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■ 堤高世界一のホロー・グラビティを建設・畑薙第一ダム 
 昭和37年中部電力(株)は、井川ダムの上流に、畑薙第一ダムを建設し、揚水併用の畑薙第一発電所を設け、その下流に高さ69mの中空重力式畑薙第二ダムを建設、総貯水量1140万m3の調整池を有する畑薙第二発電所を新設した。この建設のため、中部電力(株)は、世界銀行から2900万ドルの借款を得ている。



 この建設を記録した中部電力(株)編・発行『畑薙第一発電所建設工事報告』(昭和39年) の序に、和久英雄大井川開発部長兼畑薙水力建設所長は次のように述べている。

「畑薙第一発電所の完成には、二つの大きな意義があると考えられます。その一つは、数年来の大容量高能率火力発電所の開発により、いわゆる“火主水従”となった発電形態における水力発電所としての一のあり方を示したものであり、二つには、東海地方の有数な荒廃河川であった大井川の治水をここに完成し電源の開発と相まって沿岸地域社会のみならず中部経済圏に多大な貢献をいたしたことであります」

 そして、このダムの特色として

・わが国最初の大容量揚水併用式発電所である。
・世界最高(高さ 125m)のホロー・グラビティ・ダムを築造した
・発電所をダム洪水吐の下に設けた

と3つを挙げている。


畑薙第一ダム

 なお、補償については、畑薙第一ダム、第二ダムとも水没家屋、農地はなく、井川ダム建設のような補償問題はおきなかった。ただ、この2つのダムの建設に伴い木材の搬出不能となる損失と、上流川狩材の処理に対し補償が行われた。
 畑薙第一ダムの諸元は、堤高 125m、堤頂長 275m、堤体積59.7万m3、総貯水量10,740万m3、最大出力137,000Kw 、第二ダムは堤高69m、堤頂長 171m、堤堆積15.5万m3、総貯水量1,140 万m3、最大出力85,000Kw、ともに中空重力ダムで、施工者は間組である。

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