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11.愛媛県ダムのまとめ

 愛媛県のダム建設は、明治期から平成17年まで62基に及ぶが、次のようにまとめてみた。

ダムの型式別では、アース式41基、重力式コンクリートダム19基、ロックフィルダム2基である。初の重力式コンクリートダムは、昭和28年柳瀬ダムの建設であり、ロックフィルダムは、昭和43年横谷調整池の築造が最初である。

・ダムの目的別では、農業用水40基、水力発電2基、多目的ダム20基である。昭和27年までは全て農業用水のダムが造られ、食糧の増産が重要視されてきたことがわかる。高度成長期以降は、主に治水を含む多目的ダムが造られるようになった。

・ダムの総貯水容量別では、 100万m3以下42基、 101〜1000万m310基、1001〜2000万m35基、2001〜3000万m31基、3001〜5300万m34基となっており、小規模ダムが多い。

・ダムの堤高ベスト3は、
  ・富郷ダム  106 m
  ・石手川ダム 87 m
  ・面河ダム   73.5 m
であり、一方総貯水容量ベスト3は、
  ・富郷ダム  5200万m3
  ・鹿野川ダム 4820万m3 
  ・黒瀬ダム  3600万m3
となっている。

・ダムの起業者別では、
  ・土地改良区等 33基
  ・愛媛県    13基
  ・農林水産省   7基
  ・国土交通省   4基
  ・四国電力(株)等  3基
  ・水資源機構   2基
の順である。

・ダムの堆砂率は、
  ・鹿森ダム  39.3%
  ・黒瀬ダム   6.3%
  ・別子ダム   6.1%
であり、堆砂率は低い。(「電力土木」2004・・313 )

・東予地域に柳瀬ダム、富郷ダム、鹿森ダム、黒瀬ダム、玉川ダム、中予地域には石手川ダム、佐古ダム、南予地域には鹿野川ダム、野村ダム、須賀川ダム、山財ダムが建設され、それぞれ3地域の振興に重要なダムとなっており、バランスよく治水、利水の目的を果たし、愛媛県の発展におおいに寄与している。

・台とは、四方を観賞できるように作った建物、高殿を意味するという。瀬戸内海の眺望のよい大三島の高台に建設され、島々の利水の便を図っている台ダムは、全国的にユニークなダムである。

・宿命的に洪水のおこりやすい肱川は、水害の減災を図るために、さらなる河道改修と山鳥坂ダムの完成が待望される。

・平成16、17、18年の気候は、地球温暖化の影響であろうか、多雨傾向が強まっている。水環境に配慮しながら治水、利水対策がとくに必要となってきた。そのためには遊水地としての水田、ため池の整備、水源林の育成、雨水の地下浸透、雨水タンクの設置等が一層望まれる。


 おわりに、三重県の水環境に係わる書を掲げる。

・奥山甲子男編『水(俳句)』(海程新社・平成3年)
・三重県編・発行『三重の水資源』(昭和46年)
・  同    『三重の水資源』(昭和53年)
・三重県砂利挙動組合連合会編・発行『三重県砂利史』(昭和57年)
・弥永貞三・谷岡武雄編『伊勢湾岸地域の古代条理制』(東京堂出版・昭和54年)
・三重県土地改良事業団体連合会編・発行『三重県土地改良の歩み』(昭和52年)
・中 貞夫著『宇陀川二千年史』(宇陀川用水土地改良・昭和48年)
・雲出井土地改良区編・発行『雲出井土地改良区』(平成13年)
・折戸清三郎著・発行『立梅用水史』(昭和35年)
・東海農政局編・発行『宮川用水技術誌』(昭和42年)
・  同      『宮川用水地域における土地改良と農業展開』(昭和55年)
・宮川用水土地改良区編・発行『宮川用水史』(昭和61年)
・三重用水史編纂委員会・水資源開発公団編『三重用水史』(三重県・三重用水土地改良区・平成5年)
・水資源開発公団三重用水建設所編・発行『三重用水事業の写真集』(平成5年)
・中勢用水土地改良区編・発行『県営中勢用水完工記念誌』(平成15年)
・若林高明著・発行『天保十年水論−三重県安東町』(昭和58年)
・三重工事事務所編・発行『鈴鹿川砂防工事誌』(昭和45年)
・  同        『雲出川の災害』(昭和62年)
・亀山測候所編『三重県災害史』(三重県・昭和30年)
・津地方気象台編・発行『三重県に影響のあった台風』(昭和59年)
・旧四日市を語る会編・発行『二十世紀の自然災害』(平成12年)
・三重県県民室編・発行『伊勢湾台風災害画報』(昭和35年)
・全日本写真連盟桑名支部編『伊勢湾台風桑名の記録』(桑名市・昭和35年)
・日本治山治水協会編・発行『伊勢湾台風等による林業関係の被害』(昭和35年)
・三重作文の会編・発行『わたしはひとりになった−伊勢湾台風子どもの記録』(昭和35年)
・伊藤重信著『輪中と高潮−伊勢湾台風の記録』(三重県郷土資料刊行会・昭和57年)
・草薙均編『輪中の伊勢湾台風体験』(長島町・昭和55年)
・三重県美杉村編・発行『伊勢湾台風災害復興記念誌』(昭和38年)
・木曽岬町編・発行『伊勢湾台風30周年記念誌』(平成元年)
・三重統計調査事務所編・発行『昭和36年風水害の概況−水稲を中心に』(昭和37年)
・三重県電気部編・発行『宮川総合開発事業史』(昭和35年)
・中勢用水農業水利事業所編・発行『宮川用水完工記念写真集』(昭和61年)
・中部読売新聞社津支局編・発行『宮川紀行』』昭和51年)
・山田倫子著『川紀行・宮川』( (有) 海幸彦・平成10年)
・太田毅彦編著『宮川環境読本−真の循環型社会を求めて』(東京農業大学出版会・平成17年)
・三重県編・発行『宮川ルネッサンス事業』(平成11年)
・  同    『宮川ルネッサンス事業第2次実施計画』(平成15年)
・全国川サミットin宮川実行委員会編・発行『第9回全国川サミットin宮川』(平成12年)
・宮川流域ルネッサンス協議会編・発行『宮川物語』(平成13年)
・寺田貢著『赤目滝今昔』(赤目滝郷土史研究会・昭和52年)
・津市水道局編・発行『津市水道六十年史』(平成元年)
・四日市市水道局編・発行『四日市市水道50年史』(昭和54年)
・鈴鹿市水道局編・発行『鈴鹿市の簡易水道史』(平成15年)
・美しくに学文庫水グループ編『じゃ口の向こうにみえるもの』(三重社会経済研究センター・平成7年)
・森和紀著・発行『水と地域』(平成12年)
・佐々木俊夫著『櫛田川』(夕刊三重新聞社・昭和58年)
・三重大学人文学部社会科学科安濃川プロジェクト編・発行『安濃川再開発(平成2年)
・伊賀びとのおもい実現委員会編・発行『わたしたちと木津川(児童書)』(平成14年)
・黒川静夫著『三重の水力発電』(三重県良書出版会・平成9年)
・黒川静夫著・発行『三重県南部水力発電史』(昭和59年)
・  同     『三重県における水力利用(水車)』(昭和60年)
・三重県企業庁編・発行『企業庁二十年史』(昭和57年)
・  同       『企業庁30年の歩み』(平成3年)
・  同       『山村ダム工事記録』(昭和50年)


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