへの影響を予測して、その影響を出来る限り少なくする対策を実施する。ダム建設の前・中・後でダム地域周辺の生物のモニタリングを行い、必要によって対策を追加していくことが大切である。


「人に自然にやさしいダムづくり」
Bダム建設に携わる人達が誇りをもって「働き甲斐のあるダムづくり」をするためにより魅力ある職域を構築することである。そのためには、ダム従事者がダム事業の工程と任務を理解するとともに、その労働環境や生活環境が長期建設作業に適したものにする必要がある。ダム工事は一般に都会を離れた山間部で大規模工事として長期にわたるものであり、その生活環境は他に比べて厳しいものである。従って事務所・宿舎などにおいて環境改善の種々の工夫をする必要がある。

 以上、持続的な開発のための地域環境、自然環境、職場環境に対する3つのダムづくりの提言は、札内川ダム、月山ダム、四万川ダム、味噌川ダム、八ケ川ダム、八田原ダム、中筋川ダム、漢那ダム等の約60ヶ所のダム現場を直接訪問し、ヒヤリングを行った結果である。


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