8 おわりに
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以上、神奈川県の相模ダム、城山ダム、三保ダム、宮ケ瀬ダムの4つのダム建設について概観してきた。戦後県人口の推移を追うと、昭和22年相模ダム完成時の 221万人(100%)、昭和44年城山ダム完成時の 443万人(200%)、昭和53年三保ダム完成時の 670万人(303%) 、平成12年宮ケ瀬ダム完成時の 849万人(384%)、そして現在(平成16年12月) 875万人(396%)と増加した。 この人口の動向をみると、京浜工業地帯等における戦後復興を経て、高度経済成長に伴う急速な都市の膨脹に基づくもので、とくに首都圏の一画を占める神奈川県は戦後60年間で、約4倍の 875万人の驚異的な人口増加となった。
これらの人口増加を予測しながら、国、神奈川県及び市町村は、戦時下における水と電力需要期、戦後経済復興期、高度経済成長期、高度経済成長後期とその都度、相模川水系、酒匂川水系のダム施設、取水堰、導水施設の築造によって、先手先手を打って、水の需要に対応し、神奈川県民の生活の向上と安定を図ってきたことが理解できる。 しかしながら、今後は次第に人口は減少し、これに伴って上工水、農水の需要も増大しないであろう。神奈川県は、芦ノ湖の水利権を取得できなかったこと、相模ダム完成時東京へ一部分水を図ってきたことと、このような経過もあって、水を常に大切に扱ってきたといえる。 最近、地球温暖化の影響であろうか、地域によって洪水か渇水かの異常年の現象傾向が増えつつある。これからの水管理は、一層治水、利水を重視するとともに総合的な流域管理による河川環境の保全に努め、水質の向上を積極的に取り組むことが重要だと思われる。
おわりに、その他の相模川、酒匂川に係わる書を挙げる。 樋口次郎著『祖父パ−マ−横浜・近代水道の創設者』(有隣堂・平成10年)。神奈川県編・発行『相模川河水統制事業史』(昭和27年)。神奈川県土木部編・発行『相模川の砂利』(昭和41年)。宮村忠著『相模川物語』(神奈川新聞社・平成2年)。相模川懇話会編『よみがえれ相模川』(合同出版・平成5年)。川とみず文化研究会編・発行『相模川 水の旅』(平成8年)。神奈川県高校地理部編著『かながわの川(上)・(下)』(神奈川新聞社・平成元年)。ふるさと宮ケ瀬を語り継ぐ会編著『ふるさと宮ケ瀬−渓谷の村から』(夢工房・平成9年)。能坂實著『詩集ああ宮ケ瀬』(自費出版・平成9年)。神奈川県編・発行『土地及び水資源に関する総合計画』(昭和34年)。松沢正著『神奈川県における水資源開発と利用』(自費出版・平成6年)。神奈川県企画部編・発行『かながわの水資源(平成9年版)』(平成9年)。
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