緩やかなカーヴと敷き詰められた玉石は芸術作品を思わせる |
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現在までに約650箇所のダムや堰堤を見てきたが、この堰堤を見たときは「ドキィ」とした。この堰堤は、四国の早明浦ダムから上流約30qの吉野川本流にある。高さ11.6mであるため、ダムとして登録されていないが面白いので紹介する。
住友共同電力(株)が所有している水力発電用の取水堰堤で、竣工は昭和5年(1930年)である。奇しくも国内では五連式マルチプルアーチダムの豊稔池や小牧ダム、海外の台湾では八田與一技師による烏山頭ダムも1930年に竣工している。
管理している方の了承を得て、撮影を行ったが、見れば見るほど面白い堰堤である。 堰堤本体は、緩やかなカーブを描き、表面には玉石や割石が見られる。恐らく、内部にも多くの玉石を練り込んでいると思われる。右岸側には、2門の排砂ゲートが設置され、驚いた事に魚道がある。 玉石の表面がキラキラと光り輝き、美しく不思議な堰堤である。
管理の方によると、工事の時は道路も無く、資機材は新居浜の方から人力、木馬や索道で運んで来たと説明を受けたが、骨材は現地調達したのでは思われる。転流などをどのようにしたのか?興味が持たれ、昔の技術者の苦労が偲ばれる。
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