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7.三井庄川 〜 三宝ダムの建設、 円山川 〜 大路ダム(拾枚湖)の建設


『三宝ダム工事誌』

三宝ダムの建設 
 三井庄川(由良川水系)は、その源を妙高山系三春峠(標高 490m)に発し、山間部を西流し、鹿場地点で竹田川に合流する流域10.1km2、流路延長4kmの一級河川である。

 三宝ダムは、三井庄川の兵庫県氷上郡春日町大字上三井庄地点に、日本初の小規模生活ダム(ミニダム)として、平成7年に完成した。
 この小規模生活ダムは、山間部や半島部、島しょう部等の地域に密着した小河川における局地的な治水利水目的とする昭和63年に創設の建設省(国土交通省)の補助ダム事業である。建設記録として、兵庫県柏原土木事務所編・発行『三宝ダム工事誌』(平成7年)がある。


三宝ダム

 ダムの目的は次の3点。

・ダム地点における計画高水流量23m3/sのうち18m3/sの洪水調節を行う。
・三井庄川沿岸の既得用水の補給。
・春日町に対し、ダム地点において最大 900m3/日の取水を可能ならしめる。

 ダムの諸元は堤高35.1m、堤頂長 178m、総貯水容量27.1万m3、重力式コンクリートダムで総事業費59億円である。なお、補償については水没家屋なし、取得面積31haとなっている。起業者は兵庫県、施工者は戸田建設(株)・大豊建設(株)・(株)川嶋工務店共同企業体である。

 三宝ダムによって、 370戸の未給水地区を解消し、一方貯水池の周辺整備が進み、毎年地域の盆踊りの会場にも利用されており、地域に密着したダムである。


『大路ダム工事誌』

大路ダム(拾枚湖)の建設 
 円山川は、兵庫県朝来郡生野町円山に源を発し、但馬地方の中央を北流し、与布土、大路川、八木川、出石川等を合流し日本海へ注ぐ流域面積 1,300km2で、幹線流路延長67.3kmの一級河川である。
 大路ダムは、円山川水系大路川(流域面積3.6 km、流路延長 2.1km)の兵庫県朝来郡和田山町久世田地点に、円山川総合開発の一環として平成11年に完成した。前述の三宝ダムと同様に小規模生活ダムである。

 建設技術研究所編『大路ダム工事誌』(兵庫県八鹿土木工事事務所・平成11年)のなかで、その事業の必要性について、「大路川は急流のため、昭和40年台風23号、昭和47年7月梅雨前線に伴う集中豪雨により多大な被害を受け、一方和田山町では近年宅地造成、工業地造成の開発により、いままで、地下水に依存していたが、水道用水の需要が急増し、新たな水源が求められ大路ダムの計画に期待が集まってきた」と述べられている。


大路ダム

 この大路ダムは

・ダム地点の計画高水流量61m3/sのうち、45m3/sの洪水調節を行う
・大路川沿川の既得用水の補給
・和田山町に対し、水道用水として 2,000m3/日の取水を可能とする

という3つの目的をもって建設された。
 ダムの諸元は堤高32.1m、堤頂長 138m、総貯水容量37.5万m3、重力式コンクリートダムで総事業費58億円である。なお、補償については水没家屋なし、取得面積 8.2haとなっている。起業者は兵庫県、施工者は三井建設(株)・(株)宮本組共同企業体である。

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