土木学会・社会コミュニケーション委員会が企画する「第2回 土木 a la mode」で、今回「ダム」を取り上げることになりました。テーマは、「人が来るダム」です。
例えば富山県の黒部ダムは「くろよん」の愛称で親しまれている秘境のダム、言わずと知れたダムの中のダムで日本でもっとも有名なダムと言っても過言ではありません。 1963年竣工の黒部ダムは、ちょうど50歳。激動の半世紀を生きてきた「くろよん」には、プレゼンターとして関西電力竃k陸支社長の吉津洋一氏にお話を頂きます。 黒部ダムにはこれまで累計で4千万人、今も年間に100万人もの観光客が訪れ続けているという事実をご存知ですか?ただ、これだけの数の観光客が、すべてダムを目当てに訪れているというのではないということは明らかです。日本列島の背骨と言われる立山連峰の真下を貫くトンネルをトロリーバスで駆け抜け、ケーブルカーやロープーウェイを駆使して初めて行き着くことができるという非日常性と、四季折々の素晴らしい景色に大きな魅力があるということは言うまでもありません。
そしてもう一つ、秘境にある「くろよん」とは正反対に、首都圏に人を惹き付けるダムがあります。 それは、神奈川県の水がめとして2000年に竣工した宮ヶ瀬ダム。高さ156mの堤高を誇る重力式コンクリートダムの雄姿を正面下流側、ダム直下から眺めることが出来ます。そこから見上げる放流の様子は、まさにこれがダムの景色とも言える、迫力あるものです。 この宮ヶ瀬ダムには、プレセンターをお願いした竹村公太郎氏の思わぬ仕掛けが仕組まれていました。それはダム建設時にコンクリート打設のために20tダンプを堤頂部に運び上げるために使われていたインクラインを、将来観光客を乗せて運べるように残しておくという秘策です。この仕掛けは、ダム竣工後からすぐにその役目を発揮しました。ダム直下から堤頂部に簡単に登ることができるということで評判になったのです。
人を寄せ付けないほど厳しい自然の中にある人工美「黒部ダム」と、ダムが完成した暁には、ダム直下から聳え立つ堤体を眺め、インクラインですぐに堤頂部に立てるという利便性を武器に人を呼んでやろうという仕込み武器をもった「宮ヶ瀬ダム」、この二つのダムをよく知るプレゼンターがそれぞれの“人を惹き付ける魅力”を語ります。 さらに、コーディネーターとして、東大名誉教授高橋裕先生を招いて人を惹き付けるダムの魅力を解き明かします。
このイベントでは、ダムに人を呼ぶということはどういうことか、ダムを人に知ってもらうためには何を大事にすべきか?ということを中心に、ダムの魅力をどう伝えていけばよいかというダム広報のポイントを探り出したいと思っています。 皆様のご参加をお待ちしております。
(参考) 土木学会のページ
チラシ(PDF)
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