6.佐久間ダムの建設
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『ダムと水の歌 102曲集』
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服部勇次著『ダムと水の歌 102曲集』(服部勇次音楽研究所・昭和62年)に、「ああ、佐久間ダム」が収録されている。
1 はるか彼方の諏訪湖より 天竜川へ水流る 飯田 平岡 佐久間へと 流れ増して 太平洋 ああ佐久間ダムは 電気のふるさとよ
2 全長二百五十キロ 流れを止めて発電所 五つのダムは音を立て みなぎる力 明日を呼ぶ ああ佐久間ダムは 電気のふるさとよ
3 長野に 静岡 愛知県 手を取りあって ダム完成 あばれ天竜 姿消し 巨大な電力 生み出した ああ佐久間ダムは 電気のふるさとよ
このように「電気のふるさとよ」と讃えられる佐久間ダムは、アメリカの資金援助と機械力によって昭和31年に完成した。ダム地点は、左岸静岡県磐田郡佐久間町大字佐久間、右岸愛知県北設楽郡豊根村大字真立である。
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『佐久間ダムの全貌』
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このダムの諸元は堤高 155.5m、堤頂長 293.5m、堤堆積 112万m3、総貯水容量 3億2684万m3、発電最大出力35万KW、最大使用水量 306m3/s、最大有効落差133.49m、型式は直線重力式コンクリートダムで、工事費 385.7億円、起業者は電源開発(株)、施工者は間組(株)である。
この佐久間ダムに関する書誌については、「月刊ダム日本」(710 、'03 12月号)を参照されたいが、そのとき記載できなかった飯田茂平著『佐久間ダムの全貌』(佐久間ダム観光案内出版部・昭和32年)、電源開発(株)編・発行『佐久間ダム(写真集)』(昭和31年)を挙げる。
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『佐久間ダム(写真集)』
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昭和47年に完成した新豊根ダムは佐久間ダムの下池として利用され、昭和33年完成の秋葉ダムは、逆調整池の役割を果たし、一方左岸側、佐久間ダムから延長14.6キロのトンネルをもって三河地区に農業用水と、非かんがい期には上水道、工業用水が導水されている。 昭和52年秋葉ダムの下流に、船明ダムが多目的ダムとして完成した。船明ダムは最大出力3万KWの発電をおこし、この発電に使用した水は導水路により、右岸浜名用水として 49.73m3/s、左岸寺谷用水、磐田用水として23.8m3/sが各々農業用水、上水道、工業用水として利用されている。(前掲書『天竜川とともに』)
以上、「階段状の一貫開発を進めた天竜川本流断面略図」に示すように、泰阜ダム、平岡ダム、佐久間ダム等の天竜川本川のダムを概観してきた。これらのダム・発電所の存する流域は、東側に中央構造線を擁し、地盤が脆弱であり、西側には大部分が風化された花崗岩に覆われているため、日本では有数の流入土砂の激しい河川である。このため平岡ダムの堆砂率は約80%を占めている。平成17年11月16日、貯水池面積7.15km2を誇る佐久間ダム(諏訪湖の面積の5倍強)を訪れたとき、数ケ所で浚渫船が砂をとっている光景が見られた。また、地元の人たちに中田島砂丘(浜松市)を案内してもらったが、天竜川河口部遠州灘沿岸には土砂が供給されず、海岸浸食と松枯れが進んでいるのが大いに懸念される。
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