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から成り、主に土砂水理の側面から詳細に論じる。ここでは、第5章のダム堆砂防除対策を取り上げてみたい。その対策については次の4つを挙げている。 @貯水ダム計画面における堆砂防除対策(適正なダム建設位置の選定と設計堆砂の適正評価) ダム地点の選定や貯水ダムの築造から、堆砂支配因子(流域の地被条件、水文・気象条件など)を考慮して、なるべく堆砂速度を軽減して貯水池の有効寿命を助長し、とくに背砂遡上による治水上の問題の起こらない位置選定の考慮も必要である。 A土砂生産地における堆砂防除対策(流域の計画的な保全・管理) 土砂生産地の対策としては、密な植生被覆の達成、深根性樹木の導入など、流域山地における植林、土壌有機物保持のための過度の火入や放牧の禁止、流域表土を固結し、水食・崩壊作用を防止するための各種の植栽・山腹工事、または造成地(農地・空地)における各種の土壌侵食防止農・工法などが挙げられる。 B土砂の輸送河道における堆砂防除対策(流送・流入土砂の調節・防止・利用) ダム上流側における渓流・河道や背水終端付近での流送・流入土砂の調節・防止対策が重要である。それには砂防ダムの制御(貯砂ダム・格子ダム・ビームダム・スリットダム)、背水終端におけるバイパス排砂があげられる。 C貯水ダムにおける対策(沈殿堆積土砂の調節・排砂ならびにその利用) (イ) 貯水池内で頂置ならびに前置堆積層に相当する掃流砂礫部分は減水期を利用した陸上掘削方式の搬出が可能である。河川砂利採取を兼ねて実施すれば一石二鳥の効果が期待できる。 (ロ) 開水路方式による洪水排砂法として、堆積土砂をダム堤体を通じて排砂する。この場合、堆砂土砂の粒径により排砂の方法が異なる。 (ハ) 次に排砂管方式による排砂法であるが、この場合点排砂法と渦動管排砂工を用いた線排砂法がある。 (ニ) 細長い狭谷型の貯水池では、主として水温による密度成層が発達する時期に出水があると、流入高濁水が池底を這う濁水密度流として流下し、これがダムに達して這い上り、さらに上流側に向かう逆向流となり境界帯に達して再び底層密度流の随伴流として潜行し、いわゆる縦断面内大循環によって混合拡散が行われる場合が多い。このような場合、濁水密度流がダムに到達する時刻を観測・予測して底部排砂管などを利用して排砂する。
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