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1.はじめに
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三重県伊賀市には、現在でも位置未確認ダムが数基存在しています。その一つが「大平池」です。「大平池」は位置情報が未記載で、左岸所在地が「三重県伊賀市山畑」となっていました。所在地から推測すると、田代池の上流に位置するアースダムのようです。地図には、はっきり「大平池」と記載されていますのでこの場所が目的地に間違いありません。
地図で確認する限り、田代池の右岸道を進めば大平池に到達できるはずです。問題の所在は、この池が大平池であるか否かということではなく、堤高15m以上の堤体を有するかという点となります。
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2.田代池
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田代池には、かつて一度だけ行ったことがあります。正直なところ、もう二度と行きたくない急勾配道路のそのまた山奥に位置しています。大平池は、その田代池よりも更に上流に位置するアースダムです。相当の覚悟が必要です。しかしここまで判明している以上、大平池の姿を確認しておきたいと思い体調を整えて当地に赴くことにしました。
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ところが、田代池に到着してさらに進もうとすると、その右岸道は立入禁止となっていました。この場所には「大阪市立伊賀青少年野外活動センター」という施設があります。田代池右岸道は公道ではなく大阪市の私道(市道?)のようです。
田代池の前には、「大阪市」と刻まれた境界柱があって領有権を主張しています。ここは大阪市の飛地なのでしょうか。大阪市の一部だとすれば何区に属するのでしょうか。
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それにしても事前の調査不足でした。このような状況下で私はどうしたらよいのでしょうか。一度、下山してから、大阪市に通行許可申請をしなければならないのでしょうか。
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3.大平池
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立入禁止。やはり、このように正面から「関係者以外立入禁止」と書かれていれば、これ以上は進めません。無断侵入は刑法で処罰される犯罪です。
しかし、掲示をよく見ると「用事のある人はセンター管理事務所まで来てください。」という旨が記されていました。立入禁止とは書いてあるものの、この門から野外活動センター管理事務所までは、とりあえずは事前の許可なく進んでもグレーソーンのようです。
こうして、管理事務所までおもむいて「この先にある大平池の写真を撮るだけなので、通行の許可をお願いしたい。」と申出たところ、面倒な文書も必要なく許可をいただくことができました。
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大平池は自然に溶け込んだ池でした。堤体は下流の田代池と似た構造なっていますが、大平池では堤頂上流側にガードレールが設置されています。施設利用者がオリエンテーリング等で堤頂を通行する際の事故防止のためであると思われます。地図では、余水吐きが左岸に描かれていますが、実際は右岸に設置されています。
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便覧記載の通り、15m程の堤高も十分確認できます。
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本日は、キャンプ地としてはシーズンオフでしたので自動車での通行が認められたようです。センター利用者が多くなる大型連休から夏休みにかけては、やはり通行規制があるのではないかと思います。
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4.おわりに
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このダムは、淀川水系木津川の最上流部に位置しています。便覧によれば、総貯水量140千m3ということです。天ヶ瀬ダムの発電放流では10分あまりで空になってしまう程の規模でしかありません。この地域には、大きな河川がないため、農業用の溜池が数多くつくられています。大平池と田代池で取水された水は、下流の溜池群に送水され田畑をうるおしているのではないでしょうか。緑のダムという考え方もありますが、現実的な利水機能を求めることは困難です。
「大阪市立伊賀青少年野外活動センター」は、規定の利用料金を支払い申し込めば、利用者として堂々と立入ることができます。山の中に貯水池が形成した景観は美しいものです。是非一度訪れてみてください。
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