これは、本田典光様の投稿です。使用した写真及び図は、北陸地方整備局三国川ダム管理所からの提供(一部多少修正)です。
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1.出水等の概要
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三国川ダムは、平成23年7月26日から30日にかけて、三国川でも記録的な大出水となりました。三国川ダム流域の出水は大規模な二山洪水となり、ダムへの最大流入量は第一波洪水の639.5m3/s(7月28日21時00分)で、この流入量はダムの管理開始後の最大流入量を更新しました。(今までの管理開始後の最大流入量は、平成17年6月28日の524.8m3/s)また、その時の放流量は78.1m3/sでした。
第二波の洪水は、継続時間が長い降雨によって、流入量が多くなり貯水位が急激に上昇し、第一波洪水の貯留量を夏期制限まで水位を落としきっていなかったこともあって、三国川ダムはサーチャージ水位に到達し「ただし書き操作」を実施しました。ただし書き操作時の最大流入量は527.44m3/s(7月30日1時)で、ただし書き操作時最大放流量 235.89m3/s(7月30日4時50分)でした。(詳細は、「テーマページ」の「平成23年7月新潟・福島豪雨での三国川ダムの効果」参照)
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2.流域の法面崩落状況
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三国川ダム流域は、標高800〜900mの壮年期の山地で構成され、各所に地すべり・崩落によると考えられる形状が見られます。 また、三国川ダムでは、平成16年頃から降雨後の貯水池への濁水の流入の長期化が問題になってきましたが、これは崩落した土砂からの濁水と考えられます。
平成23年7月の豪雨後の流域の崩壊状況調査の結果は、図−1のとおりです。今回の豪雨によって、流域内全域で新たな法面崩落が多数発生しています。 今回の豪雨での法面崩壊状況の特徴は、
@ダム湖の右岸法面部で崩落が多発した。 A三国川と下津川の流域で土砂量の多い崩落(特に三国川の崩落は大規模)が発生し、その崩落箇所から大量の土砂がダム湖に流入した。 B黒又沢川では、ガリー侵食や地すべり状の崩壊が発生した。 C流域全体で、新規の崩落が多数発生した。 などです。
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3.流入土砂の状況
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貯水池上流端(十字峡地点)の土砂堆積の状況は、下の写真のとおりです。橋梁や護岸の状況から堆積状況がわかると思います。今回の洪水では、三国川本川と下津川から土砂が大量に流入しました。しかし、黒又沢川は砂防ダムが設置されていたことから土砂流入は比較的量が少なかったようです。
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4.貯水池内の堆砂
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堆砂状況を把握するため、堆砂形状縦断図を平成6年から5年毎に整理した結果を図−2に示します。図より、ダムサイト上流2km地点付近で堆砂肩が形成されていることがわかります。また、今回の豪雨による堆砂は、主にダムサイト上流2km地点付近より上流部を中心に進行しました。
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5.最後に
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出水後に実施した堆砂測量の結果から、今回の洪水で貯水池へ流入した土砂の量は約42万と考えられます。この土砂量はダム完成(平成4年)から平22年までの年間平均堆砂量である60千の7倍強(7年分以上)にあたり、今回の豪雨で、新たに崩落した土砂や過去に崩落し河道に溜まっていた大量の土砂が貯水池に流入したと思われます。その結果、平成23年までの堆砂量の累計が計画堆砂量の累計とほぼ等しくなりました。
流域の山地は、崩落しやすい地質であり、今後も大雨の後の変化に注意が必要です。また、河川や沢には、まだ大量の崩壊土砂が堆積していると思われることから、大出水時には貯水池に土砂が流入してくる可能性があると思います。
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[関連ダム]
三国川ダム
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(2013年9月作成)
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