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ダム番号:2234
 
別所上池 [愛媛県](べっしょかみいけ)


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位置未確認ダムを探して…別所上池
左岸所在 愛媛県今治市大三島町宮浦 
位置
北緯34度14分43秒,東経133度00分49秒   (→位置データの変遷
【位置未確認】
河川 明日本川水系明日本川
目的/型式 A/アース
堤高/堤頂長/堤体積 15m/53m/20千m3
総貯水容量/有効貯水容量 25千m3/25千m3
ダム事業者 大三島町
着手/竣工 /1937
諸元等データの変遷 【05最終→06当初】水系名[明日川→明日本川] 河川名[明日川→明日本川]
【06当初→06最終】かな[べつしよかみいけ→べっしょかみいけ]
【06最終→07当初】河川名[明日本川→九頭宇谷川]
【07当初→07最終】河川名[九頭宇谷川→明日本川]

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位置未確認ダムを探して…別所上池

安 部  塁
1.はじめに

 愛媛県の今治市に「別所上池(べっしょかみいけ)」という位置未確認のアースダムがありました。全国的にはタオルの産地として知られている今治市ですが、「別所上池」は今治市の中心地から30キロ程離れた瀬戸内海の大三島にあります。現在では、今治市に編入されている大三島にも、かつては「大三島町」と「上浦町」という2つの自治体が存在していました。

 大三島は、四国の今治市と本州の尾道市を結ぶ西瀬戸自動車道(しまなみ海道)のほぼ中間に位置しています。本州と四国を結ぶ3本のルートは、基本的に全線自動車専用道路となっています。西瀬戸自動車道も自動車専用道路となっていますが、橋梁部には歩行者・自転車(原付含む)専用道路が併設されています。これを利用すれば、大三島から今治市役所本庁舎まで、徒歩で瀬戸内海を渡って行くことも法律的には可能です。(※橋梁部以外は、一般道を通行します。)


レンタサイクルも利用可能
 この島には、「台ダム」「上浦ダム」「別所上池」という3つのダムが存在していることになっていました。このうち、「別所上池」が現在でも、位置未確認となっています。
 ダム便覧2011では、「別所上池」について次のような記載があります。

  左岸所在地:愛媛県今治市大三島町宮浦
  位置:北緯34度14分43秒,東経133度00分49秒【位置未確認】
  河川:明日本川水系明日本川

 この情報は、すでに矛盾を含んでいます。
 仮に、所在地が正しいとすれば、その場所には「明日本川」は流れておりません。また、設置河川が正しいとすれば、その場所は「今治市大三島町宮浦」ではないということになります。

 整理すると、
A説:所在地住所が正しい場合
 ×設置河川名が誤り(明日本川水系明日本川は、今治市大三島町明日に存在する。)。
 △地図上では、2つの溜池らしきものが確認できる。

B説:設置河川名が正しい場合
 ×所在地住所が誤り(今治市大三島町宮浦には、明日本川水系明日本川はない。)。
 ×地図上では、溜池らしきものは何も確認できない。
となります。

 判定が難しいところですが、一応A説が有力であることになります。なお、ダム便覧に記載されている推定の位置情報はA説を支持しています。

5.地元の方の話

 この日は、平日でした。休日は観光客・参拝客で相当混雑するであろう大山祇神付近のお土産店を回りながら話を聞くことにしました。

 下池(仮称)について教えていただいたことは、
◆あの池は、「ベツソウシモノイケ」という。地名を省いて「シモノイケ」とも呼ぶ。
◆「ベツソウシモノイケ」は漢字で「別所下池」と書く。
◆「別所」と書いて、ここでは「ベツソウ」と読ませる。
◆大山祇神社の裏山一帯を「別所条(ベツソウジョウ)」と呼んでいる。
ということでした。

 「別所」は地名でした。明治川にあった「別所橋」の読み方も「べつそうばし」でした。


「べつそうばし」
 やっと「別所下池」までたどりつきました。下流にある小さな池が「別所下池」であれば、その上流の大きな池は探していた「別所上池」であるはずです。「宮祇池」の別名が「別所上池」である可能性は、十分考えられます。

 ところが、地元の方からは、「別所上池」という証言は、得られませんでした。

◆あの池の石碑にある「宮祇池」について、地元の私たちもその読み方がわからない。
◆なぜ「宮祇池」という文字が刻まれているのか正確な理由もわからない。
◆あの池は、漢字で「浦伐池」と書いて「ウラギリイケ」という名前だ。
◆「浦伐池」は老朽化しているので、今はではあまり水を貯めないようにしている。

 堤体にあった「宮祇池」の石碑は、麓にある大山祇神社と何らかの関係があって刻まれた信仰的な意味合いをもつ詞で池の名前とは関係がないものかもしれません。
 上流の堤体は、ダム便覧に掲載されている「別所上池」の諸元とほぼ一致していると考えられます。所在地である今治市大三島町宮浦には、他に想定される溜池はありません。
 以上のことから、ダム便覧・ダム年鑑に「別所上池」として掲載されているアースダムは、地元で「浦伐池」と称されている堤体を指していると考えました。

 その後、写真を整理していたところ、「浦伐池」の堤頂上に等間隔で杭のようなものが打ち込まれていることが判りました。当日は、石碑に神経が集中して気付かなかったようです。この木製の杭は、測量など何らかの調査が実施された形跡であると思います。


浦伐池堤頂部
 後日、今治市役所大三島支所に確認したところ、次のような事実が判明しました。

◆上流の池は、浦伐池(ウラギリ)池で、下流の池は土ヶ平(ツチガヒラ)池という。
◆別所上池・下池は、地元民の通称であって、溜池台帳上の名称ではない。
◆石碑の「宮祇池」について、これは溜池の名前ではない。
◆溜池台帳上では、浦伐池の堤高は、9.5mで堤頂長61mと記載されている。
◆浦伐池は、老朽化のため、愛媛県の事業として堤体の保全工事が予定されている。

 この結果、「別所上池」は、堤高が15m未満のため「ダム便覧」からは消えゆく運命にありそうです。

 ・・・→ 全文はこちら
(2012年1月作成)


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