おわりに
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以上のように、昭和36年以降室牧ダムを始めとして、富山県における11基のダムについて概観してきたが、次のような特徴をあげることができる。
・水害のおこりやすい急峻な河川が多いために、洪水調節の機能をもった多目的ダムが 100%を占める。 ・同様に、急峻な河川を活用した発電用水を目的としたダムが約60%を占め、「水力発電王国富山」の復興の役割をになってきた。 ・さらに、豪雪地帯であることから、日本初の消流雪用水の機能をもった布施川ダム、城端ダム、境川ダムが建設され、また、地域に密着した小規模生活ダム大谷ダムは、消流雪用水も含むダムとなっている。
おわりに、富山県の水環境を考えるとき、代表的な7河川が注目される。前述したように東から黒部川、片貝川、早月川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川であるが、これらの河川から、多くの清浄な水が扇状地の至る所で自噴水や湧水としてみられる。都市化に伴って生活排水や工場廃水によって、地下水の悪化が生じないように、常に努めていく必要があるだろう。そして、これからも「水の王国富山」を誇りたいものである。
庄川の水に庄川のにほひあり ほろぼろとすがし回帰への旅 (白井芳樹)
最後に、富山県の水環境に関する書をいくつか挙げる。
・富山県編・発行『富山県の水資源』(昭和51年) ・森清松著『とやまの名水めぐり』(北国新聞社・平成元年) ・富山市民文化事業団編・発行『とやま百川』(昭和62年) ・富山湖沼研究会編『富山の湖沼』(北国出版社・昭和54年) ・富山市水道局編・発行『富山市水道50年史』(昭和61年) ・高岡市水道局編・発行『高岡市水道史』(昭和54年) ・射水上水道企業団編・発行『いみずの水 射水上水道企業団10年史』(昭和57年) ・村上兵衛著『黒部川−その人と自然−』(日本経営史研究所・平成元年) ・佐藤寛・越前久松著『黒部川扇状地の農業用水誌』(丸善・平成12年) ・熊井啓著『黒部の太陽ミフネと裕次郎』(新潮社・平成17年) ・北陸電力・編・発行『有峰発電計画工事誌』(昭和39年) ・北陸電力・編・発行『有峰と常願寺川』(昭和56年) ・立山カルデラ砂防博物館編・発行『デ・レィケと常願寺川』(平成12年) ・新田次郎著『神通川(小説)』(学習研究社・昭和44年) ・庄川編さん委員会編『庄川』(庄川左岸右岸水害予防組合・昭和39年) ・農水省北陸農政局編・発行『刀利ダム工事誌』(昭和43年) ・日本プロジェクト産業協議会編・発行『雪ダム構想に関する調査報告書』(平成元年)
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