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2 制度の仕組みと改正経緯

(1)ダム建設との関係

 水特法の中核は、ダムの政令指定、水源地域の指定、水源地域整備計画の決定、です。ダムの基本計画の決定の頃政令指定がされ、補償基準の提示・妥結の頃水源地域の指定と水源地域整備計画の決定がされるのが通常です。
 制定時のダム指定基準は、30戸以上又は農地30ha以上の水没でしたが、1992年1月に20戸、20ha(北海道は60ha)以上に緩和されました。

(2)水特法での流れ

@ ダム指定の後、国土交通大臣による水源地域の指定があります。この際都道府県知事は関係市町村長の意見を聞き、国土交通大臣に申し出します。
A 国土交通大臣はその水源地域(基本的にはダム湖に隣接する大字単位)について、水源地域整備計画を定めます。その案は都道府県知事が事業実施予定者等の意見を聞いて策定し、大臣に提出します。


宮ヶ瀬ダム関連・清川村の金沢キャンプ場
(3)水源地域整備計画

 水源地域整備計画では、24(霞ヶ浦は11)事業のうち所要のものの整備方針を定めます。
多量の戸数・農地を水没させるダムには一部事業の補助率嵩上げがあり、そのダムは水特法9条で政令指定されます。当初200戸又は200ha以上の農地(特別な場合は100戸、100ha以上)でしたが、1979年3月に150戸、150ha(特別な場合は75ha)以上と緩和されました。

(4)1994年法改正とその波及

 1994(平成6)年に議員立法によって改正されました。ダム周辺集落の状況の水特法制定当初からの変化に伴い、ダム水源地の活性化を図るため、次の3点を内容とします。
@ 目的の追加
 1条の目的に、ダム貯水池の水質汚濁の防止を付加しました。
A 固定資産税の不均一課税に伴う措置(13条追加)
 水源地域内の事業用設備又は家屋、敷地について市町村が不均一課税をしたときに、当該市町村の減収のうち、標準固定資産税率の1/2に当たる0.7%分まで地方交付税で措置します。
B 水源地域の活性化のための措置(14条追加)
 水源地域の活性化のための努力義務を国、地方公共団体に課しました。これをうけ、1997年度税制改正により水源地域内の製造業・旅館業の建物等に対する所得税・法人税の特別償却が認められました。

(5)水源地域整備計画の対象事業の追加

@ 1978年に農業(畜産業を含む)等の近代化のための共同利用施設やスポーツ又はリクリエーションの用に供する施設等6項目の事業が追加されました。
A 1995年に老人福祉センターの他に下のものが追加されました。
ア 老人デイサービスセンター
イ 高齢者生活福祉センター
ウ 地域福祉センター
B 1994年に畜産経営に係る汚水の処理のための整備に関する事業が追加されました。
 


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