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「工事誌」によると、有峰ダムには、和田川の水を貯水するほか、和田川の支川、足谷、東坂森谷および大谷より引水し、さらに真川からも真川上流と真川支川、岩井谷およびスゴ谷の水を引水するとともに、金木戸川引水、高原川引水により神通川水系の水を引水して貯水し、和田川第一発電所、和田川第二発電所、新中地山、小俣ダム、小俣の新設発電所と常願寺川第一発電所の増設により26万3600KWの発電を行い、渇水期には既設の真川、小見、亀谷、中地山、松ノ木、上滝および常願寺川第一の7発電所に補給して2万2900KWの出力増加を行い、また真川上流域からの引水の一部を利用して最大出力4000KWの折立発電所を新設し、これらの発電所により合計26万7600KWの発電力と年間8億KWh の電力量を得、あわせて下流常願寺川第二〜第七の6発電所、合計出力2万 700KWの開発を行った。このような常願寺川の総合的な水力開発は、昭和30年9月着手し、昭和35年12月に折立発電所運転開始を最後として全設備が完成している。
なお、昭和11年5月内務省技師伊藤令二が有峰ダム建設工事に従事、退官後電源開発(株)に入社し、奥只見ダム、御母衣ダムの建設所長として大型ダムの建設にあたった。(藤井肇男著『土木人物事典』(アテネ書房・平成16年)。伊藤令二著『堰堤工學』(アルス・昭和22年)には、重力堰堤の実例として有峰堰堤、水豊堰堤、三浦堰堤、小牧堰堤等を論じる。
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