3機の無人ヘリコプター(UAVマルチコプター)にハイビジョン小型ビデオカメラを搭載し、北海道の豊平峡ダムの空撮を行いました。 UAVのプ ロ操縦士が2機のマルチコプターを同時に飛ばし、毎秒2トンもの水がダイナミックに噴き出るダム放流や、100メートルを超える巨大建造物であるダムの全景を、まだ誰も見た事がない空中からのカメラアングルにて放水開始や終了、他を余すところなく収め ました。 巨大なアーチダムである豊平峡ダムの赤いクレストゲートを正面からの近距離目線で押さえた映像はすごい迫力で圧巻です。
【撮影レポート】
撮影スケジュールは、本番2週間前に1泊にて豊平峡ダムへロケハンに行きました。ロケハンとはロケーションハンティングの略称で、撮影下見のことです。ダム事務所や関係者さまへのご挨拶・打合せも欠かせません。ロケハン日の数日前に台風10号による北海道集中豪雨があり、その影響か、ロケハン当日は蛾の大群が異常発生し蛾の死骸がいたるところにあり、管理の方々に掃除して頂いてテスト撮影は無事終了できました。関係者の皆様、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。
2週間後、本番撮影は3日間の予定で行なわれました。スタッフは13名です。 1日目は現場下見です。絵コンテに従い、パイロットやナビの立ち位置、関係者が映り込まない場所、飛行ルートの確認、撮影ベースの確保、他が行なわれました。
2日目、3日目はいよいよ撮影です。ですがあいにく、台風15号が九州へ接近中。風も強い。夏のなのでダム下の川から吹いて来る南風がダム壁面へぶつかり、強い上昇気流が起きてます。台風なので湖側からは時々、北風が吹きます。ダム放水の時は風圧による強い下降気流が起こります。ダム上空は気流が乱れてウズを巻いてます。気圧や風向はグチャグチャです。いつヘリが墜落してもおかしくない状況です。ですが我が空撮チームのパイロットはモーターパラグライダー撮影スクールの校長とインストラクターを兼任しています(モーターパラ撮影の第一人者の多胡氏もココの卒業生)。自分自身も日頃は空を飛んでいるので、風の見極めは超一流。乱気流や風の方向を予期して飛行します。軍艦島空撮の海上でも風を読み、いち早く対応して飛行していますので揺れは入らない空撮映像を提供しています。
撮影予定日の3日目には台風が本土上陸の悪天候。日本全体が悪天候で雨と強風。撮影当日のスタート時は雨模様。天気晴れ待ち。台風なので雨雲がかなりの速さで移動中。ですが、タイムラプス撮影には好都合。30-40分経ちますと雨が止みます。ですが少し経ちますと雨が降ります。その間に撮影。この繰り返しの小雨の中、撮影が強行されました。3日目の後半はほとんど雨。まだシーンがかなり残っています。そろそろダム放水の終了時間です。このシーンを空撮しないと帰れません。搭載のハイビジョンカメラは60m防水仕様ですが無人ヘリは防水ではありません。かなりの強い雨。時々、強風。ですがこの雨の中を飛ばさないと最終シーンは撮れません。ヘリは完全にツブレますが、プロの仕事なので飛ばしました(泣)。超たいへんだった苦労が実り、誰もがまだ見たことないカメラアングルから迫力ある最高の画が撮れました。
この後、オフライン編集、オンライン編集を経てやっとON AIRになりました。
※UAVとはUnmanned Aerial Vehicleの略称で、無人で飛行する航空機(ここでは無人機)の総称です。 ※タイムラプスとは動画の微速度撮影 。 ※空撮に際しては、事前にダムの管理所に企画を提出し承諾を得ました。
(動画へのリンク)
■北海道 豊平峡ダム 【本 編】 【メイキング】 【メイキング記事】
■巨大建造物シリーズ 「長崎・軍艦島」 【本 編】 【メイキング】 【メイキング記事】
投稿者:山口博 http://www.skyshoot.jp/
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