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◇ 9. 鬼怒川上流ダム群連携事業

 鬼怒川上流ダム群連携事業とは、ダムとダムをネットワーク化し、水をやりとりすることによって、五十里ダム下流の男鹿川・鬼怒川本川の流況改善を図ることを目的として行うものである。それは五十里ダムと川治ダムを導水路で結び、五十里ダムで利用しきれない水を川治ダムに貯め、その貯めた水をまた五十里ダムへ流入させることによって、有効な水運用を図ることである。

 五十里ダムは、年間流入量36,000万m3、有効貯水容量4,600万m3であり、規模が小さく貯水容量が少ないため、雪解けの季節や梅雨・台風の時期には貯めきれない水が下流へ使われないまま放流されてしまう。一方、川治ダムは年間流入量13,000万m3と五十里ダムより少なく、有効貯水容量7,600万m3は五十里ダムより大きく、いったん貯水位が下がるとなかなか回復しない特徴をもっている。

 そのため両ダムを導水路で結び、水の運用を図る。その方法は次のようにして行う。
@ 雨が多い季節のとき
 五十里ダムが満水で貯留できない流入量があるとき、川治ダムに空き容量があれば、最大20m3/sの範囲で五十里ダムから導水し、川治ダムに貯水する。
A 雨が少ない季節のとき
 川治ダムでは、預かっていた水を流況改善のために最大1m3/sを五十里ダムへ導水し、五十里ダムでは、ダム直下男鹿川や鬼怒川本川の流況改善のためにダムから放流する。

 この水運用を図るために、ダム連携事業の施設として、取水トンネル延長225m、直径3.0m、導水トンネル延長865m、直径3.0m、地下機場17m×59m×15.6m、導水ポンプ10m3/s2台、返送ポンプ1m3/s1台が設置された。事業期間は平成7年度から平成18年度、事業費は約195億円を要した。

 単独のダム再開発事業は多く施工されているが、このようなダム連携事業は、私の知る限りでは国内で初めてではなかろうか。




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