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◇ 1. 荒川の流れ

 日本の河川26 000を収録した日外アソシエーツ編・発行「河川大事典」(平成3年)によると、一級河川13 031、二級河川6 787、残りがその他の河川となっている。荒川の項では、岩手県、宮城県、福島県、栃木県などを流れる「あらかわ」、「あらがわ」と呼ばれる河川は31掲載されている。埼玉県、東京都を貫流する荒川は、延長174q、流域面積2 940km2で、ともに荒川31のベストワンを誇っている。

 荒川の流れについて、水資源協会編・発行「荒ぶる川の恵み」(平成8年)から、次のように引用する。
 「荒川は甲武信ヶ岳(2 475m)に発し、真の沢を下り、柳小屋付近で股の沢の水を入れ、その後赤沢と出会う。ここが一級河川としての荒川の起点である。沢の水は河川の水となり、川又発電所付近で滝川を、さらに大洞川、中津川、大血川を合わせて秩父盆地に至る。
 盆地では安谷川、浦山川、横瀬川、蒔田川、赤平川を合わせ皆野町を流れ、ここから寄居町まで日野沢川、滝の入沢川、三沢川などを合流して流路を大きく東に転じる。寄居町をすぎると櫛挽台地と呼ばれるかつて荒川をつくりあげた荒川扇状地の南縁を東流し、新吉野川や吉野川を合流して熊谷地先、荒川大橋に至る。ここで向きを大きく南東に変え、通殿川、和田吉野川、市野川など合わせながら大宮台地の西北縁に沿って南流し、古谷本郷で入間川を合流する。
 その先はゆるやかに東南東に向きを変えながら鴨川、笹目川、菖蒲川などを合わせて岩淵水門に至る。ここで隅田川を分派した後、すぐに芝川を合流し、流れを大きく南へ転じながら、左岸の東京都葛飾区辺りから荒川に並行して流れる綾瀬川、中川とともに東京湾に注ぐ。」

◇ 2. 荒川の特徴

 荒川の特徴について、前書「荒ぶる川の恵み」より、3つ挙げてみる。

@ 流路延長と流域面積
 荒川の流路延長は甲武信ヶ岳直下の荒川起点から、東京湾の河口まで173qであるが、そのうち山地区間約41q(23.6%)、盆地区間約24q(13.9%)、残り100q(62.5%)が平野を流れている。全流路に対する平野区間の割合は日本の主要河川のなかで最も長い。
 流域面積は2 940km2で、山地面積1 475km2(50.2%)、丘陵台地氾濫原の平地面積1 465km2(49.8%)であり、日本の大河川の平均比率は、山地7に対して平地3であるが、荒川の場合はほぼ半分ずつである。一方埼玉県と東京都の流域面積の比率は埼玉県2 494km2(85%)、東京都446km2(15%)であり、荒川はまさに埼玉県の母なる川である。

A 急勾配と緩勾配
 荒川の河口から水源までの河川勾配を平均すると68分の1で、山地部分ではさらに急な30分の1である。それに対し平野部分では1 400分の1である。このことから甲武信ヶ岳から山地部分をいっきに流れ下る荒川は、かつて平野部に出て氾濫を繰り返し埼玉の大地をつくってきた。

B 日本一の川幅
 荒川の中流域の川幅は日本一広い。一般的に河川は河口に向かって徐々に川幅を拡げていくが、とくに荒川の中流域は川幅がひろくなっている。河口から62q地点(吉見町)での川幅は、2.5qに及び、河口付近の川幅0.75qの3倍以上もある。この広い河川敷は江戸時代すでに河口一帯に広がった都市を氾濫から守るための遊水機能をもっていた。



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