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ダム番号:2513
 
朝月溜池 [佐賀県](あさづきためいけ)



ダム写真
  →フォト・アーカイブス [ 提供者順 / 登録日順 ]
テーマページ 佐賀県唐津市の位置未確認ダムについて
左岸所在 佐賀県唐津市湊町 
位置
北緯33度30分56秒,東経129度56分47秒   (→位置データの変遷
【位置未確認】
河川 川原川水系川原川
目的/型式 A/アース
堤高/堤頂長/堤体積 16.1m/100m/73千m3
流域面積/湛水面積 km2 /6ha
総貯水容量/有効貯水容量 252千m3/227千m3
ダム事業者 朝月地区
本体施工者 ダム事業者直営
着手/竣工 /1929
リンク Dam's room・朝月溜池ダム
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】河川名[川原川→福地川]
【07当初→07最終】河川名[福地川→川原川]
【08最終→09当初】堤高[16.1→16]
【09当初→09最終】堤高[16→16.1]
【12最終→13当初】本体施工者[朝月耕地整理組合直営→ダム事業者直営]

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佐賀県唐津市の位置未確認ダムについて

拾泉舎(山口県)
 
 
 佐賀県唐津市には、ダム便覧に掲載されているだけで12基のダムが集中しています。また地図を確認してみると、このほかにも大小多くの溜池が点在しています。
 平成28年3月現在、ダム便覧においては、このうち「中小場溜池(なかこばためいけ)」「朝月溜池(あさづきためいけ)」「新浦(しんため)ダム」の3基が位置未確認とされています。このたび、これらのダムについて現地訪問を行いましたので報告させていただきます。
 なお、調査にあたってはダム便覧に掲載された写真等を予め確認することができたため、事前準備をして臨むことができ、改めて現地訪問や記録の大切さを感じました。諸先輩方に感謝申し上げます。

※訪問を終わってこの原稿を書いている最中に熊本地震が発生し、九州地方の広い範囲で被害が生じました。被災された方にお見舞い申し上げます。
A朝月溜池の位置確認[ダム番号:2513]

 朝月溜池は唐津市湊町にある農業用アースダムで、フォト・アーカイブスにはだいさんの撮影による写真が掲載されています。ダム便覧に掲載された仮の位置情報を地図上で確認すると、湊町地区南部の山中にある溜池を指しています。一方、ふかちゃんさんのサイト「Dam's room」では、堤防で仕切られた比較的規模の大きな溜池の写真が掲載されており、だいさんの写真とは異なる溜池を指しているように思います。(ふかちゃんさんは、2つの溜池を「第一池と第二池」と考えられたようです。)
 訪問に先立って各種資料を調べてみたところ次のような情報が得られました(カッコ内は筆者注)。
・海上保安庁が発行している環境脆弱指標図においては、ダム便覧の位置情報で示された溜池が「朝月溜池ダム」とされている。
・唐津市全図において、ダム便覧の位置情報で示された溜池は「長葉山溜」と記載されている。(本件に限らず、唐津周辺の溜池は「○○溜」と呼称される例が多い。読み方は未確認。)
・唐津市全図において、長葉山溜の南西に位置する2つ並んだ溜池のうち、北東側が「十連溜」、南西側が「朝月溜」とされている。(ふかちゃんさんが朝月溜池と推定された溜池と思われます。)
・昭和47年度の唐津市水防計画書において「朝月溜」が掲載され、「貯水量150,000立方メートル/堤高12m/延長94m」とされている。(行政が把握している危険溜池として掲載されたもので、数値にはかなり信憑性があると思われる。計画策定時点では、ダム便覧に比較的近い規模の溜池として確認されていたことが窺える。)
・平成26年度に唐津市が「朝月ため池改修工事」を予算計上及び入札執行している。当該工事では、取水施設(斜樋)の改修を行っている。(朝月溜池は斜樋が改修されたばかりの状況と推測される。)

 各種資料では互いに相違している点が認められますが、現地訪問にあたっては、唐津市全図の情報が正しいものと仮定して確認を行いました。


長葉山溜、十連溜、朝月溜位置図(国土地理院ホームページデータを加工)
◇長葉山溜
 道路から見下ろすような位置にある小規模な溜池で、北東側が堤体になっている様子です。だいさんの撮影された溜池で間違いありません。
 訪問した際は接近が困難な状況であったため堤高等は確認できませんでしたが、堤頂長は40〜60m程度に見えます。全体は概ね楕円形になっており、長辺が100m程度のようです。目視した印象では、総貯水量150,000立方メートル(水防計画)〜252,000立方メートル(ダム便覧)という規模があるようには感じられません。


長葉山溜
◇十連溜
 2つの溜池のうち北西側が十連溜と思われます。皿池のような形状で、堤体ははっきりしません。朝月溜よりは小さいようですが、それでも前掲の長葉山溜よりはかなり大きな溜池です。


十連溜
 隣接する朝月溜とは細い堤防で仕切られています。堤防上は未舗装の車道になっており、対岸の農地と往来できるようです。双方の水面は同じレベルに見えますが、両者が水路で繋がっているか否かは確認できませんでした。


十連溜と朝月溜を仕切る堤防(左側が十連溜)
◇朝月溜
 十連溜の南西側に隣接する溜池で、北西部が堤体になっています。地図上では溜池の大部分が鎮西町八床地区に属しており、十連溜との仕切りから天端を通るラインが両地区の境界になっているようです。朝月溜のうち湊町地区に入っているのは、堤体下流側の半分のみという状況です。
 天端は広く、舗装道路が通過しています。堤頂長は100m程度という数値が妥当に思えます。堤高はそれなりにあるようですが、裾が林になっているためはっきりしません。


朝月溜堤体

朝月溜堤体(湛水側から)
 堤体中央付近に斜樋があります。真新しいコンクリート製の階段が設けられており、平成26年度に改修工事が行われたことを裏付けているものと考えられます。


朝月溜斜樋
 堤体の左岸側に古びた洪水吐があります。導水路は道路に隣接しており、注意して見ないと道路側溝のように見えます。


朝月溜洪水吐
 以上3つの溜池を訪問しましたが、地図上の情報や行政資料、溜池の規模、斜樋の改修状況等から総合的に考え、唐津市全図等に示された朝月溜が「朝月溜池」であると判断いたしました。

・朝月溜池所在地  北緯33度30分33秒,東経129度56分17秒

◇主な参考文献
『唐津市史』(唐津市史編纂委員会、1991)
『和多田の歴史』(和多田町内会長会、2000)
『唐津都市計画図』(唐津市、2015)
『唐津市全図 1〜3』(唐津市、1988)
『唐津市下水道整備エリアマップ』(唐津市、1990)
『唐津市水防計画書 昭和47年度』(唐津市、1972)
『平成26年度6月補正予算の概要』(唐津市、2014)
『主要水系調査成果 唐津・浜崎』(国土交通省国土政策局国土情報課、2010)
『環境脆弱指標図 佐賀県3』(海上保安庁第七管区海上保安本部、2013)
 国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」
 唐津市公式ホームページ
 ・・・→ 全文はこちら
(2016年5月作成)


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