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特別インタビュー
〜 念願叶って「ダムマニア」を出版 〜

 宮島咲さんが本を出版されました。2001年頃に趣味でダム巡りを始めてからおよそ10年。今では、ダム愛好家の代表格として新聞、TVなど数多くのメディアに登場し、各種のダム関連のイベントでも世間の注目を集める宮島咲さん。念願叶ってこのたび単行本「ダムマニア」をオーム社から出版されたとのこと。既に9月2日に販売が開始されています。

 そこで、この本のことを中心に急遽お話を伺うことにしました。近年、ダムファンが急速に増えつつあることは、先日開催された「ダムナイト5」の盛り上がりを見ても明らかです。そうした中、初心者にもわかりやすくダム巡りができるようなガイドブックとしての役割を持つ本の出版は、さらにその勢いを後押しするのではないかと期待されます。

(インタビュー・編集・文:中野、写真:廣池)


ダム巡りのおすすめ本を出版

中野: ダムインタビューで最初にお話を伺った時(2008.5)に、いつか「ダム巡りのすすめ」みたいな本を出したい。ドライブにもデートにも使えるような本と語っておられたのですが今回はそういった趣旨に添った本になりましたか?

宮島: さて、ドライブには使えますが、デートには使えない本になってしまいました。(笑)前回のインタビューを受けた頃は、大きなダムを中心に巡っていたのですが、その後、今にも土砂崩れを起こしそうな険しい山道を通っていくアースダムも見に行くようになってしまったので、結果として、車が好きなかたが冒険的なドライブに行くには良いのですが、ちょっとデートには危険かなと思います。

水の専門誌のコラムから…

中野: 今回の本、「ダムマニア」は、どういうきっかけで出版の企画が実現したのでしょうか?
以前から記事を書かれていて勧められたとも伺いましたが。

宮島: 3年くらい前にオーム社の方からメールがきまして、「水と水技術」という専門誌なのですが、そこに2〜3ページのコラムを連載してくれないかという依頼でした。最初は少しジャンルが違うかとも思いましたが、確かにダムは水関係なので、引き受けることにしました。今では、連載12回を数えています。

中野: その「水と水技術」のコラムが企画の始まりになったのですね。どういったことを書かれましたか?

宮島: これは隔月刊の雑誌なのですが、僕自身はマニアのためのダム鑑賞ツアーという趣旨でコラムを書いていました。つまり休日にダムに行ってみようという人達向けに、こんなダムがあるよという内容ですが、中には、今後注目されるであろう揚水発電所についての特集や、凄いものを持っているのに脚光を浴びないダムなど、多少変わった観点からの特集もあります。
 その連載が7回目くらいになった頃、担当の方から単行本を出してみないかと言われました。企画化したのはそれからです。


肩こりと闘いながら

中野: 「ダムマニア」の原稿を執筆されてから、どのくらいかかりましたか。

宮島: 構想半年、執筆3ヶ月でした。仕事が夜9時くらいに終わるのですが、それから3時間くらい書いていましたね。毎日肩こりでした。

中野: 目次を拝見すると、グラビアで美しいダム、働くダム、これがダム?初級編、中級編、上級編、ダム巡りガイドとなっていて、ダムが総合的に網羅されていて、これからダム巡りをしてみようという方には楽しめるような構成だと思いますが、とくに意識した部分というのは、どこですか?

宮島: 編集の趣旨は、「ダムはどうやって見るのか」です。ダムというものを、こう見ると楽しい、という本が作りたかったのですが、知って楽しむためには、ダムの型式減勢工ゲートの形なども記載しなくてはならず、そうしたダムの役割、構造についての原稿が三分の一くらいを占めるようになってしまいました。専門的な書き方はできるだけ避け、自分の言葉で解説するよう心がけました。

ダムというものがよく判るように

中野: ダムを見て、その役割や形の違いがわかれば、より楽しみ方も違ってきますね。ダムに行く時にこの本があれば心強いわけですね。お好きなダムの紹介はやはり力が入りますか。

宮島: それは、そのつもりで書きましたから。(笑)好きな南相木ダム、奈良俣ダムは、グラビアの1、2ページに持ってきました。奈良俣ダムが一番好きですが、やはり見栄えのする南相木がグラビアのトップページを飾るという事になりました。

 初級編はダムを知るというか、基礎知識です。ダム湖を見てダムだと思っている人もいるので、まずはその解説からです。中級編は、減勢工の見方とか、放流施設、ハウエルバンガーバルブとホロージットバルブの違いなど、もう少しマニアックに見る視点を解説してみました。ある意味、ここが醍醐味という気もします。上級編は、ダムの探し方、内部装置とか、ダムのデザインについて踏み込んで書いています。第4章のダム巡りガイドでは、お勧めのモデルコースを紹介しています。

中野: ダム巡り編のダムは、ご自身が実際に訪れたダムですか。


宮島: そうです。現地に行かなくてはわからない情報など、まんべんなく伝えられればと思っています。

中野: 写真も豊富に収録されていて、インパクトがあってわかりやすく楽しいのですが、今までにご自分で撮られた写真も本の編集に役に立ちましたか。

宮島: 役には立ちましたが、残念ながら昔の写真は画素数が少ないので、大きな写真にはできませんでした。今まで撮り溜めていた写真を載せましたし、みんなから協力してもらいました。全国のダムの写真なんかは、一人で集めるのは到底無理ですから。この本を出版できたのも、ダム愛好家の皆さんのご協力あってこそです。

専門出版社ならではの苦労も



中野: 編集さんとのやりとり、原稿執筆、写真セレクト、校正…と、いろいろあると思いますが、出版までの作業はずいぶんたいへんでしたか?

宮島: 執筆はかなり自由にやらせてもらいました。
 途中から解ったのですが、オーム社さんというのは、どうも電力会社の資本が入っているらしく、その部分では幾分気をつかって書いた部分もあるかと思います。

中野: オーム社さんは、その名の通り電気に強いというか、理工係の学生や技術者を対象にした専門書を出版されているイメージがありますが、一般の方が読まれるように解りやすく書かれた本も出されているのですね。
宮島: 本当に専門書ばかりなので、初めは「ダムマニア」という本のタイトルも、上層部に通らなかったらしいです。流行に流されることない堅い会社なので、このような言葉はダメだということでしたが、出版まで漕ぎ着けたら「ダムマニア」として通ってしまいました。編集者の方の力量ですね。

10万文字を3ヶ月で

中野: 原稿の締め切りはどんな感じで決められていたんですか。

宮島: まず10万文字を3ヶ月で書いて下さいと言われ、びっくりしていたら、次にグラビア部分のダムは何基にして下さいとか、具体的な依頼が来ました。正式に依頼が来たのは2010年の11月くらいですかね。実際に原稿を書いて、年に何冊も本を出されている方がいるのが信じられないです。本当に大変でした。文章を書く自信はつきましたが、当分はもういいかな。(笑)今は、読者から戻って来る反応が怖いですね。プロの方が読まれたら、ここは違うんじゃないかということもあるかもしれません。

中野: 先日、お台場で行われた恒例のイベント「ダムナイト」もたいへん盛り上がったそうですが、最近はダムに興味を持つ人が増えていると思われますか?

宮島: 目に見えて増えていると思います。僕自身は、ダムナイトには最近出演していませんで、もっぱら飲む方にまわってしまっていますが、会場にいらっしゃるお客様に、この本の存在を知って頂ければ嬉しいですね。(笑)発売当初は、アマゾンの科学の読み物ジャンルで1位になることもありましたが、今は10位から20位の間を浮き沈みしています。

ダムが働く姿を見て欲しい

中野: 本の最後に、家に居ながらダムを楽しむ「川の防災情報」とありますが、これはどういった内容ですか。

宮島: 実は、ダムの働き方を読者に伝授したかったんです。「川の防災情報」とは、国交省がリアルタイムで提供している雨量や河川についての様々な情報…レーダー雨量、洪水予報や水防警報、ダムの放流予定などの細かい情報ですが、これらの見方の説明です。これを見慣れてくると、数字からどこのダムが満水で、どのゲートから放流しているかを想像することができるようになりますね。「川の防災情報」のデータでダムの放流シーンを思い浮かべることができるのです。(笑)

中野: それは、臨場感がありますね。台風のような大雨の時の但し書き操作は特殊なものですが、雨降りの時にバーンと放流しているのは、まさにダムが頑張って水を溜めつつ、洪水調整に働いているシーンですからね。

宮島: そうなんですよ。誤解を招く報道をする一部のマスコミに対する批判もきちんと書きました。
 例えば、ダムが放流したために水害が起こったかのような表現はちゃんとした報道ではないと。実際、それは違っています。でも一般の人がそれを聞いたら、ダムが悪いと思ってしまうかも知れません。だから、もっとダムのことを知って欲しいのです。

中野: マニアの皆さんからは、本に対する反応はありましたか。

宮島: 一番早く手元に届いて人でも発売後2日ですから、それほどはまだ…。ツイッター上のつぶやきによると、早くて2時間くらいで完読してしまう方もいらっしゃるようですが、概ねわかりやすいと仰って下さる方が多いです。


次は、マンガでと…

中野: もし続編の執筆依頼がきたら、どうされますか。

宮島: 今は、とても考えられません。(笑)が、次回は「マンガでわかるシリーズ」というのがオーム社から出ているので、ぜひ「マンガでわかるダム」にチャレンジできればと、密かに目論んでいます。編集者さんよろしくお願いします。
 実は、ダム工学会でお世話になった石田先生に「今度オーム社から本が出ます」とメールしたら、すでにこの「マンガでわかるシリーズ」を書かれておられて、「ダムマニア」と同じく9月中には出版の運びということで、とても驚きました。(笑)

中野: ダム巡りの初心者にはぜひ今回の本をガイドブックとして活用してもらいたいですね。本日は、興味深いお話を有り難うございました。


☆「ダムマニア」目次

グラビア(1) 美しいダム
南相木ダム/奈良俣ダム/笠置ダム/四万川ダム/雨畑ダム/温井ダム/月山ダム/青下第三ダム
part1 初級編 ダムを知る
ダムってなに/ダムの歴史/ダムの魅力/ダムの形式/ダムの目的/水位/ダムの所有者
グラビア(2)働くダム
宮中ダム/東ダム&東第二ダム/畑薙第二ダム/加治川治水ダム/奥只見ダム/早明浦ダム/鹿瀬ダム/川俣ダム
part2 中級編 ダムを楽しむ
覚えておきたいダム用語/放流設備/減勢工/ダム内部の装置/その他の設備/型式別ダム考察
グラビア(3)これがダム?
豊稔池ダム/大内ダム/金城ダム/黒又ダム/丸沼ダム/不破北部防災ダム/小里川ダム/立ヶ畑ダム
part3 上級編
ダムを探す/ダム巡り必須アイテム/ダムへ行ってみる/ダム内部を見学するには/ダムの放流/地域に開かれたダム/ダムのおしゃれ/ダムカードを集める
part4 ダム巡りガイド
エリアでめぐる群馬/エリアでめぐる埼玉/エリアでめぐる栃木/川をさかのぼる天竜川1/川をさかのぼる天竜川2/川をさかのぼる木曽三川 揖斐川/川をさかのぼる只見川/これだけは訪問したいダム・セレクト10/家に居ながらダムを楽しむ「川の防災情報」/bPを極める
付表/事前申込み不要で堤体見学ができるダム


(参考)宮島 咲 さん プロフィール

宮島 咲(みやじま さき)
1972年 東京生まれ。 老舗割烹料理店「割烹三州家」五代目ダム事業部長
財団法人日本ダム協会認定ダムマイスター、フォトコンテスト審査委員

2002年 ダムウェブサイト「ダムマニア」開設
2003年 「Dam Web Ring」 結成
2004年  OFF会 第1回Dam Web Ring佐久間ダムオフ会を開催
その後数々のTV、ラジオに出演、講演、コラム掲載をされている

主な出演
NHKBS「熱中夜話」
MOND21「山田五郎アワー 新マニア解体新書」
テレビ東京「マニアの叫び」TBS「はままるマーケット」など
掲載
オーム社「水と水技術」コラム掲載
ダム日本」コメント、グラビア掲載。

講演その他
ダム工学会、土木の会写真展出展

(2011年9月作成)
ご意見、ご感想、情報提供などがございましたら、 までお願いします。
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