《このごろ》
鬼怒川上流4ダム見学会

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 平成26年7月27日(日)、森湖期間の行事として、鬼怒川上流4ダムの見学会が行われました。国土交通省直轄の大ダムで、普段は公開されていないところを見ることができるチャンスです。


当日限定配布の認定証

 最初に訪れたダムで『認定証』をいただきます。4つのダムの記念スタンプをコンプリートすると、晴れて『一日ダム管理員』として認定されることになります。A3版の2つ折りとなっている『認定証』の内側は、差し込み式のダムカードホルダーとなっていました。


認定証内側、右下、五十里ダムカードのみ差し込み済み

 当日は、昼過ぎ一過的に天気が急変し雷雨に見舞われました。幸い見学会が中止になるほどの荒天には至らず、すぐに青空が広がりました。4つのダムは、駐車場がほとんど満車となるような盛況ぶりです。愛媛・鈴鹿・岐阜など遠方のナンバープレートをつけた自動車も見かけました。少し遅めの昼食として湯西川ダムカレーを予定していましたが、すでに完売となっていました。考えが非常に甘すぎたようです。


熱心に説明をしてくれる職員の方

 五十里ダムでは、クワガタムシや流木等を活用した炭の無料配布が行われていました。クワガタは管理所に夜間飛来したものを集めたものだそうです。


無料配布の木炭

 日常ダムの管理業務を行っている方から、ダムの役割について詳しく説明をしていただきました。一般を対象とした見学会ですから、内容は分かり易いものです。


川治ダムのキャットウォーク

 『ダムって、こんな仕事をしていたのか。』 
 『もしもダムがなかったら鬼怒川温泉は大変だ。』
見学された方々皆が、ダムについての正しい認識を持つようになったと思います。


堤体直下からの湯西川ダム

 一番新しい湯西川ダムは、普段から開放的なダムではありますが、今回は堤体直下からダムを見上げることができる場所まで行くことができました。また、堤頂では日光天然氷のかき氷が提供(無料)されていました。(当然のことながら長蛇の列。)

 川俣ダムは、これらの3ダムからは少し離れた位置にあります。川俣ダムでは、「プラムライン点検体験」というイベントがキャットウォーク上で行われていました。


川俣ダム「プラムライン点検体験」

 川俣ダムは、薄いアーチ堤体で、大きなプラムライン室を作る余裕はなかったようです。このダムのプラムライン室(1号機)は、かつて一般家庭に普及していたブラウン管テレビ程度の大きさでした。この狭い空間に、X軸とY軸の計測器が2台設置されています。計測値は、この機器の上面に表示されます。直接、人間が頭を入れて目で数値を確認できるスペースさえありません。ここでは、係員が手鏡を計測器の上部に挿入して鏡面に写った数値を読み取りデータを取っているということでした。


プラムライン1号機

 川俣ダムは、このノーマルタイプのプラムライン(1号機)と、この直下にあるリバースタイプ(逆懸垂型)のプラムライン(2号機)、さらに左岸側岩盤(アーチ支持壁)内に設置されたリバースタイプのプラムライン(3号機)の3つのプラムラインでダムを見守っているということです。


川俣ダムのプラムラインの位置関係

 実際に体験してみると、足元はグレーチングで恐怖を感じ、その恐怖感で震えるとピアノ線に触りそうでさらに手が震え、おまけに鏡に映った数字は鏡像(反対)文字で読み取り難いものでした。数値を確認すると、貯水位は前日と変化がないにもかかわらず、堤体には数ミリの変異があることが判明しました。その理由は、気温の変化の影響であるという説明を職員の方にしていただきました。本当に貴重な体験です。


キャットウォークからの川俣ダム

 このレポートを読まれている方で、
『記念スタンプのないダムには行ってもつまらない。』
『ダムカードのないダムに行くのはムダ。』
 と思っている方は皆無でしょう。
 この4ダムの周辺には、ダムカードが配布されていないダムもたくさんあります。今回のイベントに参加した何割かの地元の方は、このようにダムカードのないダムにも興味を持ってくれたはずです。そのように確信するのは、いずれのダムでも、「もっと他のダムに行って見たい。」と思うようになる解りやすい説明を聞くことができたからです。


無料配布のクワガタムシ

 あえて国交省さんに“不満”を申し上げるとすれば、このイベントの受付時間が15時までであったことです。日曜日であり職員の方の勤務体制に限界もあると思いますが、せめて16時程度まで最終受付を延長していただけないかと感じた一日でした。

[関連ダム] 五十里ダム  川治ダム  川俣ダム  湯西川ダム
(2014.8.1、安部塁)
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