《戦後のダム建設の歩み》
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ここで、佐賀県土木部編・発行『佐賀平野の水事情』(平成15年)、同県土づくり本部編・発行『佐賀のダム』(平成16年)、日本ダム協会編・発行『ダム年鑑』(平成15年)を主に参考として、昭和20年以降の水害・干害とダム建設のあゆみについて追ってみる。
昭和20年9月 枕崎台風 死者58名 24年8月 ジュディス台風 死者89名 25年5月 渇水被害 26年10月 ル−ス台風 死者3名 28年6月 梅雨前線 筑後川大水害 死者64名 29年10年 渇水被害 30年4月 低気圧 死者1名 8月 渇水被害 31年9月 台風12号 塩田川水害 32年3月 北山ダム(嘉瀬川)完成 AP 総貯水量2,225 万m3 33年7月 渇水被害 34年7月 梅雨前線 町田川水害 死者5名 36年6月 有田川ダム(有田川白川水系)完成 FNW 188万m3 37年7月 梅雨前線 県西部被害 塩田川、深浦川水害 死者56名 38年6月 梅雨前線 県東部被害 死者15名 42年7月 梅雨前線 県西部被害 死者33名 (有田川、伊岐佐川、町田川、川古川) 43年 河内ダム(筑後川水系安良川)完成 FA 119.6万m3 47年7月 梅雨前線 川古川水害 死者3名 49年3月 岩屋川内ダム(塩田川水系岩屋川内川)完成 FN 250万m3 51年3月 竜門ダム(有田川水系広瀬川)完成 FNW 235万m3 台風17号 川古川、深浦川水害 53年8月 大渇水被害 54年6月 梅雨前線 伊岐佐ダム(松浦川水系伊岐佐川)完成 FNW 194万m3 55年8月 梅雨前線 佐賀市街水害 六角川、牛津川、佐賀江川、高橋川水害 古木場ダム(有田川)完成 AW 117.2万m3 渕の尾ダム(六角川水系武雄川)再開発完成 W 58.5万m3 56年 天ケ瀬ダム(六角川水系瓦川内川)完成 A 53.2万m3 57年7月 梅雨前線 死者2名 58年3月 六角川河口堰完成 FW 1,900万m3 59年3月 平木場ダム(松浦川水系町田川)完成 FNW 108万m3 大浦ダム(田古里川)完成 A 73万m3 60年3月 筑後大堰(筑後川)完成 FNW 550万m3 62年3月 厳木ダム(松浦川水系厳木川)完成 FNWIP 1,360万m3 天山ダム(六角川水系天山川)完成 P 327万m3 63年6月 本部ダム(松浦川水系川古川)完成 FNW 114万m3 平成元年4月 深浦ダム(塩田川)完成 FN 2.7万m3 2年6月 梅雨前線 佐賀市街水害 4年 打上ダム(潟川)完成 A 158万m3 後川内ダム(有浦川水系後川内川)完成 A 375.4 万m3 赤坂ダム(切本川水系座川)完成 A 146万m3 上倉ダム(田野川水系田野新田川)完成 A 80.4万m3 5月 矢筈ダム(六角川)完成 FNWI 139万m3 6年 大渇水被害 庭木ダム(六角川水系庭木川)完成 A 60万m3 14年1月 横竹ダム(塩田川)完成 FN 429万m3 2月 狩立ダム・日ノ峯ダム(松浦川水系狩立川)完成 FNW 179 万m3 5月 都川内ダム(伊万里川水系都川内川)完成 FNI 113万m3 藤の平ダム(有浦川水系藤の平川)完成 A 351.8万m3 18年 中木庭ダム(鹿島川水系中川)完成予定 FNW 680万m3
(年表中、F:洪水調節、農地防災、N:不特定用水、河川維持用水、A:灌漑用水、W:水道用水、I:工業用水、P:発電)
このようにみてくると、昭和20年から昭和55年にかけて、各河川に水害と渇水が繰り返し発生している。昭和40年以降佐賀県のダムは、河川総合開発事業の一環として、多くが計画され、49年以降岩屋川内ダムをはじめ、現在まで殆どが中小河川に、治水と利水の目的で完成した。昭和58年以降治水利水対策の向上により水害が減少し、県土の保全と発展につくしてきたことがわかる。このような県営ダムの建設記録に関する工事誌が一冊も発行されていないのは残念である。将来、土木遺産の価値を見直す時がきっとやってくると思われるが。
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